55.ガサツの意味は?なのだわ。
「エールと何かつまみをくれ」
声の主は給仕の女の子に向かって注文をし、頭をかきながら席に座る。
「うわ~いかにもガサツそうな人」
イメルダが顔をしかめる。
「そんな事を言うものではないぞ」
マルザがイメルダを窘めるが、リョウは声の主を見る。ボサボサの髪に無精髭で身なりはTHE土方っぽい、みた感じ40歳位だろうか?確かに男臭いタイプだ。
「だってリョウさんをみてよ、顔は整ってるし身綺麗だし、、ってリョウさんは心が女の子だもんね、ごめん」
イメルダがリョウに謝る。
「そうだぞ、そもそもリョウ殿とあの御仁を比べてはいけない、全然タイプが違うではないか」
「ほら、マルザだってそう思ってるじゃん?」
「今のは、言葉のあやで、、」
リョウは相変わらず明後日の方向を向いている。
此方が騒がしかったのか?「ん?」と言って声の主がこっちを振り向く。
「綺麗何処を連れて、坊主なかなかやるな~」
何故かサムズアップをしなざらリョウにウインクをする声の主。
「ああ~関わったら面倒なタイプの人間だ」
リョウは咄嗟に顔を背ける。
二人もその事に気づいたのか、目線を背ける。
「がッハッハ、照れてるのか~お年頃だな!」
男はまさかの追撃を喰らわそうとしてくる。
「おまたせしました、エールとおつまみです」
給仕の女の子が品物を持って来た。
「お!待っていたぞ」
男はエールのコップを受け取り、勢い良く飲みだした。
「丁度良かった」
リョウ達はこれ幸いだと各々部屋に戻って行った。
次の日リョウが下に降りて食堂に向かうと、食堂の途中にあるカウンターで言い争いが起きていた。
「だから、もう少し待ってくれよ」
「昨日もそう言ったじゃないか!だから1日待って上げただろ?」
「メンバーが未だ戻ってないんだ、戻ったら払うから!」
「いいやダメだね!今から憲兵に付き出してやる!!」
女将さんと昨日の大声男が言い争っている。
リョウは関わりあいにならぬ様にすり抜けようと、大声男の後ろをスーと通り過ぎ、、れなかった。
「聞いてくれよ、坊主~」
リョウの手首を捕まえて、話しかけてきた。
「お客さん聞いとくれよ」
女将さんは反対の手をつかんできた。
「はぁー、何があったんですか?」
リョウは諦めて二人の話しを聞く事にした。
二人の話しを要約すると、大声男は5日分の宿泊代は払って居た。その後ダンジョンに助っ人で潜り、アイテムを換金して来ると言われ宿で待つ。それが2日前。
女将さんは宿の支払い&食事代が未払いだったが、大声男の説明を聞いて今日迄猶予した。が今日朝迄の2日連絡がないし、大声男も払うお金がないので、無銭飲食と判断憲兵へ連絡しようとする←今ココ。
まぁ、大雑把と言うかガサツ過ぎると言うか、、
「逃げられたんじゃ無いの?」
「な!いや~そんな感じの連中では無かったが、、」
リョウの確信を付く指摘に、大声男も声を小さく答える。
「どっちにしろ払えなきゃ~一緒だろ?」
女将さんは憤慨している。
「又どこか、人手のないパーティーに入って稼いでくるから、、」
「そんな事信じられるかい?逃げるつもりだろ?」
「おじさんは、ランクいくつなの?」
「俺はランクBだ」
「え?」
草原の銀風と一緒?以外にランクが高い事にビックリするリョウ。
「さぁ、憲兵の所行くよ!」
有無を言わさず大声男の手を掴み引っ張って行こうとする女将。
「あ!私が立て替えるよ」
「お客さん本当かい?」
「うん、今いくらかな?」
「計算してくるよ」
女将さんは大声男の手を振り離して、カウンターの奥に消えて行った。
「すまをな、、必ず返すからな」
大声男がリョウに申し訳なさそうに告げる。
「大丈夫体で返してもらうから」
リョウの微笑みに大声男は固まるのだった。




