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23.凄い報酬を貰ったのだわ。

「うわぁぁぁん~」

見える事を確認して再びリリは泣き出した。

リリが落ち着く迄優しく見守りながら待つ二人。

ウルはリリの頭をゆっくり撫でていた。


「リョウさんありがとう」

落ち着いたリリはリョウにお礼を述べる。

「良いのよ、困った時はお互いに様って言うの知ってる?」


「何処で言うんだよ?困ってたって助けてくれる奴なんてほとんどいないぜ?」

今までどんなに困ってたって助けてくれた人は本当に少なかった。たまに野菜のクズやらを恵んでくれる農家の人とかは居たが稀である。


大体がスラムの人間とは子供とはいえ関わり合いになりたく無いと拒否するだ。


リョウとて、元の世界で同じ様な出来事が有ったら関わり合いにならないかも知らない。

今は、違う世界で自分が魔法が使える賢者だから、手を差しのべれるに過ぎない。

持たざる者に持っている者が何がしら支援する、

建前上は元の世界もこの世界も存在しているのだが、本当に建前上でしかない。


「富める者はもっと豊かに、無き者はもっと貧しくか、、、」

全てを救える訳では無い事位リョウとて認識している、だが自分の手の届く範囲位救えるなら救いたいとも思っている。


「まぁその話しは置いといて、少し後にこれからの話しをしましょう。」

「これから?」ウルが訝しげにリョウの顔を見る。

「そう、君達兄妹とカノン親子のこれから、身体が治っても生活出来ないと意味無いでしょ?」

「それはそうだけど、俺達スラム出を雇ってくれる所なんてないし、、、」

「まぁ、とりあえず2日~3日したら又来るからその時に話ししましょう?」

リョウは収納空間にある買い込んだ食糧を全て出した。

「これだけ有ればウル兄妹とカノン親子2家族分足りるかな?」

「わぁ~凄い!パンや野菜、それにお肉も沢山ある~」

リリが目を輝かせ食糧を眺めてる。

「足りるけど、こんなにして貰っても、、何もお礼出来ないぜ?」

「大丈夫、ただのオネェさんの気まぐれだから」

「けど、、」

「大体子供が遠慮するんじゃないのよ?」

「そこまで子供じゃ~ね~よ!」

少しすね気味にリョウにウルは返した。


「とりあえず、夕方から用事があるからもう行くね?カノンの所迄食糧持って行ってね?」

「わかった、ちゃんとカノン家に持って行くよ」

「リリ、2家族分に分けられるか?」

「リリ出来るよ、お兄ちゃんは?」

「俺はリョウをスラムの出口迄送って行くから」

「え?別に良いのよ?私一人でも迷わないから」

「ここまでして貰って、そんな事は出来ね~よ!」

「ならスラムの出口迄送って行って貰うねwリリちゃん又ね」

「リョウさん本当にありがとう、又絶対来てねw」

リリがリョウに手を振りながら、本当の笑顔で送ってくれる。


作り笑顔ではなくなっただけ、今日私が来た意味があったかもね。

リョウはリリの笑顔をみながら、胸を撫で下ろす。


ウルとスラムの出口付近迄辿り着いた。

「リョウ本当にありがとう、リリやカノンの母さんの事も」

「良いのよ、さっきも言ったけどただの気まぐれだこら」

余り気にし過ぎて負い目に感じても良くないかな?とリョウは少しドライにそう言った。


少しの沈黙の後「リョウ!しゃがんで」

ウルがリョウに頼む。

「何?どうしたの?」

「良いから!しゃがんで!」

リョウは何だろう?と思いながらしゃがんだ。


「ちゅ」ウルがリョウの口にキスをする。

え?一瞬リョウは何が何だか分からなかった。

「これ俺が今出来る最大のお礼だから。カノンやリリには内緒な!」

ウルが明後日の方向を向きながらリョウにそう伝える。

「もしかして、私の事、、、」

「それは断じて無い!」

「え~否定するの早くない~?」

「当たり前だ!俺は普通に女の子が好きなんだから、誤解されてたまるか!」

「ウルのけ~ち」

「けちとかの問題じゃ~ねぇよ!」

「じゃ~もう一回」

「するか!」

「やっぱりウルはけちじゃん」

「俺も初めてのキスだったんだ!」

ウルは再び明後日の方向を向き叫んだ。


少しの沈黙の後、「ありがとう、もうこれで報酬としては文句ないよ」

リョウがウルにそう言う。

「そんな価値はねぇよ」

「いや、ウルの初めてのキスなんだからお釣が出る位だよ」

「ばっかじゃね~の?俺もう戻るからな」

「じゃ~又2日~3日後にね」

「おう、、、又な!」

ウルはそう言い残し戻って行った。


リョウは今のやり取りを思い出し、クスクス笑う。本当に凄い報酬貰っちゃったな~っと。


来た時の様にスラムの出入り口には、スラムのインテリアおじさん(勝手にリョウが思ってる)が来た時と変わらず酒の瓶を抱え壁にもたれながら寝ていた。


「嘘!そんな、、一体どこから?」

リョウは驚愕した。酒の瓶が2本に増えていたからだ。

スラムのインテリアおじさんのバージョンアップに唯々戦慄するリョウであった。




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