15.先ずはお腹を満たすのだわ。
ダイエットしてる訳じゃぁ~無いのだから。
少年達が落ち着いた所で、拘束魔法を解除する。
「本当に憲兵に付き出さないのか?」
少年達はリョウに恐る恐る聞いて来た。
「出さないって、出した所で別に得無いし」
盗賊やお尋ね者なら懸賞金がかかってるので、多少は得があるのだが、たかが食料のかっぱらい位では憲兵も本気では動かない。
しかも、今は騎士団と共に色々動いているので
正直かっぱらい位で構ってられないのだ。
「俺達が捕まったら、身体が悪い母さんが生活出来ないから、、、」
カノンと呼ばれてた少年が頭を垂れる。
「俺の家も身体悪い妹とが、、、」
続いてウルと呼ばれてた少年もそう言いながら、涙をこぼす。
「その辺りの事情は判るけど、かっぱらいは良く無いよ?」
リョウは二人に諭す様に語りかける。
「悪い事だとわかってる、けどもうどうしようも無くて」
「働きたくても、保証してくれる人が居ないと働けなくて、、」
「スラム生まれは特に、、、」
二人は悔しそうに顔を歪ます。
「そうなんだねぇ、、、」
リョウはこの世界の事情は知らないが、スラム生まれの差別は判らなく無い。
身元のしっかりした人を雇いたいと思うのは、誰だってそうだろうし。
「スラムを出て生活するなら、男なら冒険者になるか、女なら身体を売るか奴隷になるか、、」
「ただ冒険者は15歳の成人迄登録出来ないし、俺達まだ12歳だから、、、」
元の生活なら12歳と言えば大抵親の庇護下で生活しているはず。
リョウはいたたまれ無い感情が胸の辺りに溢れるのを感じた。
「ぐぅ~。」
二人のお腹が同時に鳴る。多分盗んだ食料は家族に食べさせ自分達はあまり食べて無いのだろう。
「とりあえず、先ずご飯を食べよう」
リョウはニッコリ笑うと空間収納にある、屋台で買った串肉をだした。
「ゴクリ。」
二人の唾を飲み込む音が聞こえリョウは再び笑顔になる。
二人はもうホカホカの串肉に目が釘づけになっている。
リョウが1本づつ、少年に手渡す。
直ぐにでも食べはじめると思ってたが、少年達はなかなか口にしない。
「どうしたの?食べないの?」
リョウが不思議に思い尋ねると
「家族に食わしてやりたい。」
「もう何年も肉なんて食べさせてあげれてないから、、、」
リョウは再び号泣するのであった。




