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29.グダグダ言うんじゃ~ないのだわ。

「さてと、先ずギルドマスターを探さないと」

リョウはナールからギルドマスターが行きそうな場所を予め教えて貰って良かったと思った。

何故ならこんな事になるとは思わなかったので、ギルドマスターにマッピングを付けていないからである、足で探さないといけない訳だが時間がかかりすぎる。


ギルドマスター御用達の工房に足を運んだ所で、見つかった。

工房の中で鍛冶職人と何やら話こんでいる。

「ギルドマスター」

リョウは声をかけるもリョウの声は届いて無いみたいだ。

近くに行き「ギルドマスター!」再度声をかける。

「おお~リョウか?どうした?」

「ちょっと聞いて欲しい話があるので、そこまで来て貰えませんか?」

「今大事な道具の話で、後ではダメか?」

「ダメです、今すぐ来て下さい」

リョウの真剣さに何か思う所があったのか、「わかった」とギルドマスターはリョウに付いてきた。

人気の無い裏路地に入りギルドマスターの左手を掴みスラムのカノン達と話した原っぱに転位する。


「え?ここは?ええ?」

いきなり転位したからか、ギルドマスターは驚きながらリョウを見る。

「ここは東の外れのスラムの更に外れです」

「おま、、まさか転位って、、」

ギルドマスターが驚くのも無理は無い。以前貰って話たが、転位には何人かの転位師が必要であり、個人でホイホイ転位など出来ないからだ。


「そんな事はどうでも良いんです」

「どうでも良いってお前、、それは」

「もう本当うるさい!先ず私話を聞きなさいベッドに引きずり込むわよ!」


雰囲気の変わったリョウにギルドマスターは思わず後ずさる。長年の冒険者としての直感がそうさせたようだ。

「リョウはそっち系の人物か?」

お尻を左手で抑え、更に後ずさるギルドマスター。


その様子を見てリョウは思わず、「抱かれる方だから!」と言ってしまった。

「そ、そうか、、」ギルドマスターは今度は自分の股間を左手で覆い隠した。


「そんな話はどうだって良いの!別にギルドマスターを狙ってなんかいないから私!」

リョウはギルドマスターの反応にイッラっとしていた。

ただギルドマスターとしても、イキナリ人気の無い所に転位して、ベッドに引きずり込むだの、抱かれる方だの言われたら、穏やかではいられない。

男なので、純粋に女が好きだしそっちの道は歩いた事は無いのだから。


「そ、それで話ってなんだ?」最大級の警戒をしながら、リョウに目的を尋ねる。

「右手の事、ナールさんにきいたわ」

途端にギルドマスターの警戒心が緩む。

「そうか、、気にするなって再三あいつには言ってるんだがな、、、」


「ギルドマスターは気付いてる?自分が死に場所を求めてるって?」

リョウのその言葉に一瞬ギルドマスターは目を見開く。

「リョウの言葉をきいて心にストンって落ちる物があったよ、俺は死に場所を探してたのか、、、」

暫くお互いに沈黙する。


「結局あいつに気にするなっていっときながら、俺自身が無意識に気にしてたのか、、」

「そうみたいね、ナールさんは気付いてるわよ?」

「そうか、、あいつには悪い事したな、無意識とは言えあいつを責めてるも同然だ、情けねぇ~な俺は、、、」

ギルドマスターが悔しそうに口を噛む。


「私ナールさんから依頼を受けてるんだけど?」

「あいつから依頼?」

「そう、ギルドマスターの心を何とか救って欲しいって」

「は!あいつもお前も一丁前にギルドマスターを心配しすぎだっての!」

「私なら右手治せるけど?」

「お前が?上級ポーションや上級司祭でも治せなかったのにか?」

ギルドマスターが鼻で笑う。

「だいたい、時間がたった欠損は、、」

「だからうるさいっての!治したいか?治したくないか?話しはその二択だけだっての!」

リョウがイライラしながら、ギルドマスターに要件を突きつける。


「そりゃ~治したいに決まってる、俺はまだまだ冒険したいし弱い者達を救いたい!あの時俺を助けてくれた冒険者達のように!!」


ギルドマスターとしてではなく、一冒険者のバラインとしての叫びを確か2リョウは聞いた。


リョウはギルドマスターの欠損した右手首に障り「パーフェクトヒール(完全完治治療)」呪文を唱えた。



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