出会いとは実に愉快なものである。
特集捜査課S・T班のS・Tは spacetime から来ていて、時空を飛び交うかれらにぴったりだと思いました。
まだ、初心者なので、温かい目で見ていただけたら幸いです。
『この世界は50%が現実で、50%が非現実』
これは、僕の胸の内を最も表した言葉だと思う。よくアニメなどで見られる超常現象のほとんどが架空と思われるが、それは、ただの人間の思い込みであって、実際は違う。
なぜ、そう言い切れるのかって? 理由は、簡単。
何せ、僕は今、国の秘密組織“NRO”の中でも本基地である場所に足を踏み入れているからだ。そして、そこには人間と未知の生物が存在している。割合で言えば、人間が3割の割合で、あちらこちらに彼らはいる。どこにでもいそうな感じのおじさんや、どこかで見たことがあるようなモデルの人。人間と彼らを見分けることは、無理に等しい。無限に続くほどのこの空間の中を僕は今、混んでいるバスから降りる人のように
「すいません、すいません。あっ、通ります。すいません」っと何度言っただろうか?
なぜなら、僕は……。
「おい、そこの貧弱そうな。そう、お前さん。さっきから、お前さん、無限ループにはいってるぞ」
声がした方を向いた先には、顔がフクロウの身長が160センチぐらいで体全体は白鳳でデニムのズボンと靴は履いている人間、いや、化物?みたいな感じなのがいた。だが、さっきから、何度も何度もこんな感じの生き物は嫌と言うほど見尽くしたから、今更、驚くことはない。
「今、無限ループと言いましたか。それは、なんかの魔法か何かですか」
「魔法?わいはこっちの世界に慣れておらんから、よく分からんが、わいの故郷にいるイルカモアゲハっちゅう生き物の粉に触れると幻覚に襲われる作用が人間には働くようだ。まぁ、水でもかけたら落ちるだろう。ほれっ」
僕は、いきなり、おじさんの水筒に入った水をかけられた。
「うぇぇ。なんか、変な匂いがする」
「変とは何だ、変とは。この水は、わいがトイレで出した水というのに」
「それは、水って言わねぇよ、何なんだよ。ってか、あんた、誰なんだよ」
「そういやぁ、まだ名乗ってなかったな。わいの名前は、シャガール。こっちではT−52と呼ばれる惑星から来たんだ。以後、お見知り置きを」
なんで、無駄に名前が洒落てんだよ。ってか、初めて聞いたわ、そんな惑星。誰も呼ばねえだろ。あと、さっきから喋り口調どうなってんだよ。
「よ、よろしく、おじさん。僕の名前は、木史つばきです。あの、聞きたいことがあるんですけど……。試験会場の行き方とか知りませんか?僕、そのためにここに来まして……」
「お前さんみたいな貧弱そうなのがかい?無駄骨だと思うぞ。もし入れんかったら、お前さんの記憶まで消されてしまうんだ。それでも、行くというのかい?」
「はい、その覚悟でここに来ました。僕に失うものはないんです。お願いです、教えてください」
「……ったく、最近の若いもんは、仕方ない。わいについてくるんじゃ」
おじさんは、白鳳に包まれている体の中から翼を広げて、空中へと飛び交う。
天まで登るかの如く広いエリアでは、おじさんを止めることができる者などいないと言わんばかりに自由に翼を空気と触れ合わせた。
「そんなことが出来たんですか?やはり、ここは人間の想像を遥かに凌ぐほどの未知で埋まっていますね」
「こんなものではないよ。少年、世界は広い。無限に続く。ワタシの背中につかまりなさい。」
「いや、性格変わってる。何故か、翼が出てきてから、体も強度になってるような……分かりました。シャガールさん、お願いします。」
NOR。この組織は、国が時間・空間及び未知の生命との共存など、様々の目的で作った秘密組織であり、組織が結成されて、すでに何百年の歳月が経っている。NORは世界中に5つの基地があり、その本部が日本にある。ここに送られてくるのは、未知の生命、未知の暗号、そして、時間・空間に隔たりがある場所での逃走犯を捕獲する任務である。相手は、ただの人間ではない。未曾有の状況もしばしば起こりうる。そんな状況でも、順応して、万全を排すことが当たり前の世界なのである。NOR試験は、そのメンバーを増やす一大イベント。困難にも負けないほどの体力、あらゆる事を知悉する頭脳、絶体絶命の危機的状況をも冷静に判断する力、そして、仲間との協力を重んじること。この要素があって、初めて、試験会場へと立つことができる。
いざ、戦場へ。
「着いたよ、少年。ここが、試験会場だ。さぁ、降りたまえ」
「ここが、あの……」
シャガールの背中から降りたつばきは、感動よりも緊張で心が満たされて、膠着状態になっているところを、何かが近づいてきた。
「もしかして、試験を受ける方ですかね?こちらの画面を見て頂けますか?」
「えっと、こうですか」
「はい。完了しました。年齢16歳。1月23日生まれ。血液型O型。体重65キロ。身長173センチ。
木史つばき。身元確認が完了しました。こちらの番号を覚えててください。既に、試験書は提出済みですので控え室にお進み下さい。あの、失礼ですが、こちらの方は一体誰ですか?」
「こちらは……僕をここまで連れきてくれたシャガールさんです」
「よろしく、お嬢さん」
「どうも……」
「では、少年、頑張れよ。試合の勝敗を見届けるよ」
「はい、ありがとうございました」
でも、本当に別人になったな。あんな、ハンサムフクロウ男になるとは。
これからの人生で何故かまた会いそうだ。
別れとともに、僕は、自分の控え室に行き、これから始まる試験に向けて対策会議を始めた。この試験は、戦略的バトルのような感じで、二人組を作り、、相手の陣地にある旗をたくさん獲得する。もちろん、自分の陣地の旗も守りながらだ。エリアの中に20組が入り、その中で、最も獲得数が多い上位三組が晴れて合格するという仕組みである。もちろん、ペアとなる相手は、NOR側が決めるため、始まらないと分からない。
「そして、今回の試験から、武器の持ち込みが禁止になったのが痛い。使えるのは、あちら側は用意したエリアの中の物だけ。エリアの説明もされてないから、その場で判断しないとな」
僕は、これからの戦のために持ってきたパンと水でお腹を満たして、試験会場へと足を引きずって行った。
「これから、NOR試験を始める。では、各チームごとに分ける。番号を呼ばれたペア同士は、各指定された道を進み、目的所で待機し、合図とともに開始する。では、16番 如月天明 と 25番 木史つばき 幸運を祈る。続いて、12番 士道司 と 29番 小崎……」
僕は、彼女とペアを組むこととなった。とても可憐で、一瞬でも意識を飛ばすと持ってかれそうだ。
「よろしく、如月さん。僕は、木史つばき。つばきでいいよ」
「よろしく、木史つばきくん。悪いのだけれど、あまり近づかないで貰えるかしら。あなた、何か匂うわよ。まぁ、試験に合格したいのなら、私の邪魔はしない事ね。では、試験会場にいきましょう」
まぁ、だいたいこんな感じの人だと名前から分かった気がした。
可憐で、知的な人にはあるあるだ。
「着いたわ」
「このドアの先が試験会場か!絶対に生き残ってやる。」
そうして、2人はドアを開け、新たな世界の一歩を歩み始めることになった。