64.後悔させてやるのだわ。
忙しくて、今日は短めです。すいません。
「オイラ食糧を食堂に置いてきゃす」
ツバイはバタバタと食堂に行ってしまった。
「ツバイ君には本当に感謝してるんです、孤児院から出た多くの子達は孤児院育ちを隠したがるので」
職に付いた者達は孤児院育ちを隠す。それはスラム育ちの者もそうで、やはり雇い主や客から嫌悪感を持たれてしまうからだ。
職業紹介所を経由して働くのだが、紹介所もその辺りは詳しく話さないそうだ。読み書き計算、掃除や買い物、料理に洗濯、裁縫から子守り等出来る事だけを提示するらしい。
貴族や大商店以外は割とその辺りは緩いらしい。
「そうなんですね」
リョウは考えさせられる。この世界は福祉的な物はほとんど無い。貴族や大商店の主なら兎も角、皆生きて行くだけで精一杯なのだ。
「そんな中でツバイ君はああして自分で稼いだお金で食糧を買って月に2~3回程届けてくれるんです、本当に有難い事です」
アマンダは申し訳なさそうに、ツバイが消えて行った方向を見てる。
リョウにも孤児院の経営が良く無い事はわかる。
外観からしてあんな感じだったのだから。
「憲兵隊長から聞いたんですが、亜人の子供が拐われる事件があったんですよね?」
「はい、この家の回りで遊んでた子が何人か、、」
アマンダは途端に悔しそうな目をする。
「私が料理に手を取られ目を離したのがいけなかったんです」
膝の上に置かれた手がキツく握られる。
この孤児院をアマンダ一人で見ているのだ、誰にもアマンダを攻める権利はない。だがアマンダは自分が許せないらしく、目に涙を溜め唇をもキツく噛む。
「子供の特徴を教えて下さい、見つけ次第私が保護しますので」
リョウはアマンダに子供の特徴を聞く。アマンダは静かに頭を下げる。
リョウは、アマンダから子供一人一人の特徴を聞き出し必ず救い出すと心に誓うのであった。




