46.最初の町の最初の別れだわ。
ハリーさんから色々聞いた翌日、草原の銀風の皆は拠点である、アルメンに戻って行く。
リョウはギルドマスターと共に早朝日が昇りかけた頃、見送りに南門迄来ていた。
「世話になったな」
ギルドマスターの言葉を皮切りに各々が挨拶する。
リョウにも挨拶やお礼を言い、颯爽と南門を出て行った。
「お前はいつ旅立つんだ?」
ギルドマスターがリョウに聞く。
「知ってたの?」
リョウが少し驚いた顔でギルドマスターを見る。
「其くらいわからにゃ~ギルドマスターなんて務まらんさ!」
「成る程ねぇw今日の昼には行くわ」
「そうか、俺も又冒険の旅に行きてぇな~」
「ギルドマスターが居なくなったらどうすんのよ?」
「何とかなるだろ?」
「ならないわよ!」
たくこのおじさんは、、とリョウは頭を抱えた。
「今回の討伐でリョウはDランクに上がったからな」
ギルドマスターがリョウに新しい冒険者証のカードを手渡す。
「ありがとう」
リョウはカードを受けとり空間収納にしまう。
時間が経ち昼になり、リョウは必要な荷物を空間収納に納め宿を後にする。
「又この町に来たら、当宿をよろしく」
宿の主人がリョウに頭を下げる。
「その時は又利用しますね」
リョウは返事を返し宿から出て行った。
南門に着くと見知った顔を見つける。
ギルドマスターにナールにウル達である。
「お見送り何ていらないって言ったのに~」
リョウは朝ギルドマスターに見送りはいらないから、と告げて居た。
「そんな訳にもいくか!お前はこの町を救った功労者の一人だぜ、クライン殿もくれぐれもよろしくってたぜ!時間的に抜けられず悔しがってたぜw」
「そこは助かるわ、どんな顔して会えばいいかわからないもんw」
ギルドマスターの采配かしら?そう思い笑った。
「リョウ君には、本当に色々お世話になったね、これお弁当だよ道中食べてよ」
ナールから包みを受けとる。
「ありがとう、美味しく食べるわねw」
カノン母マリとリリがリョウの近くに来る。
「本当にお世話になりました、まだ恩も返せてないのに、、、」
「気にしないで下さい、今度は身体を大事にしてね」
「リョウちゃん行っちゃうの?」
「又遊びにくるからねリリちゃんも無理しちゃ駄目だよ?」
「うん!無理しないから、絶対遊びにきてね」
「うん、絶対くるねw」
カノンがリョウの横に来て話しかける。
「僕本当に感謝してます、リョウさんと出会えなかったら、、」
カノンはもう涙目だ。
「お母さん大事に、しっかり料理学んでね」
「うん、いつか僕の料理をリョウに食べてもらうからね」
「アラ?じゃ~楽しみにしてるねw」
ウルがリョウの前に来て拗ねたように話す。
「何もこんなすぐに旅立つ必要ねぇだろ?」
「まぁ、思い立ったら束行動が私のもっとうだからw」
「なんだそりゃ~」
「何ウル実は寂しいの?私の事好きになっちゃった?www」
「なるわけねぇだろ!ズバン」
リョウのお尻を蹴るウル。
「もうね、4つにお尻割れてるからね!」
「もう新しい魔物になりやがったか!」
二人のやり取りを見て全員が笑う。
「又来いよ」
ウルはそれだけ言うとリョウに背中を向ける。
涙を堪えているのか、ウルの肩が震えている。
「ウル良い男になってね、リリちゃんを大切に」
リョウはウルの耳元でそう呟く。
「けっさっさと行っちまえ!」
背中を向けたままリョウに言う。
「じゃ~ね皆又ね~」
リョウは手を振りながら、南門から勢い良く出て行った。
皆リョウの姿が見えなくなる迄見送った。
各々が自分の戻る所に帰って行く。
ウルだけが再び振り返り「アイツに貰い手がなきゃ~俺が、、、」
小さく呟きそして又歩きだした。
第1章終わりです。




