56.忘れる事もあるのだわ。
女将さんに大声男の今迄の支払いと、後10日分の宿代も渡す。
「うちは良かったけど、アンタは良いのかい?」
「大丈夫、ダンジョンでコキ使う予定だからw」
「そうかい、それなら大丈夫だね一杯コキ使ってやんなよ」
女将さんはリョウの言葉に安心したのか?上機嫌で去って行く。
「何だダンジョンに潜るのか?それなら早く言ってくれよ」
大声男は安堵の表情を浮かべた。
「何だと思ってたの?」
「てっきり、男娼にでも売られるのかと、、」
「おっさんが売れるか!」
「おっさんって、俺はまだ28歳だが?」
「え?40歳位じゃ~ないの?」
「どんだけ年上にみてんだよ!」
大声男は抗議の声を上げる。
「騒がしいな」
「あ!リョウ殿おはよう」
森の光の二人が食堂に現れた。
「丁度良かった、二人に話しがあるのよ~」
リョウが起き抜けの二人を自分のテーブルに座らせる。
今朝の経緯を説明するリョウ。
「成る程な、そこの御仁とダンジョンに潜る為一時的にパーティーを組むと」
「でも人は見かけによらないわね、まさかBランクだったとはね、そして28歳って」
二人はリョウの説明に驚きを隠せなかった。特に年齢に。
「しかしリョウ殿ダンジョンは4人以上のパーティーで無いと入れないから、後二人いるぞ?」
「何言ってるの私の目の前にいるじゃない?」
「は!私達の事か?」
「正解です~」
リョウの答えに更に驚く二人。
「まぁ、リョウ殿の実力は知っているし、そこの御仁はBランクなのだから不満はないが、、」
「メンバー探さなくなって良かったじゃん」
「報酬はきっちり4等分で、後は条件無し。どうする?」
リョウが二人に問いかける。
二人は少し相談をして「わかった受けさせて貰う」と言った。
「わしは、金が稼げたら何でも大丈夫だ!ガハハハ」
大声男は豪快に笑う。
「じゃ~改めて皆の紹介から。」
「私達二人がパーティー森の光のマルザとイメルダです、二人共剣士で冒険者ランクはCよ」
イメルダが笑顔でマルザと自分の自己紹介をする。
「わしはライド、ランクBの冒険者だ。」
ライドが続く。
「そして私がランクDに成り立ての冒険者リョウですw」
「「「え?成り立て?」」」「「「ランクD?」」」
三人がリョウの自己紹介に驚く。
「あれ?マルザ達には言って無かった?」
「聞いてないよ~」
「私も聞いてなかったな」
「そうだったかしら?」
リョウは大馬車の女子会の時に言わなかったかな~?って小首をかしげる。
「ってか、冒険者Dになり立て?あんな手練れなのに?」
「いやはや、人は見かけに騙されるなとはまさにこの事だな!」
マルザとイメルダは驚いているが、ライドはリョウの戦いを知らないので、そうなのか?的な顔をしている。
「あのね、、」
イメルダがライドにリョウとの出会いを説明する。
「あ~!しまった!」
リョウが突然立ち上がり大声をだす。
三人はどうした?とリョウの顔を見る。
「昨日憲兵隊の詰所に来る様に言われたの忘れてた!」
リョウは三人に「ゆっくり御飯食べてて」と言い残し慌てて憲兵隊の詰所に向かうのだった。




