倒れている女
朝起きるといつも母が朝ごはんを作ってくれる。僕はいつも卵かけご飯を頼む。そのせいで母はいつも卵を買わなければならないのだが。
ここで田中家の構成を話そう。4人家族で、長男智之は小さい頃から散歩が好きで習慣になっている。妹桜は朝が苦手だからたまにしか散歩はせず、散歩するときはいつも智之と一緒だった。父母は仲良く喧嘩したことはなかった。
1日目
朝6時智之は卵かけご飯をかけこんで散歩に行った。いつものルートは静かな商店街を通って大きな公園を一周して帰るというものだった。いつも考えながら散歩していて、その内容は今日もう一回散歩をするか。今日もそんなことを考えながら歩いていた。
商店街と公園の間の道の途中、道路に倒れている人を見つけて走って駆け寄った。息はしていたが気を失っていた。道路の真ん中で倒れていたのではじによせてから起こそうと努力したがいっこうに目を覚まさないため救急車を呼んだ。そして公園へ向かった。
夜また散歩をした。智之は驚いた。朝と同じ人が同じところにいるのだ。しっかりとはじに寄せられたまま。服装もそのままで、態勢もそのままだった。近寄って話しかけた。
「大丈夫ですか」
そうするとピクッと動いた。智之は思わず引いてしまった。そうすると何か喋っていた。耳を傾けた。
「朝声をかけてくれませんでしたか?」
「はい。救急車来なかったんですか?」
「・・・・」
「もーしもーし」
「来たけどみんな『なんだ』とため息ついて帰って行きました。」
「なんでや」
なぜかわからないけど東京生まれの智之は関西弁で言った。少しスベったので恥ずかしくなり帰りたくなった。
「俺ならこう言うでしょうね。仕事しぃー!」
「・・・・・」
「あのすみません。もうよろしいでしょうか。」
「ありがとうがざいました。私の実験は成功したようですね。」
「というと」
「今の世の中冷たい人多いじゃないですか。だから朝の12時からずっとここにいたんです。救急の人には無理やり帰ってもらって。」
「すごいですね」
「まあこんなに優しい人がこの世の中にはいたんですね。」
「そら、1人ぐらいいるでしょう。」
「では私はこれで家はこの家なんで。」
と、目の前の赤い家を指して言った。
「人の話聞かないし、無駄に心配させるし、もう嫌だなぁ」
ってか、世の中にこんな人いるってこっちのセリフだわ!
その後家に智之は帰った。明日はどんなことがあるだろう・・・・