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ヘタレワンコ王子のヘソテン

 レゼ、レゼルテアを私の目の前で奪うとはいい度胸だ。

 湧き上がる怒りを押さえることなく開放すると、あっけなくクソ令嬢とその従者とやらは威圧に気絶した。


 まあ、許すつもりはないがな。

 グーレラーシャ人の男の愛しい女に対する執着は他国ではロマンチックとか変態レベルと言われてるらしいが……いつ愛しい女を奪われるかわからない、遊牧戦闘民族時代の名残り(本能)だ。


 冷たい目でガナリスの影どもを見ると、少し額が後退した男がたじろいだ。


 「へ、変な連中に依頼される前にかたをつけてこいと頭領からの命令です」

 「最近、麻薬(ファグレア)組織とかも入り込んでますので」

 額ハゲ男の言葉を補うように女が言葉を重ねた。


 そういえば、黒猫軍師(叔父上様)が近く麻薬(ファグレア)の件でパイナ草原国に傭兵チームで行くと言ってたなと思い出した。


 つまり予防的に依頼を受けたはずが、裏をかかれたと言うわけか……


 大事な大事な大事なレゼルテア(ガナリスの姫)をおめおめと謎の男の手に渡すとは、私を含めてだが、ずいぶんガナリスの影の質も落ちたものだな。


 「当然、情報は集めてあるんだろうな?」

 二人を威圧を込めて見ると男が通信機を取り出してどこかに通信しだし、女は目線をそらした。


 ナルファリス若長に殺されるとつぶやいてるのを無視する。

 そういえば、レゼの弟のナルファリスがガナリスの影やガナリスの闇を仕切り始めてきたと資料が上がってきたと思い出した。


 このガナリスの影は表に出せる仕事を受けるチームらしいな……レゼは跡取り(戦士)でないからある事は知ってても、どこまで闇が深いか知らないだろうが……


ああ、レゼ……私の可愛いレゼルテア•ガナリス……どこに行ったんだ……


 私とレゼ、レゼルテアが初めて会ったのはちび幼児時代だ。


 姉のメリリノアと従姉妹の愛黎(アイリ)•ドーリュムにいいように女装させられたり、追いかけまわされてた、か弱い私はある日あの恐ろしい連中から逃れて、王宮の柱に隠れていた。


 私もだが、姉はカータシキ魔法塔国で強化(遺伝子操作)されたらしい竜人の父親を持ってるせいかすごくパワフルだ。


 ちび幼児だった私にはかなわない、どうしようと柱の影でしゃがみこみ顔を伏せた。


 軽い足音が聞こえて誰かがやってくる気配がした。


 姉か従姉妹かと恐怖が走る。


 『なにしてるの?』

 姉とも従姉妹とも違う可愛い声に顔を上げると栗色の長い髪をうさぎみたいにしばった緑の目の小さな女の子が覗き込んでた。


 『あっちに行って』

 『どこか痛いの?』

 女の子は威嚇する私の膝に小さな手をおいた。


 痛くないもんとプイっと顔をそむけるとこげ茶色の大きな初老の男性が女の子の後ろに追いついてくるのが見えた。


 『レゼ、探したぞ』

 『おじーちゃま、レゼは帰らないの、この子と遊ぶの』

 『僕は』

 キラキラした目で私の両膝に手をおいたちっちゃいにゃんこ……フェレット……女の子の後ろで目を細める初老の美丈夫に背筋が凍った。


 せっかく姉と従姉妹(恐怖の対象)から逃れてきたのに、さらに恐ろしい相手のふところに飛び込んだような……


 ルアティウス殿下と低い美声が言葉を紡いだところで私はいつもは入ってはいけない中庭に逃げ出した。


 待ってなの〜と可愛い声がして何かちっちゃいもんがついてきた。


 『あそぼなのー』

 『ついてこないで』

 逃げる前にちっちゃいのがしがみついてきた。

 ちっちゃいその手がなんだか払えなくて触ろうとしたら小豆色の制服(王宮警護官)に一人一人捕まえられて抱えられはなされた。


 『中庭に入るのは防衛上いけないとならいませんでしたか?』

 二人してジュバオム王宮警護官長に官長室の床に正座させられて小一時間怒られた。


 大人でしたら犯罪者ですよとちょっと、牢に入ってみますかと延々と怒られて足がしびれまくった頃に開放された。


 褐色ジジイもだいたい、なんでダウリウス殿も止めないんですかと一緒に正座で説教されて、はいはいと適当に返事してるのが印象的で余計に長引いた。


 えらい目にあったな二人ともと開放されたあとに伸ばした足を撫でながら褐色ジジイ(ダウリウス殿?)が笑ってちっちゃいの……レゼちゃん? がしびれるのーと褐色ジジイにしがみついてうおっレゼそれはきついーとさわいでジュバオム官長に精神力が足りませんと冷たい目で見られてた。


