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Three Geniuses   作者: 龍翔
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第3話

ー次の日ー


「今日から来週の紅白戦までお前らの面倒を見るコーチの加藤光晴(かとうみつはる)だ」


第二グラウンドに集合した一年生達は今日から指導を受ける加藤コーチに挨拶をした。


「いきなりだが今から一年達の主将を決める、主将は練習メニュー、紅白戦当日のオーダーと采配を任せる!やりたい奴は手を挙げろ」


と言われても流石に手を上げるものはいなかったがその状況を見かねて一人の人物が手を挙げる。


「大倉晃樹です!自分がやります!」


一年生達は拍手を送った。


それはただの拍手では無く、全国制覇を成し遂げた有川シニアの三人の天才の一人、更に晃樹はその有川シニアでは主将を務めていたからだ。


「あと紹介しておきたい者がいる、挨拶をお願いする」


すると一人の人物が現れた。


「どうも〜軟式野球部のキャプテンやってる宮崎学(みやざきまなぶ)です〜、紅白戦まで軟式野球部が練習のサポートするのでよろしく〜」


宮崎の紹介後、加藤コーチは今日一日一年生達でミーティングを行う事になった。


一年生達の人数は23人。


まずは紅白戦まで主将を務める晃樹を中心にミーティングという名の交友会的なのが始まった。


そして晃樹に一人の人物が近付いてきた。


「初めまして、僕は辻村一騎(つじむらかずき)です、ここには選手マネージャーとして入学しました」


そう話した辻村はかなりの情報の持ち主で一年生達の中で特に優れた選手を紹介してくれた。


「ありがとう辻村!明日からの練習は今の情報を活かしてみんなを見てみるよ」


みんな仲良さそうに話しているが晃樹は今置かれている状況に危機感を感じていた為、紅白戦のキーマンになるであろう陵謙と嵐士を呼び、宮崎の元へ向かった。


「宮崎さん!レギュラーメンバーの特徴とか知っていれば教えてください!」


宮崎はレギュラーメンバーの事を良く知っていた。


何故なら宮崎は元々硬式野球部だったからだ。


だが、一番の武器であった脚を怪我してしまった。


硬式野球部を辞める事にはなったが、野球への熱は冷めることなく軟式野球部へ入部し、今は4番ファーストで軟式野球部の大黒柱となっている。


「まず一番の要注意選手は英心だね〜」


佐久宮では主に2番を務める遊撃手の海老沼の名前が挙がった。


バッティングはそこまで良い訳では無いが、ランナー置いた際の海老沼は県内でも恐れられている打者だと宮崎は説明してくれた。


小技にかなり優れていてランナーがいる状況では池尻監督は全てを海老沼に任せる程の打者で逆に海老沼からサインを出す事も許しているそうだ。


海老沼の凄いところは相手の守備位置、一球ずつにたいしての野手の動きを見て一番成功する作戦を実行する事に優れている所だと宮崎から説明された。


「と言う事は海老沼さんの前にランナーを出さない様にしないとですね…」


「けど1番打者もめんどくさいよ〜」


そう言った宮崎は1番打者を務める二年生の前川駿也(まえかわしゅんや)の説明をしてくれた。


決して打撃の良い選手では無いが、コツコツバットに当てるスタイルで俊足を活かして内野安打、もしくは慌てた野手がエラーをするなどで出塁する。


次は4番を務める柳谷猛(やなぎやたける)


フルスイングが魅力の選手で多少芯が外れても長打が打てる佐久宮が誇るパワーヒッター。


高校通算本塁打は27本で県内でも名が知れた打者らしい。


次は現エースを務める矢部孝平(やべこうへい)


MAX141km/hの本格派投手で球種はフォークと縦に変化するDカーブ。


「まあもしかしたら知ってるかも知れないけど本当のエースは現在イップスで投げれないのでもしかしたら勝てるかもね〜、んで次がこれまた去年の4番を打ってたけど怪我で今は試合に出れない透を紹介するよ〜」


去年の4番を務めていた捕手の新島(にいじま)(とおる)


打撃には影響が無いようで代打で出場する可能性があるそうだ。


ミートとパワーを兼ね備えた好打者で二年生時からプロのスカウトが視察に訪れる程の選手だそうだ。


「まあ要注意選手はこんなもんかな〜、でも強いよ〜特に今の三年生達はね」


池尻監督が佐久宮の監督に就任してから始まった紅白戦。


10年経った今までで一年生が二、三年生に勝った年は二度あるそうだ。


そのうちの一度が海老沼の年だそうだ。


「毎年この紅白戦は楽しみなんだよね〜、生徒はもちろん近くの野球好きの人やOBとかもこの日観戦に来るだろうから人がいっぱいになるよ〜、んじゃ明日からの練習頑張ろっか〜」


そう言うと宮崎は帰って行った。


「やべーじゃん!俺達がレギュラー取るとか無理だろ!よくよく考えたらメンバー代わってるとはいえ去年のベスト4だよ!マジでやべーよ!」


「分かってる事を言うな!主将なんかにならなきゃ良かった…今思えば俺の立場って重要すぎるだろ…」


晃樹と嵐士は肩を落とす…が。


「今まで通りやれば勝てるよ、俺が抑えてみんなで点を取る…それで勝てるよ」


陵謙だけはどうやら負けるとすら思っていないようだった。


明日からは一年生達で練習を開始する。


彼達三人を加え、他にどんな選手がいるのか。


ネガティブになっている暇も無い。


何故なら負ければ三年生引退までレギュラーにはなれないのだから。


晃樹と嵐士は顔を上げる。


そして決心した…勝ってレギュラーを勝ち取ると。


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