プロローグ ヘタレワンコ王子にクォーターエルフはつきまとわれてるみたいです
グーレラーシャ傭兵国ものです。
やっと書き上がりました。
あ~、今日も、ヘタレワンコ王子がうっとうしいよ。
な、なにぴすぴすしてるのさ。
私は一般人だ、たとえ祖先がどこぞの傭兵王の側近だろうが、うちが一応貴族だろうが、弱すぎて希望職業につけなかろうが、一応、社会人で働いている。
「レゼルテア〜レゼ〜いい加減、機嫌を直してくださいよー」
オレンジ色の髪を武人らしく一本三つ編みにした、長身の筋肉質の美丈夫が水色の瞳をうるうるさせて床に跪く様子に内心ため息をついた。
国民総戦闘民族でどんな職業についてても兼業傭兵なグーレラーシャ傭兵国に生まれて行く年月……ええ、私レゼルテア•ガナリスはお陰さまで下級戦士の資格さえ取れない、最弱な国民でございますよ。
一応、ガナリス家っていう内務担当官長を代々拝命する一族の末端に生を受けたんでそこで跪く当代国王陛下の第二子、ルアティウス王子殿下とは幼馴染デスだ……本当に一応なんだからね。
「ルアティウス王子殿下、営業妨害です」
美しいエルフなオルセリアン店長が眉をつり上げた。
たしかにこの高級宝飾品を扱うウィリラーゼ宝石店にヘタレワンコな王子が跪く……やばい光景だ。
「オルセリアン殿、私の人生がかかってるんだ、邪魔はしないでいただきたい」
下からにらみつける様子は凛々しいらしいけど……本当に邪魔だ。
「ルー……朝、無視したくらいで押しかけるなんて暇なんだね」
「レゼ〜やっとしゃべって……」
ヘタレワンコ王子がうるうるした。
腕を持つと奴がやっと立った。
許してくれるのですかと嬉しそうなのが妙に腹がたった。
泣いたって許さないんだからね、さっさと出ていけ〜と腕を持って扉から押し出した。
レゼ〜とこの世の終わりのように泣くルアティウスに背を向けた、もちろん私より大きいルアティウスを追い出せるわけないからやつが手加減してたんだろうけど。
外で待ってたらしい葡萄色の詰め襟の長衣を着た王族警護官に会釈をするとうなづかれた。
ルアティウス王子殿下、帰りますよと珍しく王族警護官が発言してレゼに捨てられた〜と嘆くルーを回収していった。
まったく、さっさと仕事に戻りやがれ。
「相変わらず、激しいね」
「店長、申し訳ございません」
関心したように窓の外を見る店長に頭を下げた。
まあ、グーレラーシャ人の男性なんてあんなものだからねと言いながら私の栗色の頭をなでてくれた。
私、一般的グーレラーシャ人より小柄で店長より頭2つ分ちっちゃいけど大人なんだけどなぁと思いながらもなんか嬉しかった。
ウィリラーゼ宝石店はケレス森国の特産品を扱う店でもあって基本国に引きこもりの森人の作る民芸品? も扱っている。
美しい宝飾品がメインなんだけど綺麗な寄せ木細工とか可愛いかぬいぐるみとかタペストリー、個性的なぬいぐるみとか民族衣装とか数々の品物を扱ってるケレス森国が出資してる店でオルセリアン店長はケレスの王族だ。
こんな高級店に就職できたのはヒフィゼのダウリウスじい様がケレス王家に婿入りしてくれたおかげで、息子の父様はこっちに里帰りして母様に捕まって婿入りした、つまり父様がハーフエルフ、私はクォーターエルフで別に差別はないけど、ちょっとだけ耳がとがってて、店長とも結構近い親戚なんだ、だから子供扱いなのかな?
緑の短い髪に王族で純エルフの長い尖り耳の店長を見てるとふっと微笑まれた。
「レゼルテア君、気を取り直して今日届いた品物を並べようか」
「はい、すみません」
綺麗って見惚れてたのバレたかなぁと思いながらバックヤードに早足で歩いていった。
さて、どんな品物が届いてるのかな?
ワクワクしながらケレスから届いたはこを開けた。
読んでいただきありがとうございます