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第21話 にらみつけるさん

「そんな!なんでこんな奴と一緒に夏休みを過ごさなきゃいけないですか!?」


まるで数年来の敵を前にするかのような口ぶりである。


出会い頭に唇を奪い、あげく、出会った最初の夜に裸を見ただけなのに。


(あれ、思ったよりもひどいことしてないか?)


しかしすべては不可抗力でいわば『運命』だった、と彼の中では結論付けられているので精神的にはノーダメージである、というかむしろ興奮ポイントが加算されていた。


「でも、仕方の無いことだろう。それとも何か?絶対に、たとえ魔法世界の秘密が外に流されようとも、断らなければいけない事情があるのか?まぁ、志引くんがそんなことをする人間には思えないがね。」


「ぐぬぬ……」


確かにこれはまち自身がまいた種であるため、自分が片をつけなければいけないと思ってもいた。


でも、だからといって同い年の男子と、それも乙女の柔肌をさらした相手である男と、これから何日も生活しなければいけないのは頭が痛い。


悪い人ではなさそうだが、なにしろ印象が悪すぎる。


(そ、それに、ファーストキスもこいつに……)


そこまで考えてブンブンと首を振った。


だって彼に非はないのだから、責めるのはお門違いである。


「ううぅ…別に、いいですけど……」


まさに渋々という感情を体現したかのような受け答えではあったが、まちはうなずいた。


「よし、決まりだな。」


「うんうん、よかったー。2人とも仲良くするんだぞ!」


上半身をずいっと乗り出して、豊満な胸が揺れて、上目遣いで志引に迫るように忠告してくる。


(いちいちドキドキさせるのやめてくれぇ……)


「あっ、はい」


目を合わせるのは恥ずかしくて、視線をフェードアウトさせながら返事をする。


仲良くしたいのはやまやまなのである。


ただ、度重なる少しエッチなハプニングが邪魔をするというだけで。


そのまま横に立つまちを盗み見ると、私が苦渋の思いをしているときに何をしているんだ貴様は、と言わんばかりの目でこっちを見ていた。


「あっ!」


ここで何かを思い出したのか、まちが声を上げる。


「どうした?」


「あの、私、毎年家族でバカンスに、外へと出てるんですけど。その場合はどうすれば……?」


ここでいう外とは、魔法世界の外、つまり魔法の知られていない志引のいた世界である。


「そうだったねー」


「ああ、稲荷のところは休みごとに集まるんだったな…」


美園もみずほも、まちの家族と親交があるようだった。


みずほが顎に手をあてて、悩むような仕草をみせる。


志引は不安になった。


みずほたちは魔術が外部に漏れるのを恐れている。


きっと、自分が外の世界へ出ることは許されないだろう。


自分がいることでまちが家族と会うことを妨げてしまうかもしれない。


最悪、ここにいる人たちから引き剥がされ、牢獄のようなところで過ごすことになるかもしれない。


まちの障害となってしまうことと、このアウェーな世界で1人にされてしまうこと、どちらにせよ彼には耐えがたいことのように思えた。


みずほが顎から手を離した。


「いいんじゃないか、連れて行けば。」


「えっ!?いいんですか!?」


返ってきたのは予想外の言葉だった。


それはまちにとってもで、面食らったような顔をしていた。

何も為していないのに勝手に燃え尽きたが、数ヶ月のときを経てほのおタイプが復活したので更新します。

毎週日曜日になんとかアップしたい……したい……

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