48.旅は道連れだわ。
しばらくしてようやくロックワームの縄張りを抜ける、リョウは地上に降りて歩く事にする。
「空を飛んでると、高速エレベーターに乗ってるような浮遊感酔いみたいのが嫌だわ~」
リョウは一人呟く。
少し歩いていると、森の端が見えてきた。
「あそこから街道に出て真っ直ぐだからもう少しで着くわね」
リョウはテコテコ歩きながら、街道を目指す。
「荷物をすてて逃げろ~」「ここは通さない」「け!」「勝てると思っているのか?」「俺達から逃げられると思っているのか!」「きゃ~誰か~」
なにやら争う声が聞こえる。
リョウが足早に森を抜けると、幌馬車が停まっており、その回りで10人位が争っていた。
どうやら冒険者らしき3人が盗賊らしき7人を相手しながら、幌馬車を守っているようだ。
幌馬車からは、何人かの気配がする。
「バインド(身体拘束)」リョウは魔法を使い盗賊らしき7人を拘束する。
「な!」
突然拘束された7人はその場に突っ伏し、残りの冒険者らしき3人はリョウを見て固まった。
「大丈夫ですか?」
リョウが冒険者らしき3人に声をかけると、敵ではないと確信したのか、リョウの方にやって来た。
「助かった、すまない」
冒険者らしき3人は揃ってリョウに頭を下げた。
「離しやがれ~」盗賊達は口々に喧しい。
リョウは盗賊達に「スリープ(強制睡眠)」の魔法をかけた。これで丸1日は起きない。
「別にたいした事はないけど、どういう状況?」
リョウは3人に聞いてみた。
「商人の護衛任務でな、この先のアルメンという街に行く途中だったのだ、この辺であの盗賊達に襲われな、商人達を逃がす事にしたのだが盗賊達の人数が多くてな、、」
「成る程ね」
リョウは良くあるシナリオだと心の中で思った。
んで、イケメンが助けにきて、商人の美女や何かと良い中になるんでしょ?どうせ。
「申し遅れた、私はCランクパーティー森の光のリーダーマルザ」
「私はイメルダです」
「僕はアーレスです」
「私はリョウよろしく」
お互いが挨拶をかわす。
「所でこの盗賊どうするの?」
拘束されて眠っている状態の盗賊を眺めリョウが質問する。
「街迄ここからもう少しだから、私が残り盗賊を見張り他のメンバーと商人達を先に街迄行かす。そしてメンバーが憲兵を連れてここ迄戻ってくるでどうだろうか?」
「良いんじゃない?」
「では、イメルダ、アーレス頼んだ」
「わかったわ」「わかりました」
各々が返事をして帆馬車の方に行く。商人はいまだ中で震えているのか?顔は出さない。
「じゃ~私はこれで!」
リョウが去ろうとすると、マルザに止められた。
「いやいや、リョウ殿どちらに?」
「え?もう用事はないよね?」
「いや、盗賊を捕まえた懸賞金は捕まえた者が受けとるのだが?」
「え~別に要らないからあげるよ?」
「いやいや、そんな訳には行かぬ!私達は卑しいはぐれ冒険者ではないのだ!」
「はぁ~さっさと街に行きたいんだけどなぁ~」
リョウは関わりを持ったのが悪かったと諦める。
「わかりました、私も憲兵がくるの一緒に待ちますよ」
「わかって頂けたか!良かった」
マルザの笑顔に苦笑いしか出て来ないリョウだった。




