表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/54

第5層 ウサギ算 

本日は前話までと言ったな!あれは嘘だ!

前話までは昨日書いた分。今回は今日書いた分です。

「・・・うん。ちょっと、やりすぎた感はある。反省はしている。後悔はしていない」

「なの~」


「「「「「きゅう!」」」」」


俺がこの世界に来てから季節が1つ変わった。

「環境が整ったら一気に数が増える」と言っていたテメトトちゃんの言葉は本当で、お腹がいっぱいにご飯を食べれて、外敵が一切おらず、自由に草原を駆け回り、好きなところで無防備にお昼寝まで出来るストレスとは無縁の生活を送ったウサギ達はネズミ算式にドンドン増えていった。

いや、ネズミよりも酷いかもしれない。なにせ、サクラ達初期組61匹はこの1月で3回出産している子もチラホラといるし、最初の出産で産まれた子達は、もう子供を産んでいる。サクラ達はもう孫持ちのおばあちゃんだ。見た目は生まれた時から変わってないけど。ロリおばあちゃんだな。


俺の知っているウサギとは明らかに違う出産ペースの速さは、流石異世界のモンスターというだけはある。


ちなみに一度の出産で産まれる子供の数は一律で5羽だな。産まれる子供の種族は母親と同じ種族が2羽。父親の種族が2羽。両方の種族の特徴を受け継いだハーフが1羽だ。

ハーフは追加で召喚できないし、進化もしない。レベルアップが遅い感じもするが、両親両方のスキルを生まれた時から引き継いでいるサラブレットだ。


まぁ、スキルがいくつあろうが身体能力はウサギだから弱い事に違いは無いだろうけどな。


んで、ハーフの子供は、相手の種族の子供が2匹と、ハーフの両親の種族かハーフの3つの内から2羽。相手とハーフの両親のどっちかとのハーフか、3種族の特徴を受け継いだミックスの内から1羽が産まれてくる。

といってもミックスはサクラの孫の1羽しか見たこと無いけどな。そうとうレアっぽい。多産なウサギだからこそ一ヶ月で生まれてきたんだろう。

だって初期組が産んだ数だけでも、60羽の半分が雌だったとして30羽。平均2回出産したから300羽産まれていて。その内の150羽も1回出産して375羽産まれたわけだから合計で675羽だな。増えすぎじゃね?まぁ、種族的に弱いから多産なんだろうな。元の世界だとそうだったし。

初期組だけでもそれだけ増えたのに、ウサギの数がまだ少ないときに、新しい進化をしたウサギが居るたびにその種族の追加を召喚していったからもう大変な事になってる。てんやわんやだ。ボーパルは自分の眷属(かぞく)の数と匂いを全部覚えてるらしいが、俺には無理だな・・・ボーパルとサクラなら他のウサギに埋もれていても見分けられる自信はあるが、他の初期組となるとなんとなくでしか分からないし、それ以外はさっぱり分からない。


維持費は全員纏めて10ぐらいだから維持費的には増えても問題無いんだが、このままだとエリアが禿げてしまいそうなので直径2キロの楕円形にエリアを拡張した。空と地下はそんなに要らないしな。上下1キロもあれば十分だ。

というか、地下をこれだけ抉ったら地盤というか、天板沈下が怖いんだが、ダンジョンは実際に穴を掘って作ってある訳じゃなく、現実世界とは位相のズレた世界に存在しているため大丈夫とのことだ。

魔法スゲー。現実に穴を掘ってたら掘った土や鉱石はどこに消えるのかと笑われたんだが、ダンジョンは無から有を生み出しているんだし、有を無にすることも出来るんじゃないかと思う俺の考えはおかしいのだろうか・・・この世界の常識は分からん・・・


ともかく、ダンジョンは好きに作って大丈夫みたいだから、階層を作って、オスとメスを分ければこれ以上は増えないんじゃね?とも思ったが、このエリアにあるのはウサギ小屋だけじゃ無い。ウサギ達の進化に必要そうな物も買えるだけ揃えてあるんだよなぁ・・・


例えば、DMで買える全花を使い作った花壇や、一年中様々な実を付けている果樹園。多様な樹木が雑多に植えられた雑木林など、もはや草原だったころの面影が全く無く、植物系のオブジェクトが系統毎に分けられて配置されている。まるでどこぞの箱庭ゲームみたいな光景だ。まぁ、それを想像して区画整理をしていたんだから当然だが。

他にも様々な小物が飾ってある小屋なんかもあるな。小物っていうのは剣や、盾、杖なんかだな。

ウサギの進化条件は食べ物だけじゃなかったからな。


カタログに魔法杖を見つけた俺が、これがあれば俺でも魔法が使えるかも?と思って買ったんだが、魔法スキルが無いと魔法は使えない事が分かり、もの珍しげに魔法杖を見ていたサクラにプレゼントしたら次の日には桜魔法ウサギに進化してた。なにその安直なネーミング・・・

それからは草原の片隅に武器やら、服やらを置いておいて、好きなものがあれば持って行ってもいいことにした。ウサギナイトとか、ウサギウィザードとかがいっぱい出来たな。満足。


さて、この世界に来てから大体50日ぐらい経った今日。何故箱庭で大量のウサギと戯れて過ごした日々を回想しているのかというと、今日の朝。ついにダンジョンの範囲が地上にまで届いたからだ。

これで、地上まで続くエリアを作れば、転移で外に出られる。別に今の生活に不自由は無いが、折角の異世界だ。ちょっと冒険もしてみたい。

な~に、例え死んでもダンジョンコアから復活するだけだ。生き残りの人間の生活も見てみたいし、他のダンジョンがあるならその偵察もしてみたい。あとは地図なんかも欲しいかな。一番は観光だけど。


