16.関わるなら、最後迄面倒を見るのだわ。
多分中国辺りの物語だったかな?ウロ覚えだわw
少しして、リョウが落ち着きを取り戻す。
でも、少年達は肉串に手を付けずにいた。
「いいから、食べなさい」
そう促すが、少年達は黙ったまま食べない。
「まだあるから」
リョウは空間収納から、新たに肉串を取り出す。
そしてもう1本づつ少年達に手渡す。
「家族の分もあげるから、今はお腹一杯食べなさい」
少年達は目を見開く。
「本当か?嘘じゃないんだろうな?」
ウルと呼ばれた少年が声を張り上げながら聞いてきた。
「嘘じゃないから」
リョウがそう告げるとようやく少年達は肉串にてをつける。
「うぐ、うぐ、」
とてもお腹が減っていたのだろう、一心不乱に肉串を貪る。
「うめ~よ」
「本当に肉なんていつぶりだろう?」
両手に持った肉串を交互にかぶり付き、涙を流しながら食べている。
そんな少年達をただジーッと見守りながら、リョウは少年達のこれからの事を考える。
一時的に空腹を満たしたとて、それで解決なのではないのだ。
リョウは元の世界の物語を思い出す。
ある所にお腹をすかした貧しい親子がいた。
たまたま釣り竿と釣った魚を持った漁師が通りがかる。
貧しい親子は魚を恵んで下さいと漁師に話しかける。
その漁師は魚をあげる事を断る。
その代わり釣竿を渡し魚を釣る技術を教える。
そうして貧しい親子は魚を釣り生活していく。
この物語は、一時凌ぎに魚を分け与えるという行為を行わず、魚を釣る技術を教える所が肝なのだ。
一時的に空腹を満たしても、時間がたてば又お腹は減る。
その度に食料を恵んで貰えるとは限らない。
漁師も貧しい親子に関わるのなら、最後迄面倒を 見なければと考える。
なので自分達で生活出来る様に技術を教えたのだ。
リョウも一度関わったのなら、最後迄面倒を見るのが筋だと考える。
「とりあえず、この子達の状況を詳しく知らなければ、、」
そう呟きながら、少年達が空腹を満たす迄待つ事にする。




