6話 『開封』
カードは元からデバイスに登録されている60枚と、後は賞金で買ったカードが10セットで合計160枚だ。
だが重要なのは、このうちの数枚だろう。所謂レアカードだ。
デババトでは10枚のうち1枚がレアカード、そしてレアカード10枚のうち3枚がSRだった。レア度が高い程強いと言うわけではないが、特殊な効果が多いのでデッキ構築の方向性が決まるのがレアカードだ。
本当はレアカード同士の組み合わせも考えて選択したいが、現在は枚数が少ないので、レアはほぼデッキに組み込まれることになるはずだ。
ちなみに、レアカード以下はアンコモンとコモンがそれぞれ3:6の割合になるはずだが、こちらは枚数も多いのでレアカードに合わせて取捨選択すれば良いだろう。
固定ではないが、最小枚数が60枚のようなのでこれに合わせて調整するつもりだ。色々入れたくなるものだが、キーカードを引く可能性が減るので少なめの方が良いと考えている。
では早速、カードセットをデバイスに登録しよう。
デバイスの起動と同じように念じる必要があるかと思ったが、カードセットはデバイスに当てると光になって吸収されていった。
物理的にはあり得ない現象だが、バグ関連と考えると全く不思議ではないので特に驚きはしない。
デバイスを確認すると、無事にカードが一覧に追加されていたので安堵する。
もし登録されていなかったら協会はマッチポンプ式の詐欺師集団だ。
とりあえずデバイスの操作でソートが可能なようなのでレア度順に並べてみる。
良いカードが出ていることを祈りながら確認する。
◆SR (5枚)
《暴食スライム》
《ラフレシア》 NEW!!
《呪われた聖印》 NEW!!
《ゴールデン・ゴーレム》 NEW!!
《光を照らす精霊》 NEW!!
◆R (11枚)
《ゴブリンの守備隊長》
《木の祝福》
《転移魔方陣》
《サンダー・ドラゴン》
《ポジションチェンジャー》
《アルラウネ》 NEW!!
《コボルト・マジシャン》 NEW!!
《クラウド・ワイバーン》 NEW!!
《土の祝福》 NEW!!
《リトルドラゴン》 NEW!!
《強制エネルギー注入》 NEW!!
枚数は予想通りの結果だったので良くも悪くなくといったところだ。
追加で登録されたカードはNEWマークが付いているが、元からデバイス内にあるカードもきちんと確認するのは初めてなので今はあまり意味がない。
目も引くカードもあるが、とりあえず順番に確認していく。
《暴食スライム》
種類:モンスター
属性:闇
バグ:10
攻撃/守備:10/10
能力:『暴食:戦闘開始時、手札のユニットを全て強制的にバグとして取り込む』
1回の戦闘としては強力だが、デメリットが多すぎる。
今回は仕方がないが、本来はデッキに組み込みづらいカードだ。
《ラフレシア》
種類:バグ
バグ進行度:2
加算攻撃/守備:0/2
能力:『胞子:加算守備2以下のバグを1つ排除する。妨害はできない』
妨害禁止だとしても正直普通の性能だ。SRである理由がわからない。
《呪われた聖印》
種類:装備
追加能力:『吸収:戦闘開始時、手札の属性光のユニットをバグとして取り込ませることが可能』
癖がありすぎて正直微妙だ。
これを入れるくらいなら別のカードを入れた方が良さそうだ。
《ゴールデン・ゴーレム》
種類:モンスター
属性:光
バグ:6
攻撃/守備:3/3
スキル:光
装備枠:1
能力:『採取:手札上限を+1枚する』
今回の中では1番の当たりカードだろう。
戦闘は無理だが、手札の数は戦略性への影響が大きい。
《光を照らす精霊》
種類:モンスター
属性:光
移動:高速
バグ:4
攻撃/守備:3/4
