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Three Geniuses   作者: 龍翔
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第8話

「1回の裏、一年生チームの攻撃は1番センター中園君」


打席に入る前に嵐士は大きく息を吸い、大きく吐き一言。


「めっっっちゃ気合い入ったぁぁぁ!」


普段から明るいキャラだが野球になればまた別。


打席に入った途端その明るいキャラが消え、かなり集中している様に見える。


(矢部さんの平均球速は130km/h半ばから後半、中学でもそれくらい投げる奴はいた)


1球目はストレートで嵐士はスイングするもファールになる。


(けど高校生の球は質が違う!)


2球目は縦に変化するカーブを見送りボール。


(変化球も大した変化は無いけどキレがやばい)


3球目は再びストレートで内角に決まりストライク。


これでカウントは1ボール2ストライクと追い込まれてしまった。


しかしここからはミートが上手い嵐士が必死に粘り9球を投げさせた。


そして10球目、矢部が投じたのは外角のストレート。


(踏み込みがレフト方向!)


ショートの海老沼は打球が飛んでくる前に移動した。


嵐士の打った打球は海老沼の読み通り三遊間へと飛び、これを海老沼が好捕する。


(そう言えば海老沼さんの一番の武器は守備だった!でも俺の武器は…!)


一塁は間一髪セーフとなった。


(この脚だぜ!)


一年生チームは盛り上がりを見せる。


「速いなー!前川のライバル出現だねー(笑)」


「負けませんよ」


次は2番の打撃のいい長田だが晃樹は手堅く1点を取りに行く為、送りバントのサインを出す。


長田は見事に送りバントを成功させチャンスを作った。


(ここで打たなきゃ笑われるな)


打席に入るのは3番の晃樹。


1球目、2球目はボールとなった。


ここで晃樹はストレートに絞った。


矢部の投じた球は晃樹の読み通りのストレートだった。


しかもやや甘めの外角のコースだった為、晃樹は強振した。


打球はセンターへ大きく伸びていくが後一歩のところで失速してしまいセンターフライとなってしまった。


その間に嵐士はタッチアップを成功させて2アウトランナー三塁となった。


(中園、大倉…この二人はやばいな、んで一番やばいのがこいつか)


ここで打席に入るは陵謙。


ベンチに戻った晃樹はポツリと独り言を喋る。


「この状況あの時と一緒だな」


この言葉に一年生達が興味を持ち具体的な内容を聞いた。


「陵謙が有川シニアでの初めての試合、2アウトランナー三塁、結果は…」


陵謙は初球を捉えた。


「初球を捉えてホームラン」


陵謙が打った打球はレフトに伸びていきそのままフェンスを越えて行った。


一年生達はベンチを飛び出し喜びを前面に出した。


「さすが陵謙!いや陵謙様!肩をお揉みしましょう♪」


「やめろ」


陵謙は本塁で出迎えた嵐士の頭を叩いた。


「中学の時と全く同じだったな」


「たまたまだよ」


陵謙と晃樹はハイタッチを交わした。


「やめろぉぉぉ!その話しはするなぁぁぁ!」


嵐士が大声を出すがみんな陵謙を迎えていたので誰も聞いていなかった。


これで2対2の同点となった。


「矢部!切り替えろ!」


海老沼は投手の矢部に一声かけ、矢部も再び集中する。


ベンチが冷めやらぬ状況で球を捉えた金属バットの音が鳴り響いた。


打球はものすごい速さで海老沼のグローブに収まった。


ショートライナーに終わった反塚はベンチに着くと同時に。


「ごめん…流れ止まっちゃった…」


「流れが…止まるかよ!なんて打球打ってんだよ!むしろ更に流れはこっちに来たぜ!」


「ほ、ほんとに!?なら良かった!」


「そうだぜ!んじゃ次は気合い入れて守るぞ!なぁ相棒!」


「相棒!?なんか…むちゃくちゃかっけぇ!」


一年生達は頭を抱える。


そしてほとんどの一年生が思った…、ここにバカコンビが結成されたと。


それはさておき点を取られた後にすぐに追い付いた一年生達は自然と明るいムードになってきた。


流れは一年生達に吹き始めたかもしれない。

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