第6話
紅白戦当日、一年生達は初めて第一グラウンドへと向かった。
「久しぶりだな一年達!んで話しは聞いたぜぇ三人の天才さん!今日はお互い頑張ろうぜ!」
到着早々海老沼が話しかけて来た。
一年生達は二、三年生達に挨拶をするがある二人は別の場所に視線を向けていた。
その二人は嵐士と反塚だった。
「おい嵐士!マネージャーがいるぞ!」
「あぁ!しかもあの二人同じクラスなのに全然知らなかった!なぁそうだよな陵謙!晃樹!」
ちなみに三人は同じクラスになった。
あとどうでもいい話しだが名前の順で席に着いた結果、嵐士は教卓の真ん前になった。
するとマネージャー達が近付いて来て一人一人挨拶を始めた。
三田香織 三年生。
生方碧 三年生。
金原祐子 二年生。
野村夏菜子 一年生。
小松弥生 一年生。
「盛り上がってるとこ悪ぃけどそろそろアップしろよー、俺達はもうするからなー、んじゃ大倉これ俺達のオーダーな!いい試合しようぜ!」
海老沼から渡されたオーダーを確認する。
1.三.前川駿也 右投左打 二年生。
2.遊.海老沼英心 右投右打 三年生。
3.中.笹岡誠 右投右打 三年生。
4.一.柳谷猛 右投右打 三年生。
5.二.西村貴士 右投左打 二年生。
6.左.富山玲斗 右投右打 三年生。
7.右.奥谷正久 左投左打 三年生。
8.捕.小原啓介 右投右打 二年生。
9.投.矢部孝平 右投左打 三年生。
ー一年生チームベンチー
アップが済んだ後、晃樹は陵謙、井戸川、赤井を呼び話しを始めた。
「今日はとにかく一番気にかける事は海老沼さんの前にランナーを出さない事だ!」
三投手は頷く。
周りを見渡すとスタメンメンバーは全員落ち着いていた。
それもそのはずでみんなそれぞれ強いチームでプレイしていたのがほとんどで負けられない試合は何度でも経験して来たからだろう。
しかし反塚はかなり緊張している様だ。
「やばい…むちゃくちゃ緊張する…こんな負けれない試合なんて経験ないって…」
「大丈夫だ!お前は凄い選手だから自身持てよ!お前の前にはこの俺から始まり晃樹と陵謙もいるんだぜ!お前が気負う必要ねぇぞ!」
嵐士は反塚になんとかフォローをいれるがまだ緊張はとけないようだ。
「よし!全員集合!」
晃樹の一声で全員が集まりベンチの前で円陣を組む。
「今日は絶対負けれない!けどそれより第一に試合を…野球を楽しもうぜ!別に負けても俺らの高校野球が終わるわけじゃ無いんだしな!んじゃ…行くぞ!」
「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」
ー二、三年生チームベンチー
「気合い入ってんねー、若いって素晴らしい!」
二、三年生チームには緊張感などは感じられず、むしろ楽勝モードが漂っていたが。
「お前ら…相手が一年だからって舐めてかかんなよ?あいつらだって必死に野球してきたんだからな」
海老沼の一言で二、三年生チームの雰囲気が一気に真剣ムードに変わった。
両軍がベンチを出て整列し、晃樹と海老沼が握手を交わす。
一年生チームが後攻で二、三年生チームが先攻で試合が始まる。
晃樹の一言は一年生達が気負わない様に言っただけであって三人の天才達のこの試合かける思いは計り知れないものだった。
今、負けられない試合が始まる。