43.結局神様であれ人であれ恋愛はムズいのだわ。
この世界の地図等を探すべく、図書室の奥に進んで行く。奥の方は余り清掃が行き届いてなく埃をかぶっている物もある。誰も手に取って読んでいない証拠でもある。
「創世神記」良くある神様が世界を作った時の物語かしら?リョウは埃を払い、ペラペラとページをめくってみた。
この世界の創造神アブスはある時別の世界の創造神バヌツに恋をした。
アブスは自分の世界にその創造神を招こうとしたが、別の世界のバヌツ創造神はそれを拒否する。
何故なら、別の世界に来てしまうと創造神の力を失い、自分の収めている世界のバランスが崩れてしまうのだ。
そうなれば、その創造神の居た世界はいづれ崩壊する事になる。
「アルン(神の見捨てた世界)」と呼ばれ消える運命に身を委ねる事になるのだ。
でも諦めきれないアブスはバヌツを禁断の創造神の魔法を使い、自分の世界に連れてきてしまう。そして自分の神の宮殿に封印してしまう。
その時抵抗したバヌツが流した涙によってこの世界が生まれたと言われている。
「突っ込み所満載ですけど?どんな物語よ」
リョウはページをめくりながら物語に突っ込む。
「こんな物語り子供が聞いたらトラウマになるわ!!ただのストーカー監禁事件の神様編じゃん!」
リョウの突っ込みの声が大きかったのか?リョウの背後から「図書室では静かにするんだ」と声をかけられた。
振り向くと草原の銀風のタンク役のハリーが立っていた。
「すいません、つい夢中になっちゃって、、」
ハリーがリョウの手に持っている創造神記を見る。
「懐かしく物を読んでるな?」
「ハリーさんはこの物語知ってるんですか?」
「子供の頃読んだ事があるが、内容が子供向けでは無いのでな、、」
「ですよね~なんかドロドロしてるしw」
「そうだな、その物語は続きが有ってな」
「どんな続きですか?」
「確かバヌツの世界の神々がこの世界にバヌツを取り返しに来て、この世界の創造神アブスと戦うだったかな?」
「結末はどうなったんですか?」
「アブスが勝利して、神々を時空の間に追いやっただったかな」
「アブスが勝ったんですね?凄い執念ですね?事の発端は自分なのに、、」
「ただアブスも力を使いきり、力を取り戻す迄長く姿を消す事になったらしい」
なんだか神様らしくない物語を書いたもんだとリョウは思う。
「それでこのアクトにバヌツの封印されている神の宮の鍵が隠されたとか」
「何ででしょう?」
「さて、理由は物語には書かれていないが、、力がない自分では再び神々が鍵を取り返しにきたら守れないとでも思ったんじゃないか?」
ハリーは自分の見解をリョウに話す。
「でも、神々なら容易く見つけるんじゃ?」
「それが鍵を隠した場所は、神でも見つける事は出来ない結界が張ってるらしく、その結界は男でも女でも動物でも亜人ですら通れない結界だという」
「本人しか無理って事でかすかぁ~」
「ま、そう言う事だな」
なんか神様も恋愛ベタと言うか何というか、、リョウは言葉を失う。まぁ、物語は面白おかしく作るものだから、、にしてもドロドロ過ぎるよね~っと作者の名前を探すがなかった。
「これ誰が書いたのかな?」
「俺のじいさんの子供の頃には既にあったらしいぞ?」
「そんな前から、、」
「教会は主に創造神のアブスを崇めているから、その創造神記をアブスを貶める為に穢れた者が書いた物語だ!とか言ってるらしい」
「まぁ、自分達の奉る神様がこんな頭のヤバい感じで書かれてたら、、ねぇ、、」
リョウは教会に同情した。しかしハリーがこんなにも話やすいとは、リョウは少し驚きながらハリーを見る。
「そう言えば、リョウは何故図書室に来たんだ?」
ヤバい神様の物語とハリーとの会話に目的を忘れてたリョウは「そうだ!」本来の用事を思い出した。




