表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍王の加護  作者: 仙幽
5/59

第五話:追憶


──何で飛那が行かなきゃならないわけ!?国に飛那しかいないわけじゃないじゃない!行かないでよ!ここにいてよ!!!飛那!!!!


シア…私にしか…できないことなの。王の一族でないと…王は討てない…。


──何で飛那なの!!弟がいるんでしょう!!弟がやればいいじゃない!!!飛那が死ぬなんてイヤ!!イヤよ!!


シア……弟はまだ小さい…父親殺しなんてやらせたくないわ…。

それに父上は私が…自分の手で…決着つけたいの。


──イヤ…イヤだよ…行かないでよ…飛那は…飛那は私達より国の方が大切なの?


…私は龍王の寵愛を受ける一族の長子よ。

生まれながらにして、国に対して…龍王に対して責任を持っているわ。


──…自分の命を狙うような父親じゃない…。飛那…国を追われたんでしょう…?


シア。それでも、父親なの。5・6年前までは…本当に優しい方だったの。


──でも…でも…


シア。もうそれ以上は言わないで…お願い。あなたも…一国の姫でしょう?……分かって。


──ひなぁ……いかないで……おねがい…


…みなに…伝えて?黙って行ってごめんて…。絶対に追いかけてこないようにって…


──いやぁ…ひな…


ごめんて…そう…伝えて…。


──まって!!!いやぁぁ!!!飛那ひなぁぁっ!!!!




飛那は、とても豪華に装飾された、扉の前に立っていた。

飛那の周りには、何故か、服と、灰色の砂、そして、何か赤い文字の書かれた長方形の紙が散らばっている。

──シア…キリト…マナミ…イシズ…来たわ…ここまで…。

約束を守れなかった私を…どうか許して。

飛那は扉に手をかけた。

少しためらい、側にあった、鐘を見た。

灰色の砂の山からハンマーのような物を見つけると、それで鐘を鳴らした。


「誰か?」


しわがれた声だが、しっかりとした口調だった。

飛那は臆することなく、はっきりと言った。

「飛那でございます。おそれ多くも、父上に話しあって参上いたしました。入れていただけましょうか。」


「ふっ…よかろう。入りなさい。」


飛那は扉を両手で開けた。

中は薄暗かった。

目が慣れると、目の前に、やせ細り、黒のブカブカな衣服に身を包み、白髪を腰まで届くほどに伸ばした初老の男が立っていた。

要王……飛那と飛竜の父親だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