「ジュン1人で本当に大丈夫なの?やっぱりあたちも付いていくの!」

「いやいや、折角ダンジョンマスターが2人居るのに、2人共ダンジョンから出てどうするんだよ。それにボーパルのミミとしっぽがバレたら面倒だって話をしただろ?」


俺が外を見て回っている間、ボーパルにはダンジョンの事を任せてある。大量にいるウサギの管理は俺じゃ出来ないからな。新しく進化してたり、子供が生まれてたりしても俺じゃ気づけない可能性のほうが大きい。


「むぅぅ・・・じゃあせめて準備はしっかりしていくの!ハンカチは持ったの?剣は?あ、お弁当も忘れちゃいけないの!傷薬も新しいのを・・・」

「わかっってるって。今朝から何回確認してと思ってんだよ。お前は俺のかーちゃんか」


俺が外へ行ってみると言った瞬間からずっとそわそわと、俺のリュックを開けたり閉じたりを繰り返しているボーパルに、ついつい呆れた様な苦笑いを浮かべてしまう。

元気娘なのは今も変わらないけど、すっかりお姉ちゃん姿が板についてきたな。


「大事な家族なのは変わらないの!むぅう。心配なの・・・ジュンはよわよわだから、外なんか歩いたらすぐにオオカミにもぐもぐされそうなの・・・」

「・・・かわいい表現で不吉なこと言わないでくれ・・・俺が弱いんじゃなくて、この世界の生物が強すぎるんだよ」


1回戦闘訓練としてボーパルと組み手をしたんだが、ボーパルの動きが速過ぎて戦闘開始と同時に上半身を下半身がバイバイしてしまった。事故だが、ダンジョンコアの蘇生機能はちゃんと使えることが分ったからよしとした。DMは1000ほど持ってかれたけど。俺の温泉貯金がぁ・・・

ちなみに、ボーパルがダンジョンマスターだから強いのかとも思ってサクラにも相手をしてもらったんだが、ボーパルよりは遅かったがあっさり蹴り倒されてしまった。なんてこったい。

どうやらこの世界でのヒエラルキー底辺付近であるウサギでもあの程度の強さはあるらしい。そのウサギを捕食しているオオカミとか、全く勝てる気がしないんですが、それは・・・出会ったら全力で逃げるしかないな。死んでも大丈夫とはいえ、死にたくは無い。


「そうなの!サクラを一緒に連れて行くの!それなら少しは安心なの!」

「ウサギに守られるダンジョンマスターっていったい・・・というか、サクラは死んでもダンジョンコアから復活とかは出来ないんだろ?危ないから連れて行きたくないんだが・・・」

「きゅい?」


呼んだ~?って感じでひょこひょこと俺とボーパルの近くに寄ってきたサクラの頭をなでなでしつつ、このちっちゃかわいいウサギにも劣る戦闘能力の無さにちょっと涙が出かけた。何度も稽古を付けてもらって、やっと多少見切れるようになってきたが、まだまだ勝てないんだよな・・・

てかそれ以前に、転移はダンジョンマスターとその装備品にしか適応されないから、サクラを地上に連れて行こうとしたら、地上までサクラが通れるエリアを作って、10キロ程真上に移動してもらわなきゃらならくなるんだが・・・・


「運ぶのは任せるの!あたちが抱えて走って登るの!」

「さ、さいですか・・・」


ボーパルの速さなら10キロの坂を駆け上がるのにもそんなに時間は掛からないのかね?でも、ダンジョンの最奥への直通通路なんだから、誰でも入れるようなのは困るんだけど・・・


「あたちがギリギリ通れるぐらいの穴にして、上で塞いでおけばいいの!帰りは転移すればいいから徹底的にやるの~!」

「それなら・・・いいのか?」


「いいの!それじゃあ先に行ってるからジュンはゆっくりくるの~!」

「きゅい~」


そういうと、ボーパルはピピピっとクリエイト画面を操作して、俺に承認確認がきたから承認してやると、空の片隅に穴が開いた。


「また後でなの~!」

「きゅい~~~~!」


ボーパルはエリアがちゃんと生成されたことを確認するとサクラを抱えあげて、ぴょぴょんと桜の木の天辺に飛び移り、そのまま空に開いた穴へと跳躍した。穴は1キロも上空に開いているため、流石のボーパルも飛距離が足りないが、ボーパルが跳んだ直後に風に吹かれた様に舞い飛んだ桜の花びらが跳躍したボーパルを穴の中へと押し込んで、ボーパルとサクラはカサカサと上に登っていってしまった。

ちょっとは大人になったかと思ってたのに、有言即実行のお転婆っぷりは変わってないな・・・


まぁ、悪いことやイタズラはしない、いい子だから。いいんだけどね。

んじゃ、俺も。ダンジョンマップを見つつ、ボーパル達が地上に出るちょっと前ぐらいを見計らって移動しようか。


・・・ボーパルの作ったこのエリア、殆ど垂直の穴なんだけど・・・こんなのを10キロも駆け登れるような体力が無いと食物連鎖最下層のウサギにすら負けるとかやっぱり俺の異世界生活はハードモードじゃね?

まぁ、身体能力の差は全員同じか。そもそも俺達の役割はダンジョンの運営だけで、戦闘はモンスター任せにして引きこもるってもいいわけだしな。まぁ、これから外へ遊びに行こうとしているわけだけどさ。


もふもふ!

誤字脱字ありましたら感想のほうへお願いします。


目指すは日間ランキング!頑張れボーパル!


P.S 活動報告で前もやったアレをまたやっています。興味がある方は覗いてみてね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