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chapter14裏 やる気よ、やる気。

台風がパナイ……



「お姉様、そろそろ復活しないとどんどん話しかけにくくなるよ?」


「そうはいってもフラン。この状態で話しかけるなんて私にはとてもムリゲーよ」



 自分の部屋の布団の上でカリスマガードをしながらフランの言葉に答える私。一見変態臭が漂わなくもないが、こんなもの昔やったパンツ丸出しぶらんぶらん事件やバーニング殺人未遂事件に比べれば全く問題ない。ないのだ。それとフラン、体育座りは止めなさい。下着が見えていけないわ……なぜそんな色気のあるものを履いているのかしら……。


 閑話休題。


 兄との現状に大いに困っている私を見かねて相談役になってくれたフラン。しかし献身的に聞いてくれてはいるものの、これといった打開策など浮かぶはずもなく、すでに一週間が経過。試しに咲夜に聞いても苦笑いを浮かべて姿を消すし、パチェに至っては自分で考えろブラコンと蹴り出される始末。中国や小悪魔? ……論外ね。霊夢に魔理沙? 論外を通り越して無限の彼方よ。

 そんなこんなで今も布団の上でカリスマガードしているわけだが……



「これじゃそのうち家出よ、兄様」


「あら、そんなことになったらお姉様を燃やしてお兄様を拉致監禁しちゃうんだから」


「考えが怖すぎて涙も出ないわ」



 一瞬淀んだフランの目だが、すぐに戻る。何この子、いつの間にそんな恐怖のスキルをゲットしちゃったの? まあでもあの兄様がフランにやられるとは思えないので、深くは考えない。むしろ諭されて泣いて見送るのが落ちだろう。



「はぁ……でもそろそろ本格的に何とかしなくちゃいけないわ。それでなくても次期当主としての評価がダダ下がりなんだから」


「元からマイナス値を突破してる気もするけどね」


「フラン、貴方の言葉は如何なる神器でも、如何なる呪いでも出せない破壊力と凶悪性を持っているのだから不用意な発言は控えなさい。さもなくば私の心がブロークンを通り越して廃人化よ。一生物言わぬ植物よ」


「それはそれでめんどくさいなぁ」


「ふふっ、会心の一撃ね」



 もう涙も出ないわ……

 心だけはぎりぎり保てた私は一人枕に顔を伏せ、しくしくと泣く。もちろん……涙なんて出ない。出すもんですか。



「まあお姉様が廃人化するかはともかく、どうするの? 本当にこのままだとお兄様、家出したぜフゥゥゥゥゥ!! ってなっちゃうよ?」


「マジで返事するとそれはないわ」


「そうなの?」


「ええ」



 確かに彼の根っこは冷酷である。気に入らなければ即座に首を落とすタイプの妖怪だ。その証拠に昔住んでいたある場所で反逆の意を唱え、危害を加えてきた妖怪達を当時生きていた父の命に従い見せしめにとその場で一人一人の指を落とし、耳を削ぎ、目をくり抜き、最終的に首を落として絶命させたという例がある。しかもその時の表情が知らぬものが見ればまるで聖母のような、彼を知る者からすれば、サタンも可愛く見えるほど残酷な笑みを浮かべていたのだ。この時の私は既に彼に気を許していた頃だったので、その笑みを見て背筋が凍るようなものを感じた。彼こそが最恐最悪にして最凶の悪魔だと…。

 だが一方で自身が気を許した相手にはとことん優しい。いや、とことんは言い過ぎた。でもそれでもとても優しい。誕生日と聞けば自作した首飾りをくれたり、熱を出せば仕事の合間に部屋に来ては水を変えたりタオルを変えてくれたり、何かに悩めば答えはくれずとも助言をくれたり……本当に優しいのだ。


 そんな残酷ながらも優しい彼が私の成長を見終える前に役目を放棄するだろうか? 否、断じて否。あり得ない。もしあるとすれば彼にとって私が敵と認識されてしまったときであろう。だからない。絶対だ。呆れこそあれど、敵という認識はされていないはずだから。もしそうなら……



「……考えるだけで背筋どころか、血まで凍りそう」


「お姉様?」



 あ~、やだやだ、そんな怖いことってないわ。

 私は自分を温めるかのように掛け布団をかぶる。季節的にこれは暑さをさらに倍増させるが、想像した内容が内容なだけに、全く気にならなかった。



「まあとりあえず、無いわ。今は彼に見限られない」


「そ、そう」


「とりあえず、気合でなんとかしましょう」


「あ、うん、頑張れ……」



 そうと決まればと私は布団から降り、色々手を尽くすことにした。もうこうなればぶつかって爆発よ!!



「こんなことで止まっていてはいけないわレミリア。ここで挫けてはクズ。さあ行ってくるわ!!」


「いってらっしゃ~い……」



引き攣った笑みを浮かべるフランに軽く返事をすると私は部屋を飛び出る。さあ、兄様! 一度底に落ちた女は強いということを、見せてあげるわ!!



「やってやるわよ!!」

























「大丈夫かなぁ……すごく不安だわ、お姉様」











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