第一部 二十四話〜二十五話間 挿話 【ラボの新機能】
コルリル達が王宮に着く前の晩。
コルリル達がラボで眠りについた頃。
先程石を投げた村長も自宅で休もうとしていた。
「今日は厄日じゃわい!あんな勇者共が現れるなんて!
あんな奴らがわしの家に上がり込んだら最悪の夜になるところじゃったわ!!」
ブツブツ独り言を言いながらランプを消し布団に入る。
「まぁわしの一喝で怯えて逃げよったからな。
また来たら再び石を投げつけてやるわい」
「また来たよ♪石投げる??」
ヒロシが村長の枕元に立っていた。
ニコニコして村長を見下している。
あまりの事態に村長は叫び声も出なかった。
「そのまま黙っててね」
ヒロシは村長になにかの粉末をかける
その瞬間村長は身体が全く動かなくなり声すら出せなくなった。
「これは麻痺の粉末。君を僕のラボに招待する招待状代わりだよ♪」
ヒロシがそう言うと部屋にモヤが現れ中からゴブリンが出てきた。
村長は必死に抵抗しようとするも身体はピクリとも動かなかった。
「怖がらないで。大丈夫だよ、彼らは何もしないから」
ゴブリン達は動けない村長を担ぎラボに入れようとする。
「彼らは何もしないけど、君は僕の仲間を殺そうとしたよね?
そのけじめはつけないといけない、そう思うんだ」
村長は恐怖で絶叫したかったがうめき声も出なかった。
「大丈夫。今は怖くても」
担がれながらラボに入れられ、
だんだんと見えなくなる村長にヒロシはそっと声をかける。
「すぐに何もわからなくなるから」
翌朝、起きてこない村長を呼びに来た村人達は村長が居ない事に気付いた。
村中探してもおらず、家には争った形跡や侵入の跡もないので、村長は自分で村の外に出たのだろうという事になった。
それからしばらく村の外を探した村人だったが、ついに見つける事は出来ず、
村長は魔獣に襲われたのだろうとなり捜索は打ち切られた。
「おはようコルリル!今日も良い朝だね♪」
ヒロシはコルリルに元気よく挨拶する。
ストレスの元を消せたので今朝は非常にご機嫌だ。
「おはようございますヒロシ様。
なんだかご機嫌ですね??」
「そうなんだよ!実はラボの新機能が使えるようになってね??
一度会った人ならその人のいる場所にラボを開けるようになったんだよ♪
だから採取なんかが非常に楽になってね♪
今もゴブリン達を各地に旅立たせてるんだ♪
頃合いをみて旅立だったゴブリン達の場所にラボを開けば素材採取が楽々って感じさぁ♪」
饒舌に語るヒロシを見てコルリルは安堵した様子だった。
「それはよかったですヒロシ様!
じゃあこの流れのまま今日は王宮まで一気に行きましょう!」
「了解♪いよいよ王宮かぁ~楽しみだねぇ♪」
コルリルは知らなかった。
ラボの新機能、その最初の体験者がラボの地下で物言わぬ人形のようにされている事を。




