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第13話 ショク・ドー

女子寮を出て、隣に建つ男子寮の横を抜けた先に食堂はあった。


「おお。」


広い空間に数えきれないぐらいの椅子と長机が置かれており、500人はゆうに収容できるであろうと思われる。


ちらほらと朝食を食べている人もいるようだ。


とても高校の食堂とは思えないその壮観な風景に志引は驚く。


「まぁうちは中高一貫の6年制だし、全寮制だからこれぐらいは必要なのよ。」


「ふーん」


「ほら、ついてきて。食券を買うわよ。」


まちの後をなるべく離れずに進む。


別にただ、合法で美少女にお近づきになれるから離れないわけではなく、なるべく他人の視線を受けたくないからである。


ただでさえ自分の知らない土地で知らない人間たちに囲まれていて、その上全寮制だったら志引のような見知らぬ人間は彼らの目に珍しく映るかもしれない。


たとえ周りの人間が気にしていなくても、自分の見られ方を気にしてしまうのは彼が思春期だからだろうか、それとも気質ゆえだろうか。


「あの、まち。僕、お金ないんだけど……」


食券機の前に来て、志引はスマホ以外何も持っていないことを再確認した。


何なら自室で履いていたスリッパを今も着用している。


「私が払うわ。気にしなくてもいいわよ、もともと私が悪いんだから。」


「あ、ありがとう」


お金を入れて先にボタンを押したまちは、志引のために道をあけた。


(あぁ、どうしようかなぁ。最近は早く起きる必要がないために昼夜逆転生活してたせいで、朝は食欲が湧かない。かといってお金を出すといってもらってるのに断るのも失礼だし、やはりカレーかラーメンの二択か?でも、カレー食べたら匂いが残って、まちさんにくさいと思われるかもしれないし。うむぅ。)


「はい、あと三秒で決めないと朝ごはん抜きでーす。」


「え、あわわ。」


志引は焦ってかつ丼を押してしまう。


(よりにもよって一番重い感じの押しちゃったよ。とほほ。)


「ふふっ、ごめんね。」


困ったような、でもあきらめも感じられる表情を浮かべた志引を見て、まちは満足げに笑った。


(え、からかわれてる!?いたずら好きなまちさん、かわいいなぁ)


志引は心からそう思った。


「おいおい、朝から見せつけてくれるじゃないか。やっぱり昨夜はなんかあったのか、なぁ?」


2人の後ろから話しかけたのはみずほだ。


「は?こんなやつとするわけないじゃないですか。」


まちがうんざりするような声を出しながら答えた。


(え?きつい。心がめちゃめちゃ痛むんですが。)


志引は、まちがそういった回答をするだろうなと予想はしていた。


なにせ出会ったその日に裸まで見られてしまっているんだから、多少きつく当たるのも余儀なしだろう。


しかし、仲を少しは深められたと思っていたので実際にまちの口から聞くと響くものがある。


「じゃあ、なにもなかったんだな?」


「あだっ、いやっ、なにも……」


万力のような力で背中の皮が捩じ切られようとしている。


だらだらと脂汗を流しながら志引は答えた。


「ところで、その方は…?」


早くこの苦しみから解放されたかったので、志引は話題を転換させる。


みずほの隣には知らない女性が立っていた。


小さな身長の割にグラマラスなその体をスーツに包まれている。


「君が噂の武隈志引くんね?思ったよりかわいい子じゃん。」


(初対面の人間に向かってなんつーこといってんだ……)


子供のような体つきのみずほが、さらにこの女の妖艶な雰囲気を引き立てていて、その大人っぽい魅力に普通の男ならイチコロだっただろう。


しかし、志引は昨夜の事件を経て色々と成長していた。


心の中で突っ込むほどの余裕がある。


(この人が僕の記憶を消すんだろうか?)


2人の視線は交錯する。


書けてしまっタージマハル。

疲れタクラマカン砂漠。

次回は明日12時ごろに(ンフと戯れていたい)投稿します。

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