はいせんす
短いです。くだらないです、すみません。
久しぶりの日曜日、何の予定もない日。
蘇芳は、以前から一平が行きたがっていた航空博物館を見に行くことにした。
「すっげー楽しみ!」
まだ小学生の一平は、小さい頃から飛行機が好きで、以前蘇芳に買ってもらって初めて作ったプラモデルの赤いセスナを大事にしている。
航空博物館にいく、それ自体も楽しみだったが、蘇芳と一緒に出かけられるのも楽しみだった。なにしろ、蘇芳は会長職で忙しく、ここのところあまり一緒にすごす機会がすくなかったから。父親代わり、とまではいかなくても、本当の兄のように一平は思っているのだ。
「んじゃ、出かけようか」
蘇芳はベージュのジャケットを羽織り、車のキーの入ったキーボックスに手を伸ばした。
「ちょっとまて」
それを押しとどめたのは一平。
「蘇芳、どの車に乗ってくつもり?」
なにしろ、古川家には大量の車があるのだ。
「レジャーなんだからさ、やっぱりそういう車を」
「どういう車?」
「えーと・・・じゃ、センチュリー・・・」
「どこがレジャー向きなんだよ!」
これだから、こいつはちょっと常識とセンスに欠けるところがあると頭の痛い一平だった。
ちょっと考えて、蘇芳が次の車を提案する。
「んじゃ、ホンダのビート」
「ど・こ・の・世界に!2シーターのデートカーで小学生乗っけてくやつがいるんだよ!早くカノジョ作れ!!」
「余計なお世話だっ!」
すこ~し傷つく蘇芳。
「・・・・んじゃ、軽で」
「蘇芳みたいなのがおばちゃんおつかい車から降りてきたら周りが驚くからヤメロ」
「どーいう意味だ」
自分の外見が、セレブモデルなみにかっこいい白人だという自覚のない蘇芳に、ついため息をついてしまう一平だった。
「・・・わかった。俺が車指定する。今日は、ハリアー!」
「あ、なるほど」
その後、無事彼女を作った蘇芳のデートのたびに、車を指定するようになる一平だが、今はまだそれを知らない。
念のため、注。
センチュリー : 会社の社長さんや政治家が乗ってるような、黒塗りの高級車。