雨の日の噺
我が家(@Sumi_ko)の花尾 ひふみと、
へびいはん家(@hebi1go )の花尾 吉野さんが
主人公のお話です。
「雨…止まないね…」
「ね…」
「じめじめする…」
窓から覗く三匹の子猫。
ざあざあざあ。
今日は朝からずっと雨である。
「暇だね…」
「暇…」
「ひま…」
吉野お嬢さまは静かでちょうどいい、とお部屋で本を読まれている。
特に用は言い付けられていない。
ひふみはお嬢さま親衛隊三人衆などと名乗ってはいるが、まだ子猫なので身の回りの世話くらいしか用付られない。
お世話をする方が大人しくするなら、自分たちも大人しくするしかないのだ。
「なんか…ねむく…」
言い出したのは誰だったか。
言われてしまうと段々睡魔が襲ってくる。
「駄目だよ…。お嬢さまから御用があるかも、しれないん、だから…」
言う声も覇気がない。
ぐら…どさっ
傍らで重い音。
横たわる自分と同じ顔。
「ふう…?」
答える声はない。
どさっ。
「みい…?」
同じく答える声はない。
二人ともまったく動かない…。
「こら…二人とも…」
二人の体に手を掛け揺り動かそうとしたその時。
…あれ?
いつの間にかすぐ側に畳がある。
自分が倒れている事を自覚する。
どうして…。
ひいの意識はそのまま落ちていった。
−−−−−−−−−−−−−
「ひふみー?」
凛とした少女の声。
(おかしいわね…)
いつもなら、すぐさま飛んできて吉野の声を待っているのに。
(あの子達、雨は苦手だから外に出ることはないと思うけど…)
居ないのならば仕方ない。
(晴れたらちょっとお使いを頼みたかっただけだし…)
仕方ないが、なぜ居ないのかが問題である。
(まさか敵襲!?)
花尾家の敷地内でまさかそんな事はないと思うが…。
心なし早足になりながら手近な部屋の戸を開け放しながら歩く。
「ひふみー!ひふみー!」
何部屋目かの戸を開けた時。
「ひふみー!ひふ、み…」
倒れている3つの体。
(あっ…。そんな、)
ざあざあざあ。
雨音がやたら大きく聞こえる。
その音に混じって、
くうくう。すうすう。みいみい。
(…………)
何と言うか、言葉が出ない。
側に寄っても身じろぐ気配すらない。
熟睡である。
(…随分と気持ち良さそうな寝顔ねぇ)
つんつん。
左腕に三本の印のある猫の頬をつつく。
「んむ~…」
眉根を寄せて少し身じろぐ。
みいは寝てるときに頬をつつかれるのは嫌らしい。
それにしても
(もちもちの頬ねー。面白い)
続いて横の一本の印の猫の頬をつつく。
「にっ…」
少しビクッとしたがそれだけ。その後いくらつついても反応がない。
ひいは慣れてしまえばどうという事はないようだ。
(案外肝っ玉が据わってるのね)
更に横の二本の印の猫の頬をつつく。
「………」
見事な無反応。
(凄いわね…。どこつついても反応が無いわ…。)
三つ子の頬を存分に堪能した所で、
(もうちょっと寝かせてあげましょう。)
まだ雨は止みそうにない。
吉野は静かに立ち上がる。
「お休みひふみ。良い夢を」
スー、ぱたん。
子猫はずっと、桜の雨と遊んでいた。
【終】




