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第1話 戦争


 「おいっ!タケ!しっかりしろ!おい!!」


 「がっ!がふっ!ゴホッ!はぁ、はぁ。すまねぇ、しくじった。」


 「大丈夫だ!大丈夫だぞ!傷は浅い!タケ!意識をしっかり持つんだ!」


 「っっ!はっ!そんな、わけ、無いだろ。砲弾、喰らって、大丈夫な、わけ。」


 「おい!しっかりしろ!クソっ!衛生兵!!衛生兵!!誰か近くにいないのか!!」


 声を振り絞り助けを求めるが反応は無い。


 「誰か!!誰かいないのか!!衛生兵!!」


 「お、い。」


 「タケ!!ちょっと待ってろよ!僕が今、救助呼んで来るから!!」


 「はぁ、はぁ、はぁ。カイ、待て、これを、持っていけ。」


 そう言って渡されたのは、一枚の写真と紙切れだった。


 「何だよ急に!!早く救助を呼ばないと!」


 「がっ!くふっ!これを、家族に、届けて、くれ。」


 「ふざけんな!!そんなのお前が自分で届けろよ!」


 タケは首を振る。


 「頼む、お前、しか、いないんだ、頼む。」


 「クソッ!!分かった!分かったからもう喋んな!!傷が広がっちまう!!」


 「はっ。はぁ。お前、は、何と、して、でも、生き、のこ、れ。」


 「分かったから安静にしてくれ!!クソッ!衛生兵!!衛生兵はいないか!!誰でもいいから返事をしてくれ!!」


 何度声をかけても、反応は無かった。タケの反応も。


 「ふざげんな!!ふざけんな!《《俺》》らが何をしだぁ!!《《化け物》》どもが!!全員っ殺してやる!!!」








半年後


 「今、姿が見えました!空港から姿を現したのは、アフガニスタンにて戦争に巻き込まれた自衛隊員、海堂 勝容疑者です!これから留置所の方に送られる予定です。彼は、アフガニスタンで起きた戦争で戦争時、戦場となった場所から逃亡し、他の隊員を見殺しにした後、現地にいた民間人を大量に殺害した疑いを掛けられています。状況説明や証拠品の確保等、見逃せない展開になりそうです。


 

 俺の耳に不愉快な声が聞こえる。

 何処の誰が戦場から逃げたって?何処の誰が仲間を見殺しにしたと?何も知らないくせにうるせぇなぁ。

 次の場所に向かうため、車があるところまで誘導される。

 車があるところには、多くの人が集まっていた。警備の人達が何とか抑えているが、今にも人が飛び出しそうだ。カメラのフラッシュが眩しい。

 車の近くにまで行くと、様々な声が聞こえてくる。


 「海堂さん!これから始まる裁判に向けて、一言お願いします!!」


 「この人殺しが!!俺の息子を返せ!!」


 「何で、あんたみたいな奴が帰って来たのよ!!うちの子を返しなさいよ!!」


 「早く裁かれろ!!」


 「日本に帰って来ての、感想を一言お願いします!!」


 こいつらは何なんだ。何故俺に言う?

 俺に言ったところで意味なんて無いのにな。

 あーー、うぜぇ。


 俺は周りに向けて言う。


 「ガタガタガタガタうるせぇなぁ!!こっちはよぉ、疲れてるんだわ!!見てわかんねぇかなぁ?そんなに言うんなら、てめぇらが戦争に行ってくればいいだろうがぁ!!あほらしい。」


 そう言って車に乗り込む。

 周りの人達は一瞬、あまりの言いように言葉を失ったが、次の瞬間には言葉の嵐となった。


 「早く手紙を届けないとな。」


 コートのポケットから、しわくちゃになった手紙を取り出しながら、書いてある住所まで車を走らせてもらう。



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