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13.私、健気な話には弱いのだわ。

感動物みたら、涙腺崩壊しますw。

「ここかぁ~なんかいかにもって所よねぇ~。」

「ワープ(転移)」の魔法を使い、東の外れ迄やって来たリョウは一人呟く。

見た感じいかにもスラムです。と言わんばかりの外観をしていたからだ。

何回も修繕や、建て増しをした様な建物が複雑に入り組んで、真っ昼間から酒の瓶と思わしき物を抱えたTHEスラム人みたいな酔っ払いおじさんが、頭を垂れて座っている。

「もうこのおじさん、スラムのインテリアみたいね。」

横目でおじさんを批評しながら、自分に隠密魔法を使い盗賊少年達に近づく。


スラム街の更に端っこのみすぼらしい家に、辿り着く。

「この家ね。」

リョウはピン付けした少年達が暮らして居るだろう建物の前にやって来た。


壁は修繕はして有るものの、隙間だらけで中を覗くのには、苦労はしなさそうだ。

リョウはそっと、中を覗きこんだ。


「ほら、スープが出来たよ食べな。」

「お兄ちゃんありがとう。」

「おかわりもあるからしっかり食べるんだよ。」

「うん、美味しいねぇ~。」


とても清潔とは言いがたい部屋の中。

天井も所々に穴が空いてるらしく、そこから光が漏れて部屋の中を明るくしている。

と、いう事は雨の日には当然雨漏りが激しい事も想像するには容易い。


「ほら、リリこぼしてるぞ。」

妹の口を拭きながら、兄は泣いてるようだった。

「最近又目が見えなくなって来ちゃって~ってお兄ちゃんどうしたの?」

妹がスープを飲むのを止め、兄の顔を覗き込む。

「埃が眼に入って、顔を洗ってくるからリリはしっかり食べてるんだぞ。」

「うん、リリしっかり食べる。」

屈託の無い笑顔とはこの事かと、リョウは感心する。


そのまま家を出て、どこかに向かう少年。

後をつけるリョウ。

少年は迷路みたいな道を抜け、先ほどの少年の家と変わらないみすぼらしい家の前で立ち止まる。

「カノンいるか?」

少年は玄関扉と思わしき所から、中に声をかける。

扉が開き中からもう一人の盗賊少年が顔を覗かせる。

「ウル、、どうしたの?」

「話がある、出てこれるか?」

「今、丁度母さんが寝た所だから大丈夫だよ。」

カノン少年とウル少年が人気の無い所に歩き出した。

「なあカノン、やっぱり治療院に忍びこもう。」

「ウル、、それはダメだって言ったろ?」

「何でだよ、俺達なら大丈夫だって。」

「治療院は最近何故か警備が厳しくなってるって言っただろ?」

「でも、、、リリを見てられなくて、、最近又視力が弱くなってきてこのままじゃー、、、」

「ウル気持ちはわかるよ、、僕も母さんが段々痩せてきて、病気の進行が早くなってるっぽい、、」

「なら!」

「でも、万が一俺達が捕まったらだれが、リリちゃんや母さんの面倒みるんだよ!」

感極まったのか、少年達は無いいた。

そしてリョウも鼻を啜りながら号泣していた。


「ズビズビ~ううっ~。」

「誰だ!!」

少年達が音のする方へ振り向く。


「あ!しまった。」

隠密魔法は声を出すと解除される事を忘れてたリョウは失念していた。


少年達は何も無い所からいきなり姿を現したリョウを見て固まっていた。

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