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59.鹿狩りだわ。

「さて、行きますか?」

リョウが他三人のメンバーを眺めて言う。

「私は準備大丈夫だ」

「私もok」

「俺も問題ないぞ」

三人が次々了承する。


ダンジョンの入り口の検査員にパーティープレートを見せる。

「確認した。通って良し。」

待ってるパーティーがプレートの確認をされ、次々にダンジョンの入り口を通る。


「朝から一杯パーティーがきてるね」

リョウが辺りを見回すと、朝一にも限らず既に10組程パーティーが来ていた。


「走破目的ではなく、ドロップアイテムが狙いのパーティーが多いようだな?」

マルザが答える。

「朝一に冒険者ギルドに行くと、クエスト掲示板に募集アイテム一覧が貼ってあるんですよ、その一覧を見て自分が潜れる階層でドロップアイテムを調達するんです」

イメルダがリョウに教える。


「へ~そうなんだ。採取依頼みたいなものね?」

「その通り、それ専門の冒険者パーティーも多数いるよ」

「俺が持ち逃げされた前のパーティーも専門冒険者だったよ」

ライドが少し悲しい顔で呟く。


「まぁ良いではないか、そのお陰で私達とパーティーを組む事になったのだから」

マルザがライドを慰める。昨日のライドの大人拗ねに懲りたみたいだ。


「そうそう、気持ち切り替えて大金を稼ごう」

「そ、そうだな!良し今日1日でリョウに借りた金全部かえすぞ~」

イメルダのノリにライドも笑顔で答える。


(光)のダンジョンは入り口に神殿ポイ建て物を建てている。

その建て物の中に各階層に繋がる転位魔方陣があるのだ。

魔方陣は一つだけだが、転位石に記憶させた魔方陣によって転位石の色が変わる。

例えば、5階層に転位出来る転位石は赤だ。


これは階層クリアで出現した魔方陣の色らしい。


「私達が行く階層の色は濃い緑か、リョウ君心の準備は大丈夫?」

「そう言うイメルダは大丈夫?」

「「ok!」」

リョウとイメルダが笑う。マルザとライドは頷くだけであった。

リョウ達が魔方陣の中に入り、イメルダが転位石を上に掲げる。音もなくリョウ達は転位するのであった。


「ここが18階層かぁ~」

リョウは辺りを見渡す。一面の草原に森、緑が支配する階層のようだ。何故か太陽が頭上に輝いている。

「本当にどういう仕組みなんだろ?」

「さて、考えても答えは見えてこんな」

「俺は考えた事もねぇ、こんなもんだと思ってるしな」

「ま、そんなのは学者に任せ、私達はボス戦に行きますかw」

リョウの軽いノリに三人が笑いながら頷く。


ボス戦をして勝つと次の階層の道が開くらしい。

ボス戦の前の部屋に階層の魔方陣があり、神殿の魔方陣の所に転位するんだとか。

ただ、神殿の魔方陣から目的の階層に転位する場合、何故か前の部屋ではなくその階層の入り口付近に転位する。


例えるなら、迷路の出口近くの魔方陣からしか地上に戻れず、地上から来た時は入り口付近しか転位出来ない、ゆえに地上に戻るには出口近くに行かなくてはならないと言う事だ。


これを「ダンジョンの誓約」と言うらしい。


「結局、ボス以外の魔物と戦わずにボス戦は出来ませんし、帰れませんよ?って事なのね」

「まぁ、有り体に言ったらそうだな」

ライドが肯定する。


「キヒヒン!」

「あれはキラーアクリスです」

イメルダが剣を構え身構える。

マルザも距離を取り剣を構えている。

「体も角もデカイ鹿だわね」

キラーアクリスは体長4mはあろう、又その体に加え角だけでも3mはある。


「角も皮も肉も売れるぞ」

ライドがバトルアックスを構えリョウに教える。


「キヒヒン!バチ!バチ!」

キラーアクリスが大きな角を振ると、角が帯電しだした。キラーアクリスはその角からサンダーレイン(雷の雨)と言う魔法を撃って攻撃してくるのだ。


「遅いわ、ウインドカッター!(風の刃)」

リョウが魔法を唱える。風の刃がキラーアクリスの首にあたり、キラーアクリスは首と胴体が離れ絶命する。

「意外と弱いわね?」

リョウの呟きに「「「いやいやいや!」」」他の三人が首を大きく振る。


「魔法一発とかないから」

「リョウ殿がこれ程だとは」

「リョウFランクの魔法の威力じゃないぞ?」

三人共困惑して、リョウをみる。


「まぁまぁ、そんな事もあるわよ~」

「「「ないよ!」ぞ!」」

三人がリョウの言葉に突っ込む。


「とりあえず、全部売れるらしい~からっと!」

リョウは倒したキラーアクリスを空間収納にしまう。


「え?空間収納も使えるのかリョウ殿」

「うん、アレ?言って無かった?」

「何か何でも有りだねリョウさん」

「リョウはランク詐欺だな」

「ま!詐欺なんて失礼しちゃうわ」

ライドの言葉に頬を膨らませプンプン怒るリョウ。


「リョウ、男がそんな顔しても可愛くないぞ?」

「はい、ライドは私に喧嘩を売りました、今からライドのナニをもぎます。」

「え?やめろよな」

ライドは自分の息子を手で隠す。

「もちろん、やめません~」

「ギャー可愛いリョウは可愛いから~」

逃げ惑うライド、追うリョウ。途中何匹かキラーアクリスが出るも、リョウが魔法でさっさと倒す。

そして素早く収納する。

「まてぇ~ライド~」

「お助け~お婿に行けなくなるぅぅ~」


「ねえ、マルザ?」

「なんだイメルダ?」

「私達って必要?」

「少なくとも、邪魔にはなって無いと信じたいな」

「「、、、、、」」

リョウとライドの追いかけっこを眺めながら、マルザとイメルダはため息を付くのだった。



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