58.大人が拗ねると面倒なのだわ。
レッドブァファローの事をひとしきり話し、その都度対応し出来るなら壊滅で話しは落ち着いた。
「ダンジョンにはいつ潜るのか?」
マルザがリョウに聞いてきた。
「潜るならパーティーの証明書が要るので、早目に冒険者ギルドで発行してもらわないとダメですよ?」
イメルダがリョウに教える。
「そんな物いるんだ?じゃ~今からギルドに行って発行してもらおうよ」
リョウの提案に皆不足は無いようで、頷いている。
「ここがアルメンの冒険者ギルドなのね~デカ!」
宿屋から余り離れていない所にそれはあった。
4階建てでアキアの町の3倍はでかい。
「ダンジョンのある街だしな、冒険者も多いからこんな物だろ?」
ライドはそう言うがリョウはアキアの町のギルドしか知らない為驚く。
マルザとイメルダはスタスタ中に入って行く。
中は右手にカウンターで左が酒場になっている。
「中は余り他のギルドと変わり無いのね」
「そりゃ~そうさ、冒険者ギルド何て同じような作りさ、冒険者は酒飲みが多いし報酬貰ったら酒飲みたくなるだろ?だから酒場が併設してると、すぐに飲めて冒険者は満足、ギルドも報酬を少しでも回収出来て満足なんだよ」
ライドがギルドのうんちくをリョウに教える。
「へ~流石に酒飲みライド、良く知ってるわね」
リョウはライドに感心した。酒に関する知識はあるようだわ。
カウンターでパーティー結成の登録用紙を貰いイメルダが記入していく。
「パーティーリーダーはどうします?」
「記入必須なの」
「うむ、一応責任者的な役割で記入必須だ」
「「へ~そうなんだ」」
リョウとライドの声が重なる。
「私はパーティー組むの初めてだからアレだけど、ライドが何故知らないのよ?」
「だって俺、臨時メンバーでパーティー参加が多いし書類系は書いて無いし」
悪びれる事なくライドは答える。
酒の事以外はポンコツって事ね、、、戦闘は大丈夫かしら?リョウは一抹の不安を覚える。
「リーダーの所はマルザって書いとけば?森の光でもリーダーなんでしょ?」
「いや、私より実力があるリョウ殿やランクが上なライド殿がいるのに、それはダメだ!」
マルザはリョウの提案を即座に拒否する。
「じゃ~一番ランク高いライドで」
「俺がリーダー?嫌だそ。」
「何で?」
「何かあったら、説明しなきゃダメなんだぞ?俺にそんな事出来ると思うか?」
確かに、、リョウは納得してしまった。
では、、とイメルダを見ると
「もう、リョウ君の名前を記入して出しました」
「はぁ?私の?いつの間に!」
「ライドさんが拒否した時に、次は私に回って来そうだったのでw」
イメルダ何て恐ろしい子、、、リョウは某漫画の人の様に驚く。
少しして、銀プレートを手渡され登録は終了する。
「このプレートをダンジョン入り口で見せて確認されたら、入れます」
「成る程、わかったわ」
「リョウ殿明日にでもダンジョンに潜るか?」
「俺も早くリョウに借金返したいし」
「そうね、明日から潜りますか~」
リョウがマルザとライドの意見に賛成する。
「じゃあ転位石と階層地図買って行きます?」
イメルダがリョウに聞く。
「転位石?階層地図?」
「ああ、リョウ君は知らないのね?転位石って階層クリアーしたら転位魔方陣が出るから、それを転位石に記憶させて使うの、階層地図はその階層の地図よ」
「転位石を使うとその階層迄いけるのだよ、帰りも同様に1階の転位魔方陣の転位石を使う」
イメルダとマルザがリョウに説明する。
「ライドはどこの階層迄クリアーしてるの?」
「俺は雇われた知り合いのパーティーと一緒に19階層迄だ」
「フムフム、マルザ達は(光)のダンジョンは初めてだよね?確か?」
「そうだな」
「私も初めてだけど、、、階層地図って階層ボスも載ってるの?」
「あぁ、踏破された階層ならボスは載ってるぞ」
「階層ボスで戦った事有る魔物いる?」
「17階層のキラーパイソンなら、イメルダと戦ったぞ?」
「少し苦戦したけどね、私が蛇系苦手だから」
「18階層のボスは?何が出てくるの?」
「18階層は、クレイジーアクリスだぞ」
ライドが答える。
「狂ったヘラ鹿かぁ~。じゃ~18階層からいっちゃう?」
リョウが提案すると、皆が了承する。
「じゃ~18階層の転位石と階層地図を買って来るね」
イメルダがギルドカウンターに転位石と地図を買いに行った。
「便利っちゃ~便利よね~有り難みは無いけど」
リョウが呟きにマルザが答える。
「だが、自分達の実力に見合った階層で無いと死ぬ事もあるのだ」
「そりゃ~そうね」
リョウは納得する。
「まぁ、冒険者は自己責任で行動が原則だからな」
ライドも珍しくまともな事を口にする。
「それに地図を作るのにどこにどんな魔物が出るか?やルートや罠の場所とかを一番にギルドに連絡したパーティーに報酬金、階層をクリアーして転位魔方陣を一番に出現させたパーティーにも報酬金がでる」
「へー以外に階層踏破のうま味があるのね」
「だか、嘘を付くパーティーが出るとも限らないから、ギルドが調査を複数パーティーに依頼したり報酬金を貰う迄時間が掛かるそうだ」
「まぁ、考えたらそれはそうね。けど間違いってのもあるんじゃない?」
リョウは少し疑問に思った。
「だから、一パーティーに3回迄間違いは許されている、それを超えると虚偽としてペナルティーを課せられる」
「ペナルティー?」
「ダンジョンに潜るのを禁止されたり、ランクを落とされたりだな」
「以外に厳しいのねぇ~」
リョウは納得しながらも、ギルドの対応の厳しい面に驚く。
「冒険者って奴は信用第一だからな、信用をなくす奴が悪いのさ」
ライドが再び真面目な事を言う。再びリョウが、、今度はマルザもビックリしていた。
「二人共俺に失礼じゃ~ねぇか?」
ライドが不貞腐れながら、拗ねた。
「買って来ました~アレ?皆どうかしたの?」
イメルダがリョウ達三人の微妙な態度を察して、首を捻る。
結局リョウとマルザは宿屋に戻り、ライドに大量の酒を奢り拗ねた大人を宥める事に成功するのであった。




