2.白い鹿の様な?動物だわ。
大体白い生き物は神の使い説。
「う、っっっ。」
リョウは頭の痛さに目を覚ます。
「ここは?」
見渡す限りの白。何も無い空間が目の前に広がっていた。
「目覚めたか?」
リョウの真後ろから突然声がした。
振り返るとそこには、白い鹿?の様な動物が居た。
「目覚めたか?」
一回目を瞑るも、やっぱり白い鹿の様な?動物が話しかけてきた。
「私、夢をみてるのかしら?」
漠然とリョウが考えて居ると
「夢ではない。」「私は白い鹿の様な動物ではなく、シャランと言う。」
と、白い鹿の様な動物が話しかけてくる。
「白い、、まぁ、それは置いといて、今の状況の説明をお願いしたい。」
リョウがそう言うと、白い鹿、、もといシャランが一鳴きする。
すると、リョウの頭の中にここに至る迄の映像が流れ込んできた。
「成る程、私死んだのねぇ~。」
「我ながら、呆気ない人生だったわ。」
と、28年間の短い人生を振り返る。
一度位、燃える様な相思相愛の恋愛がしたかったわねぇ~っと他愛ない事を考える。
「意外とすんなり受け入れるのだな。お前には違う世界に行ってもらう。」
シャランがリョウにそう告げる。
「はい~???」
リョウはシャランを見据えた。
「お前を憐れに思ったこちらの世界の恋愛神様の思し召しだ。」
シャランはリョウにそう告げる。
「恋愛神???」
リョウは首を傾けたが、こちらの世界と言うキーワードにピン!!と来た。
「まさか異世界転生って奴?」
「私、もう一回人生やり直せるの?」
シャランは静かに首を縦に降った。
「異世界、、お前の世界の言葉では、そう言うのだな。」
リョウは転生系ゲームも嗜んでいた為、理解力は有る方だ。まぁ、主に主人公とかサブキャラのイケメンな登場人物が好きなだけだが。
転生って事は、生まれたてから始まるのかな?
魔法とか使えるのかな?
生まれは貴族とかのお金がある程度有る言えに生まれたいな。
色々思考を重ねていると、シャランが「転生する体はもう出来てる。」と告げる。
「出来てる?」リョウが再び首を傾ける。
「そうだ、世界が違うと魂の形が違うのでそれにあった器を用意する必要がある。」
「お前の器はこれだ。」
何も無い空間から、突如全裸の身体が現れる。
年齢は18歳位だろうか?
シルバーの髪にスマートな無駄の無い肉体、引き締まっていて、それでいて顔は少し幼い。少年から大人になる過程の程よい感じだろう。
顔はイケメンの部類に入るのだろう、ただ恋愛対象としては合格でも、それが自分自身となると微妙だ。
「これが、私の新しい身体かぁ~、、」
欲張って言えば、女の身体が良かった。
顔も綺麗系か可愛い系。武器のバインバインは大きめで。
「あの~女性の身体は有りませんか?」
リョウはシャランに尋ねる、厚かましいのは十分承知だが、諦めきれなかった。どうせならと。
「この身体だけだ。」
シャランはリョウにそう伝える。
「何とかなりませんか?」
「ならん。」
「そうですか、、、」
リョウはあからさまに肩を落とした。
転生体の身体の下の方を見ると、見慣れた物がぶら下がっている。しかも、前世より一回りは大きい。
「そんな所のサービスなんていらないわょ、、」
リョウの呟きに反応した訳では無いだろうが
「その代わり、望む能力を付ける。」
肩を落とすリョウにシャランは告げる。
「質問なんですけど~?転生する世界はどんな世界なんですか?」
どんな世界か知らず能力を貰う事は出来ない。
リョウはシャランに転生する世界の事を尋ねる。
「剣もある魔法もある魔族も魔物も居る世界だ。」
「望む能力は魔法なら魔法スキル、剣なら剣のスキル、武術なら武術のスキル」「後は商売のスキル鍛冶師のスキル等位か、、そのどれかを一つを選べ。」
「一つだけ?」
「そうだ。だがその一つは極限迄スキルを上げてやる。」
「成る程、本当にゲームみたい。」
リョウの嗜んでいたゲームでは、所謂極振りと言われる奴なんだろう。
リョウは考える。
と言う事は、魔法一択よね。ファンタジーなんだし。
剣士や武術家なんかになった日には、身体がゴツゴツに成長して、イケメンと恋なんて夢の又夢じゃない。
ただでさえ、身体は男なんだから自らハンデ背負い込まなくても良いものね。商売は難しそうだし、鍛冶師は筋肉付くし汗臭くなるから論外っと。
どうせ生まれ変わるなら、今度こそイケメンと恋愛したい。
「じゃ~魔法でお願いするわ。」
リョウはシャランにそう告げる。
「判った。」
シャランが答えたら、辺りに黄金の霧が立ち込め創られた身体に入っていった。
「これで、魔法全般使える様になった。」
「後は、こっちの世界の物品を入れたマジックバックを渡しておこう。」
「なにから、なに迄ありがたいわ。」
リョウはシャランに頭を下げる。
「感謝する事は無い。恋愛神様の言い付けだから、世話をしているまでだ。」
シャランは素っ気なくそう答える。
「そう言えば、恋愛神様には逢え無いのかしら?」
リョウは一応恋愛神にお礼でもと思い尋ねる。
「、、、恋愛神様はお忙しい。」
「そろそろ送るぞ。お前が行く世界の名は「アクト」だ。」
そう言えば、転生して何かするのか?聞いて無かったとリョウは思った。
「あ!その世界で何かする事はあるのかしら?」
最後にそれだけは聞いておかないとと、シャランに尋ねるも
「お前には使命とか何も無い、好きに生きるが良い。」「しいて言うなら元の世界で掴めなかった愛を手にする為頑張れ。」
シャランは再びリョウに素っ気なく告げる。
そして、シャランが首を振ると辺りに黄金の霧が立ち込め、リョウの記憶が途切れる。
「さてと、どうなる事やら楽しみだね笑」
感情の起伏が無いシャランが愉快そうに口にして、白い鹿の様な動物から人に変わる。
その姿は、全身黒いワンピースをした美しい姿だった。
「女の子に転生すると面白く無いですよねw」
「それじゃ~ありきたりの物語ですしw」
と朗らかに笑う。
しかし途端に真面目な顔になり「彼、、心は彼女だったか、、ならもしかしたら、、、あの場所にたどり着けるかしら?」
そう呟き黒衣の美人は消えていった。




