九死に一生を得たような金持ち
2日目
智之は今日もいつも通りの朝を迎えた。外では小鳥が鳴いているがなんだか蒸し暑かった。
「ごちそうさま!」
元気よく言うと散歩に出た。
まず商店街に入った。朝から早い人はもう通勤をしている。智之はその流れに逆らいながら歩いた。するといきなり人混みが道路のはじにより始めた。なんだなんだ、と思って突っ立っていたら目の前からリムジンみたいな車が迫って来た。そんなに近くもないのにクラクションを鳴らしてきた。これだから金持ちは、と思ったが流石に口には出さなかった。すると、自分の前で車が止まった。そして窓が開いた。
「エッ」
これが最初の言葉だった。まさか・・・・・桜井リゾートの社長桜井英晴ではないか。
桜井リゾートは代々続く老舗の会社で6代目の桜井英晴は桜井家の伝統を破り今までにないホテルにしたことで若者から老人まで幅広い世代が気に入った。そして「ホテル 桜井」から「桜井リゾート」に名前を変え、今ではホテル以外のことを数多くの事業を拡大している。
「すみません」
「いやいや、いいんだよ。こんな朝はやくからごめんね。」
急いで退いてから思った。あの人いい人だなぁ。そしてまた歩くのを始めた。
バーーーン!!
体がピクッとなったのを感じ、後ろを振り向いた。
あの縦に長い車が普通の車と同じくらいの長さになっている。
急いで駆け寄った。
「大丈夫ですかー!」
恐る恐る中を見ると桜井英晴が頭から血を流していた。
確か桜井英晴には2人の息子がいたが・・・・・まあそんなことはどうでもいい。
体を車内から出そうと思った。しかし足が運転席のシートと後ろのシートの間に挟まっている。
出せなかった。今のままではその内死んでしまう。しかし、とても自分では解決できないものだった。
「この中にお医者様はいらっしゃいますか?」
何も返事はない。
智之は思い切った判断をした。
見捨てる
そしてまた散歩へ戻って行くのだった。
夕方
テレビをみた。すると
「今日の朝 桜井リゾートの桜井英晴さんが乗っていた車が事故を起こしました。」
と、アナウンサーが言っていた。
「桜井さんは先ほどまで意識がない状態でしたが、午前5時ごろ目を覚ましました。」
正直ホッとした。自分がもう助からないと割り切った人が目を覚ましたので驚きを隠せなかった。
今日の夢に出てきそうで智之は怖かった。