35.ゴブリン殲滅②だわ。
「おい、こっに来てるゴブリンの数尋常じゃね~だろ?」
西門に回された冒険者達が騒ぐ。
「西門にこれだけ来てるのに南門から応援がないって事は、、」
「あっちもこれだけか、これ以上来てるって事だろ?」
「あっちにはBランクの草原の銀風やギルドマスターがいるんだぜ?それでも捌けないなんてこたぁ~」
口々に推測するも、ゴブリンの波によってジリジリと前線が下がってきた。
もう後僅かで西門を突破されそうな勢いだ。
最終的には何人かが門の外で命をかけ、何人かが門を閉めて籠城体制に移行する手筈だが、これだけの数のゴブリンを前にいくら補強した門とは言えそう長くは持たないだろう。
「皆踏ん張れ!私達の後ろには多くの市民がいるのだ!」
騎士団もまさに満身創痍だが、クラインは最後迄諦めたくなかった。
また一人また一人と傷付き、倒れ、それでも自分の方に多くの市民の命がかかっている。
それだけを胸に秘めゴブリンの集団に立ち向かっていた。
しかし、数の暴力の前ではそれも風前の灯だった。
治療師が西に居なかった為、草原の銀風の中で唯一西門に派遣された僧侶のミリが顔をしかめる。
「運ばれてくる冒険者が増えたわ、このままでは戦線が崩壊する、、、」
「狼煙を上げろ!」
作戦段階で決めた、門が破られそうな時に狼煙を上げ籠城体制に移行するを実行に移すべく、精神に指示を飛ばす。
「ここまでか、、ならば一匹でも多く道連れにしつやる!」
もとよりクラインは最後迄門の外で戦うつもりだった。
「ガシュ~」ゴブリンの放った矢がクラインの左足をとらえた。それでも足を引き摺りながら、ゴブリンを倒していく。
「ザシュ」無情にもゴブリンの短剣がクラインの腹に突き刺さり「ゴブゥ」クラインの口から大量の血が流れ落ちる。
「団長!」騎士団の団長の叫び声が響く。
クラインの意識が飛びかけた瞬間「パーフェクトヒール(完全完治治療)」
テータの身体が柔らかな光に包まれた。
「間に合った!」
柔らかな光が消えた時、クラインの身体は傷等最初から、無かった様に綺麗に消えていた。
傷が確かにあったと示すのは、裂けた服の切れ目のみだった。
「リョウか?」
「はい、助けに来ました」
「この魔法は一体、、、」
「それよりも今はこいつらを始末するので、待っていて下さい」まるで夢の中の様な、もしかしたら死んで幻影を見てるのでは?と混乱しているクラインをその場所に残しリョウは前線に歩く。
「冒険者達は一旦下がりなさい」又も威圧を伴い指示を出すリョウ。こちらも男子は股間を押さえながら、下がる。
その冒険者達の前に出てリョウは「アイスプリズン(氷の監獄)」を唱える。
南門と同じくゴブリンを大量に巻き込み、門を塞ぐ様に半円の氷の壁が現れた。
「もう終わりにしましょう」
リョウは「フライ(飛翔)」を唱えて空高く舞う。




