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コント「合格発表」

作者: 井の線亭ぽんぽこ

舞台・・・大学受験の合格発表の会場

配役・・・アメフト部の部員=ボケ 受験生=ツッコミ


暗転。「わっしょい!わっしょい!」というアメフト部員の声だけが聞こえる。

明転。受験生の前でアメフト部員が土下座している。


部員「すいませんでしたー!」


受験生「あの、頭上げてください」


部員「不合格だなんて、知らなかったんです!胴上げして、すいませんでしたー!」


受験生「もういいですから、そんなに謝らなくても」


部員「不合格だとは思わなくて!不合格って知ってたら不合格の人胴上げしなかったのに!」


受験生「何回も言わないでくれます?」


部員「償わせてください!」


受験生「償いって。何するつもりですか?」


部員「どうしよう…そうだ!もう一度胴上げすればチャラになりませんか?」


受験生「なりません!恥の上塗りなんで、やめてもらえます?」


部員「じゃあ、もう切腹するしか」


受験生「いったん落ち着きましょう」


部員「(怒って)じゃあどうすりゃいいんだよ!」


受験生「なんでそっちがキレるの?もういいから帰ってください!胴上げもだけど、アメフト部に土下座されるのもけっこう恥ずかしいんですよ!みんな見てるでしょうが!」


部員「(しゅんとして)すいません、熱くなりました…僕ね、この大学入るのすごく苦労したんですよ」


受験生「なんか語り出した」


部員「何回も不合格で、12浪してようやく合格したんです」


受験生「2ケタいく人初めて見た」


部員「合格発表で自分の番号見つけた時は本当に嬉しかった。でも、アメフト部は僕を胴上げしてくれなかったんです。何でか分かります?」


受験生「さあ?」


部員「僕、保護者と勘違いされたんです」


受験生「せ、切ない…」


部員「こういう悲しい思いを他の受験生にはさせたくない!そう思って、アメフト部に入部したんです」


受験生「そんな動機で始めるスポーツじゃないですけどね」


部員「ちなみに高校時代は将棋部でした」


受験生「真逆じゃないですか」


部員「そして今日、この合格発表ですよ。僕は一人でも多くの合格者を胴上げしようと思って、合格と疑わしい人は片っぱしから上げるつもりだったんです!」


受験生「合格者を犯人みたいに言わなくても」


部員「そしたら、あなたを見つけたんです」


受験生「ビックリしましたよ。アメフト部が血眼で走ってきて、急に1人で胴上げし始めたから。1人でやらないでくださいよ!胴上げの途中もずっと息切れしててすげー怖かったし」


部員「そりゃ体力ないですよ!元は将棋部ですから!」


受験生「何でそんな堂々と言うんですか?」


部員「あなたを見た時、”あっ”って言ったから、てっきり合格だと思って」


受験生「”あっ不合格”って言おうとしたんですよ。そしたら”あっ”で捕まって、気づいたら宙を舞ってた」


部員「本当に、悪気はなかったんです、すいませんでした!」


受験生「そういうことならいいですよ。来年頑張りますから」


部員「すいません…あれ?」


受験生「どうしました?」


部員「なんか、追加合格があるから、今から発表するって」


受験生「マジでっ!?(見に行く)あっ!」


部員「えっ!?おめでとー!(駆け寄る)」


暗転。二人の声だけが響く


部員「わっしょい!わっしょい!」


受験生「…って結局不合格かよ!?」



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