 『大丈夫?』

 『ありがとうなの』

 ちっちゃいレゼちゃんがにっこり笑ったのが可愛くて何か姉と従姉妹(怪獣たち)との差を感じてほっこりした所で扉が開いた。


 『ルー迎えに来たのです』

 『中庭入っちゃったんだってね』

 恐怖の対象(メリリノア)従姉妹(愛黎)が顔を出して無邪気っぽい笑いを浮かべてる。


 思わず震えて床に座ったまま後ずさった。


 遊び相手は可愛いくて強い姉上様と従姉妹でうらやましいっていうけど、僕には恐怖の存在だ。


 連中がのんきに近づいてくる、やっぱり怖いと思ったときちっちゃいレゼよいしょと掛け声と立ち上がって私の前に出た。


 『いじめちゃだめなの』

 ちっちゃい腕を精一杯広げて私をかばうレゼになんか嬉しいような悲しいような気がした。


 『……うわー、ちっちゃい〜可愛い〜』

 『うさぎちゃんみたいなのです〜』

 姉と従姉妹(女戦士)たちがレゼに飛びついて抱きしめた。


 きゃうーとかなんとかいいながらもてあそばれるレゼをジュパオム王宮警護官長は捕まえられたうさぎ戦士ですか〜と顎をなで、殿下はお姫様ですねと横目で見られた。


 情けない……自分よりちっちゃい子にかばわれて……


 それに、この子弱い……姉上様と従姉妹に荒々しく撫で回され、きゅーみゅーといってるレゼをみて慌てて立ち上がった。


 僕お姫様じゃない、レゼちゃんより強いとその時、護るべきものを見出したような気がした。


 『あ、姉上様、愛黎ちゃん、その子を離してください!』

 僕は思い切って突っ込んでいって……自分よりつよい姉と従姉妹(怪獣?)に撃退されたのはいい思い出だ。


 その時、絶対に強くなると心に決めた……でも、高等槍士(コウトウソウシ)になりグーレラーシャの牙と呼ばれる今でも姉上様と従姉妹にはなぜかかなわない。


 まあ、あの二人は高等戦士のなかでも上級に位置する最強クラスの戦士で、次代国王の姉上様は当然そうでなければいけないのだが……なんで従姉妹まで強すぎるんだ〜考古学冒険者のくせに〜


 その後、レゼ、レゼルテア·ガナリスとは幼なじみとして仲良く育った……そう、昔は幼なじみだったんだ。


 いつからだろう、あの愛らしいレゼルテアに恋をしたのは……王国立傭兵学校で全然、強くなれないと涙してたときだろうか? それとも……成人の式で晴着のピンクの戦衣(サビディグム)をまとった愛らしさと大人っぽさにドキドキしたときだろうか? わからない……でも抱き上げ(求愛行動し)たくて仕方ないのに……なんで、レゼが目の前から連れ去られるんだ。


 だいたい、レゼルテアは大貴族のヒフィゼ家とガナリス家の本家スジで、しかもケレス森国の王族エルフの血も引いてる超お嬢様なのに、何をどうやったら本人もこのクソ令嬢も庶民って認識できるんだ?


 跡取り(戦士)じゃないから庶民なのと自分よりデカイ弟のナルフィウスに遠慮してるのは知ってるが……


 怒りに任せて木箱を蹴り倒すとガナリスの影どもがわーと言う顔をした。


 ガナリスの()、シスコンのナルファリスに今回のことの報告されたらガナリスの()を動かして、敵は抹殺されるし、お前らも減給とかなるんじゃないか?


 もう少し真剣にやったらどうだ、私はかばわないからな。


 「それで何かわかったのか? 」

 冷たい視線を向けるとガナリスの影どもは震え上がった。

 「あ、あの男の件は調査中とのことです」

 男が広い額にダラダラ汗を流し答えた。


 そんな不確かな情報でこの作戦を決行したのか……


 いくら、正式に依頼られたからといって本家スジの姫、しかも私の可愛いレゼルテアを誘拐するなんて許せない……まあ、うまく情報を流してくれたのには感謝するが……奴らへの報復はあとにして……とりあえずは……


 「この女は私のことが好きらしいな、いいだろう、()()()()()一対一でお話とやらを聞いてやろう」

 意識を失って床に転がるクソ令嬢(ゴミ)の襟首をもって木箱に叩きつけるように寄りかからせた。


 殿下〜国際問題〜……と聞こえたがついでに従者に蹴りつけた。


 グーレラーシャの牙〜こわ〜

 ガナリスの影の連中が怯えた。

 お前ら、本当に表層クラスなんだな。


 視線をそらして衝撃で目を覚ましたらしいクソ令嬢と従者に冷笑を向けた。


 「さて、お嬢さん方、お話を聞かせていただきましょう」

 冷笑を浮かべしゃがみこんで痛いですわ〜とさわくクソ令嬢と視線をあわせた。


 ル、ルー様とクソ令嬢がガタガタ震えてるが容赦するつもりはない、絶対に吐かせてみせる。


 私は平和ボケしてたようだ。

 武器を握り直した。


 先代国王(祖父上様)が祖母上様をさらわれたときに背水の陣で命をかける思いで取り戻したように……レゼルテアにもしものことがあったらアキュア聖王国などつぶしてやる。


 そして、レゼルテアの後を追ってしまうだろう。


 ……絶対にこの腕の中にレゼルテアを取り戻してみせる

 そして、今度こそ私の想いを思い知らせてやる。


 レゼルテア、待ってろ、必ず助け出すからな。

読んでいただきありがとうございます

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