第24層 燈火の秘策
今回短いです。
やる気が出ればもう一話あげます。
「ずみばぜんでじだぁ・・・どうか許じてくだしゃい・・・」
「いや、俺は別に何もしてないんだが?というか、往来の真ん中で土下座される方が困るわ」
「きゅい?」
俺は現在、両手に買った食料や服を持ちながら、泣きながら土下座をしている燈火を見下ろして困ってる。実に困ってる。
幼女を泣かせるのは俺の主義に反するし、周りの目も痛い。誰かなんとかしてくれ・・・
・・・何故燈火が泣きながら土下座をしているのかというと、燈火がシノハさんから教わった男を落とす必勝法である”押してダメなら引いてみろ”作戦を決行し、俺から物理的&精神的に距離を取って、にやにやした楽しそうな顔で冷たい態度を取り出したので、俺も合わせてサクラとだけいちゃいちゃしながらショッピングを楽しんでいたら、30分程で我慢できなくなった燈火が泣きながら土下座をして謝ってきたという訳である。
燈火が俺から距離を取り続ける事が出来るはずが無いってことぐらい、作戦を決行する前に気づけよ。って思うが、燈火の頭の中には寂しくなって燈火を求める俺の姿しか無かったのだろう。そんな感じのにやけ顔してたし。
さて、どうすっかなぁ・・・
燈火のことだからほっとけば治るような気もするけど、泣き土下座をする幼女を放置するってどんな鬼畜だよって話だしなぁ・・・あっ、そういえばあれがあったな。
パチン
「ひっく・・・えぐっ・・・ふぇ・・・?」
泣きながら「私を捨てないで」だとか「嫌いにならないで」とか、人聞きの悪い事を叫んでいた燈火も、自分の頭に付けられた異物には流石に反応し、顔を上げて、自分の頭を触ってる。
「これ、は・・・」
「ヘアピン。買ってやるって約束してただろ?燈火が元気無いとこっちまで調子が狂うからさ。いつもの燈火に戻ってくれよ。さっきまでの燈火よりもいつもの燈火の方が・・・なんだ。俺も好きだしさ・・・」
「じゅんにぃ・・・」
「きゅい!」
やっべ。なんか急に恥ずかしくなってきた。前からちょこちょこと、好きだとかかわいいだとかは言ってたけど、あらたまって大勢の人の前で言うのは無性に恥ずかしいな。顔真っ赤になってないか心配だぞ。
ま、まぁ。ここまでやったんだ。流石の燈火も満足して泣き止んでくれるだろう。
「じゅんにぃ・・・!!」
「って、まだ泣いてるし!はぁ~、まったく。ほら、手貸してやるから立てよ」
必殺プレゼント大作戦までもが空振りに終わったので仕方なく燈火の手を取って無理やり立たせて連れて行くことにする。
なんか、燈火さん。幼女化してから涙腺が脆くなってませんか?
「この涙は悲しい涙じゃないからいいもん!」
「うわっとっと」
俺の差し出した手を思いっきり引っ張った燈火が、跳ね上がるようにして俺の胸に飛び込んでくる。
あ、危ないことしやがる。生前の身体能力だったら間違いなく燈火を押し潰していた所だったぞ。
「えへへ~。じゅんにぃ。だ~いすき♪」
「はいはい。知ってるよ・・・って、おい!涙と鼻水を俺の服で拭くな!」
ポケットティッシュが無くて不便なのは分かるけど、だからって俺の胸で拭いていい理由にはならんぞ。
「・・・匂い付け匂い付け。なわばりなわばり」
「誰が涎も拭けと言った!?」
まったく。燈火は本当にまったく。
「・・・はぁ。ほら行くぞ。」
燈火が引っ付き虫状態から離れる様子が無いので仕方なくそのまま買い物を続けることにする。
燈火の力なら俺が支えなくても落ちることは無いだろうしな。
「うん!えへ~。じゅんにぃ。だいすき♪」
「知ってる。てかさっきも聞いたぞ」
まさか記憶力まで幼女退行してないよな?
幼女退行・・・幼女進化?どっちかと言えば進化だな。うん。幼女はよいものだ。
「何回でも言いたい気分だからいいんですぅ~。じゅんにぃ、だいだいだ~いすき♪」
「へいへい。俺も好きだぞ~」
全身から幸せオーラを出しまくっている燈火を貼り付けたまま大通りを練り歩く。
動きにくくてしょうがないが、メソメソされるよりはずっとマシだな。
やっぱり幼女は笑顔が一番だぜ。
もふもふ!
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次回はあの人が出ます。
苗字はギルです。名前はドノマスです。
イッタイダレナンダー




