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54.森の光再びだわ。

魔道具屋区画から鍛冶工房区画へとやって来たリョウ。

リョウは別に武具や武器を必要とはしないのだがブラブラ覗いてみる。

こちらは、商品を陳列している店が大通りに面していて、工房は奥のようだ。たまに工房兼お店があるものの、大体は工房で制作して店に運ぶ2店方式のようだ。


「あ!あの短刀使い勝手が良さそうね」

リョウが目を付けたのは、小振りな短刀や剣等を扱っている、小さな工房兼お店だった。

「まぁ、村や町なら普通のお店なんだろうけど、これだけ大きな工房とかが建ち並んでたら、小さく見えちゃうよね~」

外観的にリョウはそう呟く。


店の中でリョウが色々見ていると、お爺さんが近寄ってきた。

「何か気になるものはありますかな?」

好好爺の雰囲気はするものの、体つきはガッシリしており、このお爺さんがこの店の主だとリョウは推測する。


「この短刀が使い勝手よさそうで、しかも凄く良い品だと気になっちゃって」

「それは大銀貨1枚ですな」

「え!安!この品質で?」

「ホッホッ、お客人は若いのに随分と見る目がありなさる」

お爺さんは気を良くしたのか、リョウに語りかける。


お爺さんは若い頃ドワーフの国に行き技術を学ぶ。

そして自分の生まれたこの街でお店を出す。

しかし、自分の納得する仕事がしたい為時間がかかる為、量産品が作れる大工房に客を取られる。

今では、趣味で店をしているみたいな物でほぼ原価で提供している。


とまぁ~こんな感じの話しだった。

「もちろん確りした工房も多数ありますが、私と一緒で年寄りが多くて、息子や弟子に代替りをしてる所も多くて、、」

「息子や弟子は品質より経営に力を入れると」

「いや~お若いのに本当に時勢の機微を良くご存知で、お恥ずかしながらその通りですじゃ~」

リョウは元の世界でも、大体2代目は店を傾けたりすると言うテレビをやっていたな~と思い出す。


「お爺さんの跡取りは?」

リョウは気になったので聞いてみた。

途端お爺さんの顔が険しくなる。

「わしには跡取りはいませんのじゃ」

リョウはお爺さんの何かの地雷を踏んでしまったと思い反省する。


「あ、この短刀下さい。」

大銀貨一枚をお爺さんに手渡す。

「まいど、どうも」

お爺さんは最初の好好爺の顔に戻り、リョウに商品の短刀を手渡す。


リョウはこれ以上地雷を践まない様にさっさと店を後にした。

「ふぅ~危ない危ない」


店を出て大通りに出てやっと一息つく。

「疲れた、今日は宿屋に帰って休もう」

リョウは宿屋の裏手の路地に「ワープ(転位)」の魔法を使って転位する。


丁度夕方辺りだったからか、宿屋の食堂から良い匂いが立ち込めていた。

「晩御飯食べよう」

リョウは食堂に向かう。食堂の席に座りメニューを見る。

「肉シチューセットが美味しそうね」

給仕の女の子に注文する。

「あれ?リョウ殿ではないか?」

「リョウさん?」

声のする方を見ると、森の光のメンバーと言っても二人だけだが、、マルザとイメルダが声をかけて来た。


「どうも、お二人もこの宿ですか?」

リョウが二人に聞く。

「そうなのだ、一階の二人部屋に泊まっている」

「リョウさんもこの宿?」

「そうよ、2階の一人部屋よ」

リョウは馬車の中で自分の事を話していたので、気兼ね無くオネェさん言葉で二人に話す。


「2階って、声のうるさい人がいるよね?」

「その隣よ?」

「え!流石リョウ殿は凄い胆力だな」

「いやいや、その部屋しか空いてなかったからねぇ、、」

「そっか、災難だったねw」

「いや、魔法でなんとかなるからね~」

「「そうなの?」か?」

二人同時に驚かれる。リョウが続けて魔法の事を説明しようとしたその時。


「ガハッハッハ~」

噂の大声の主が食堂に現れたのだった。




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