スキル:光闇
能力:『照光:味方ユニットの属性を光、相手ユニットの属性を闇にする』
他の特殊な能力と組み合わせれば使用できそうだが、現状だと厳しそうに感じる。
ここまでがSRだが、《ゴールデン・ゴーレム》以外は正直微妙だ。
《ゴールデン・ゴーレム》も要になるユニットではないのでレアに期待する。
《ゴブリンの守備隊長》
種類:モンスター
属性:土
バグ:2
攻撃/守備:1/1
装備枠:1
能力:『号令:常時、味方のゴブリン系の守備を+1する』
ゴブリン系のリーダーユニットだが、ゴブリンを集めて特化しないと効果が薄いので不要なカードだ。
《木の祝福》
種類:ダンジョンスキル(木)
効果:『木属性の場合、攻撃をランダムで上昇させる。木属性でない場合は属性を木にする』
木属性を使用する場合はなかなか有効だが、カードの偏り的に不要なカードだ。
《転移魔方陣》
種類:地形カード
効果:『コアの周囲にしか設置できない。味方がいる地形に移動させることができる』
便利そうに見える。実際に使い勝手を確かめる必要がある。
《サンダー・ドラゴン》
種類:モンスター
属性:風
バグ:7
攻撃/守備:6/7
スキル:風風風
能力:『感電:通常攻撃された際、ランダム値+1のダメージを与える』
デバイスに登録されている段階で気がついていたが汎用性が高いユニットだ。
このユニットを要にしてデッキを構築していくことになるだろう。
《ポジションチェンジャー》
種類:装備
追加能力:『入替:移動時、ユニット間の場所を入れ替える』
使えなくはなさそうだが、装備枠を潰してまで入れる必要があるかは微妙だ。
《アルラウネ》
種類:バグ
バグ進行度:2
加算攻撃/守備:1/1
能力:『支援:常時、味方の植物系ユニットがスキルでダメージを受けなくなる』
植物系で組むなら強力だが、植物系で要になるユニットが現状いない。
《コボルト・マジシャン》
種類:モンスター
属性:土
バグ:1
攻撃/守備:0/1
スキル:土水風木
装備枠:1
能力の無いスキル要員だが、スキルの属性がまばらなので有用なデッキは少ないだろう。
《クラウド・ワイバーン》
種類:モンスター
属性:風
バグ:4
攻撃/守備:5/3
スキル:風風
能力:『隠密:通常攻撃された際、攻撃のダメージで死ななくなる』
風属性の劣化ドラゴンだが、通常ドラゴンの《サンダー・ドラゴン》と合わせて組み込みやすい。
《土の祝福》
種類:ダンジョンスキル(土)
効果:『土属性の場合、攻撃をランダムで上昇させる。土属性でない場合は属性を土にする』
先ほどの《木の祝福》の土版だ。風であれば良かったのだが。
《リトルドラゴン》
種類:モンスター
属性:闇
移動:高速
バグ:2
攻撃/守備:1/1
能力:『召喚:移動時、手札のドラゴン系のユニットを召喚する』
単体としては全く役に立たないが、召喚要因として使えるかもしれない。
実際に使って確かめる必要があるだろう。
《強制エネルギー注入》
種類:ダンジョンスキル(闇)
効果:『バグの上限値まで手札を捨てる。捨てた枚数分バグ、攻撃、守備が上昇する』
バグの上限値は10だ。強化余地は多いがデメリットが大きいので使わないだろう。
レアも癖のあるカードが多かったが、一応、素直に強い属性ドラゴンがあって助かった。劣化ドラゴンもあるし、風属性をメインに組むのが良いだろう。
風属性のモンスターは回避性能が高いためか、守備能力が高めのユニットやスペルが多い傾向がある。
耐久系のデッキは趣味と合っているので気分も良い。
アンコモンとコモンも確認してデッキを構築してしまおう。
……今日は寝るのが遅くなりそうだ。