第2話
寒い冬が過ぎ、段々と暖かくなってきた4月。
各地では桜が満開または散った所もあるだろう。
しかしここでは今日から高校生になる人達に祝福をするかのように桜が咲き、舞散っている。
今日はここ"佐久宮高校"の入学式。
佐久宮高校は大阪府の高校だ。
そしてここにはあの三人の天才の姿があった。
彼達が佐久宮高校に入学する事に決めたのはこの前の目標を決めた少し後。
ーーー
「ここに行こうぜ!佐久宮高校!」
嵐士は陵謙と晃樹にそう話した。
佐久宮高校。
大阪府では強豪校と知られており夏の大会では準決勝で稜陽に敗北し、ベスト4まで進出した。
しかしこの試合を機に新三年生となるバッテリーが戦線離脱したみたいだ。
エースはイップスに捕手はこの試合で受けたデッドボールで右肩を負傷し現在も治療中。
他にも佐久宮が強くなる為には優れた1番打者にクリーンナップを任せられる選手、守備の上手い外野手など、まるで彼達が入る事で全て解決するのではと思うほどの高校だった。
この情報は嵐士がネットで仕入れた情報だった。
ーーー
こうして彼達は佐久宮高校に入学する事に決めたのだった。
「にしても嵐士、お前やっぱ勉強出来なかったんだな」
「うるせぇよ!もう…俺はお前と陵謙ほど勉強なんて出来ないですよーだ!」
「朝からうるさい」
嵐士が勉強が苦手だった事で三人で佐久宮に入学する事が怪しかったが嵐士自身が必死に勉強した為何とか三人で入学する事が出来た。
入学式を終えた彼達だがこの後どうすれば分からなかったがちょうどいいタイミングで放送が流れた。
「野球部入部予定の新入生は第一グラウンドに集合してください」
彼達は第一グラウンドに向かった。
ー第一グラウンドー
第一グラウンドに着いた彼達は二、三年生と向き合う形で他の新入生と並んだ。
すると一人の人物が姿を現した。
「まずは入学おめでとう、私は佐久宮高校の監督を務めている池尻茂治です、これからよろしく」
監督が挨拶をした後に一人の選手が前に出る。
「入学おめでとう!俺はキャプテンの海老沼英心だ!これからよろしくな!」
そして海老沼が新入生の自己紹介をお願いしたので新入生達が自己紹介を始めた。
自己紹介も進み、遂に三人の出番が回ってきた。
「大倉晃樹です!和歌山の有川シニア出身!ポジションはキャッチャーでした!よろしくお願いします!」
晃樹の紹介が終わると新入生達がざわついた。
「中園嵐士っす!晃樹と同じで有川シニア出身っす!ポジションはセンター!よろしくっす!」
新入生達のざわつきに二、三年生達は首を傾げる。
「三神陵謙です、和歌山県の有川シニア出身、ポジションは投手、よろしくお願いします」
新入生達の一部は彼達がどんな人物なのかを理解したようだ。
「何を騒いでんのか知らねぇけど静かに!明日からの新入生の練習について説明する!」
海老沼によると新入生達は第二グラウンドで新入生達だけで練習をするようだ。
その理由は新入生対二、三年生の紅白戦を行う為だそうだ。
そしてこの紅白戦に負けると新入生は三年生が引退するまで試合に出るどころか練習すらまともにさせて貰えないとの事だった。
「新入生の方は加藤コーチに見てもらうから明日から頑張れよ!では解散!」
解散後、三人は学校の寮に向かった。
彼達が入学すれば佐久宮は強くなると思い入学したが、早速試練が待っていた。
果たして三人の天才はこの試練を乗り越える事が出来るのか。