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20.カノン母登場だわ。

カノン親子号泣だわ。

「とりあえず、妹さんやお母さんの身体の状態を見ないとね」

リョウがそう二人に告げる。

「先にカノンの方から」

「先にウルの方から」

同時に相手の方をと、二人が言う。


「本当に仲がよいんだね」とリョウは微笑ましく思う。

「とりあえず、カノンのお母さんから見ようか?」

リョウが二人に提案する。


「じゃ~僕の家に案内するよ」

カノンが待ちきれないとばかりに、リョウの腕を引っ張る。

「リョウ早くいこうぜ」

ウルもリョウを急かす。


「はいはい、慌てないのよ」

リョウは急かされるまま、駆け足でカノンの家に向かうのだった。


「母さんただいま」

カノンが家の扉を開け、そのまま母のベッドに向かう。

「お邪魔します」

リョウとウルがその後に続く。

「ゴホゴホ、お帰り」

カノンの母がこちらに声をかける。

全身が痩せ細り、顔色も悪い。

寝たきり生活が長いからか?臭いも相当な感じだった。

鑑定をする迄もなく、瀕死の状態だった。

ベッド近くに寄ったリョウを見つけ「あの~どちら様ですか?」

弱々しい声でリョウに尋ねる。


「母さん身体治るんだよ!」

カノンが母に嬉しそうに告げる。

「どういう事なの?」

状況が掴めないカノン母は困惑気味に聞き返す。


「私からどうしてそうなったか?説明しますね」

リョウがカノン母に説明をする。

もちろん、食料の窃盗やお姉さんのくだりはカットしながら。


「家には対価に、何も差し上げられる物がありませんが、、」

「大丈夫ですよ、まぁ自分の治癒魔法で治る保障はないし、気楽に受けて下さい」

リョウはそう言うやいなや「パーフェクトヒール(完全完治治療)」

いきなり聖魔法の最上級治癒魔法を使った。


白く輝く光がカノン母を優しく包みこむ。

その光が収まって、皆がカノン母を覗き込む。

そこには、顔の血色が良く全身にそれなりに肉が戻った女性がいた。


「あぁ~か、母さん!」

カノンが母に抱きつき涙を流す。

「息が苦しく無い、身体が動くわ、、」

暫く茫然としていたカノン母だが、「カノン!」

ぎごちなく身体を動かして泣きながらカノンを抱きしめる。


「身体の状態は良くなったけど、今迄寝たきりだったから、筋力は落ちてるから少しづつ身体を動かしてね」

リョウがカノン親子にそう告げる。

「リョウさんありがとうございます」

カノンがリョウの手を握りしめる。

「本当にありがとうございます」

カノン母も上半身を起こし、涙を流しリョウに頭を下げる。

カノン母は覚悟を決めていた。いずれ自分が子供を置いてあの世に旅だってしまうのだと。

我が子に何もしてやれないまま消えてしまうのだと。

悔しかった。寂しかった。だがどうする事も出来ない事に絶望していた。

せめて子供に負担を掛けない様、早く旦那の待つあの世へと旅立つ事を願っていたのだ。

リョウに感謝してもしきれない。


「いやいや、これからが大変なんで」

カノン母は、これからリハビリをしながら身体をしっかり動かす様にしなければならないし、これからが大変だと言える。

まぁ、今までの事を思うなら頑張れるとは思うけどとリョウは考える。


「次行く所があるので」

リョウはそうカノン親子に伝える。

何も言わないが、カノン母が治ってからウルがリョウの服の袖を引っ張っているのだ。


カノンも気づいた様子でウルに頭を下げる。

ウルは軽く手を振り、リョウの手首を掴んで自分の家に向かう。

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