27.ギルドマスターの男気だわ①
長くなるから2部制です。
「リョウ!」ギルドマスターがリョウの名前を呼びながら、こちらにやってくる。
「テータ殿と話が終わった、クライン殿はリョウが承知するならかまわないとのことだ」
「そうですか~」
戦える事を知ってるクラインも、ギルドマスターに殲滅作戦に少しでも戦力が必要だと言われたら、頷くしかないのだろう。
自分の我が儘でクラインの側に居たとして、南門の作戦に支障をきたしたらテータの立場が危うくなるかも?リョウはそう思った。
「わかりました、では南門の作戦に参加します」
「おお~そうか!」
「実際少しでも戦力が欲しかったし、リョウは回復魔法も使えるらしいから助かる」
「俺達もリョウのサポートするからな」
「ありがとうございます」
「じゃ~俺達は残りのメンバーと合流して南門に向かうな、リョウ又後で」
そう言い残し草原の銀風達は足早にギルドから出て行った。
「俺も準備が終わり次第南門に向かう、リョウは準備は大丈夫か?」
ギルドマスターがリョウに尋ねる。
「はい私は大丈夫ですが、ギルドマスターも戦うのですか?」
「あぁ、俺はこれでも元々Aランクの冒険者さ、4年前の戦闘で右手をもっていかれ、今はそんなに戦力にはならんがゴブリンの10匹や20匹位道ずれにしてやるさ、わははは~」
ギルドマスターが豪快に笑う。
「いやいや、ギルドマスターが死んだらここのギルドはどうするんですか?ダメですよ」
ギルドマスターの真剣な眼差しにリョウは冗談ではない気概を見つけて焦った。
「リョウは何故冒険者になった?」
ギルドマスターの不意の問にリョウはまさか証明書が欲しかったからとは言えずに沈黙してしまった。
「まだ若いから、冒険や何かに憧れてとかかな?」
「まぁ~そんな所です」
理由としてはおかしく無いので、ギルドマスターの話に乗っかるリョウ。
「わははは~俺も憧れた一人さ」
ギルドマスターが自分の過去を語りだす。
「俺の生まれた村は小さく貧しくてな、自分達の生活で手が一杯だったんだよ、皆生きるのに精一杯って事だ」
昔を懐かしむような目をギルドマスターはしている。
「俺もまだ幼くいが家の手伝いを良くさせられたもんだ、そんな時村の付近にワイルドウルフという魔物が出てな、普段はそんな所にいない魔物なんだが、、」
「村人が畑仕事中に教われてな、そんな村なもんだから戦える大人も居なくて、皆家に逃げ込んだ」
「それでどうなったんですか?」
リョウはギルドマスターの話に聞き入っていた。
「ワイルドウルフにとっては、村の家なんか障害にすらならず体当りで、一件又一件と壊して行った。当然中の村人は食われてな。」
当時の悲惨な情景を思いだしているのか、左手を強く握るギルドマスター
「その時だ、冒険者のチームが助けてくれたんだよ、知らなかったが、村の近くの山に特殊な薬草が自生していたらしく、たまたま採取に来てたそうだ」
「もう大丈夫だ頑張ったな!怖くて震えて隠れてた俺に、その冒険者がそう声を掛けてくれた時体に何かがビシって走ったんだ」
「ふう~ワイルドウルフは無事退治されたんですね」
安堵のため息がリョウからもれた。
「しかも貧しい村の為お礼も出来ない俺達に、「弱い者を守りたいから冒険者になったんだお礼は要らない。」ってそのまま帰っていったんだ」
「格好いい人達ですね~」
タイプじゃなくても惚れてるな~とリョウは思った。




