17.多感な年頃は傷付きやすいのだわ。
シリアスさんが団体でやって来たのだわ。
「くはぁ~もう喰えねぇ~」
「俺も腹一杯だぁ~」
少年達は各々お腹をさすり満足そうにしている。
結局、少し大振りの肉串をそれぞれ5本づつ平らげた。
満腹感で幸せに満たされている少年達にリョウは話しかける。
「少し二人の事情を知りたいのだけど話してくれる?」
「何でも聞いてくれよ」
「俺も何でも話すよ」
少年達は最初の警戒心がすっかり解けたのか、リョウに対して対応が柔らかくなった。
「お腹一杯になって良かった。私はリョウって言うのよろしくね」
「先ず初めに二人の名前と家族構成を教えて」
隠蔽魔法で覗いていたため名前やある程度の事情は知ってはいたが、覗いてました!とも言えない為名前から聞き出す。
「俺はウル、年は15才で12才の妹のリリと二人暮ししてる」
「僕はカノン、年はウルと同じく15才母さんと暮らしてる」
覗いてみてた状況通りだ。
「ウルの所はお父さんお母さんは?」
「俺の所は両親が行商人で、3年前に行商途中に魔物に襲われて、、、」
途端に顔を曇らせるウル少年。
「僕の所はお父さんが冒険者だったんだけど、依頼に失敗して、違約金が払えず奴隷落ちして、鉱山で強制労働に、そして身体を悪くしてそのまま、、、」
二人共目に涙を溜めている。
「俺の所は妹のリリが生まれ付き身体が弱くて、最近じゃ~目も見えなくなってきて、、」
「僕の所も、母さんがお父さんの違約金を払う為、無理して働いて違約金はお父さんが死んだから無くなったけど、無理して働いてたのが影響してか、今度は病気になって、、」
堪えきれなくなったのか?二人の目からボロボロ涙が溢れて零れ落ちる。
「俺達15才だからさ、働き口を必死で探したんだ」
「けど、スラムに住んでるってわかるとどこも雇ってくれなくて、、、」
この世界では一応15歳で成人と見なされるらしい。
働く事は出きるが、スラムに住んでる事が採用されない理由だろう。
「そっか、それで食料を盗んでたんだね」
「俺達も悪い事だって判ってるけど、けど、、」
ウル少年はそこから言葉が出せずに、涙だけが止めどなく溢れていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、、」
カノン少年が泣きながらリョウに謝る。
本当は悪い事だと、、凄く後悔をしていたんだなぁ~とリョウは二人を見て感じる。
でも生きてかなきゃだし、病気の家族は居るわで、どうする事も出来ない状況だったのだろう。
リョウは、少年達の頭を優しく抱え何度も何度も頭を撫でた。
リョウの目にも、再び涙が溢れていた。




