表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍王の加護  作者: 仙幽
12/59

第十二話:懺悔

白璃は赤爛を呼びに走り、白卦は飛那を寝室に運んだ。

飛那はそのまま、2日間寝込んだ。

目覚めたとき、飛那の側には白竜がいた。白竜は少し、やつれているようだった。

白竜は飛那が自分を見ていることに気づいた。


「……はく……」

飛那はその後に言葉を続けることができなかった。白竜が突然泣き出したのだ。

飛那は何も言うことができず、ただ戸惑いながら白竜を見ていた。

「…申し訳……ございません……。私は……飛那様に……どいしても…謝らないと…………」

白竜は苦しそうに嗚咽を漏らしながら、飛那に話し始めた。

「私は…最低な五竜なんです!!!!」

この龍王国では、赤、青、緑、白、黒の一族がいて、その長である赤竜、青竜、緑竜、白竜、黒竜を『五竜』と呼ぶ。王の側近であり、王のサポートをする。

「私は……この国が…要主が…もう壊れ始めていることを分かって…いながら…何をするのが民のためか…何が一番、国の為に良いか…分かっていながら…呪いが怖くて…我が身可愛さ故に…民に無用な苦しみを強いてしまいました…。」

飛那は白竜の言葉に静かに耳を傾けている。

「黒竜に…王殺しは死ぬだけではすまない…王の一族以外が王に手をかけると、死以上の呪いをかけられると……言われ……こ…怖くなって…………」


「……白竜?」


「でも……そんな事…理由になりません…!!私が…私がすべきことでしたのに……また…飛那様に頼ってしまって…こんなに……傷つけて…。申し訳…ございませんでした。」

白竜は畳に額をつけ飛那に向かって土下座をしている。

「…なぜ…謝る…?白竜が謝る事なんて、何一つないわ。これは、娘である私の義務だった。民すべてに謝らなくてはならないのは、むしろ私の方だわ。私が…もっと早く…決断していれば…ニ千万の民が死ぬことはなかった…。天空の桃源郷とまで言われたこの緑を失うこともなかった…。」

飛那は自分の手を見た。

包帯は巻かれていなかったが、両手にはっきりと爪痕が残っていた。

飛那はその手を握った。

「飛那様…私は…黒竜が飛那様をお連れできなかったと知ったとき…正直…がっかりいたしました。勝手だとは百も承知…飛那様がいればきっと要主を何とかしてくれる…と…期待していたのを裏切られた気がしまして…。」

「…」

「飛那様に怪我を負わせたのは私の責任でもあります。どうか…罰をお与えください…私は…臆病でした。」

飛那は少し困ったような顔をした。

「あなたに罰を与えなければならないなら、今いるすべての民にも同じ罰を与えないとなりませんね。」

白竜は驚いたように顔を上げた。

「なぜ……」

「みんな…分かっていたはずよ…。父上が乱心した事ぐらい…なんて言ったって…」

飛那は自嘲気味た笑いを漏らした。

「二千万も…殺したんだもの…それでも…誰も…父上に手をかけるものは現れなかった。本来なら…みんなできたこと。皆、龍騎の呪いを恐れて…。でもきっと…それ以上に…父上を亡くしたくはなかったのだと…私は思うわ。父上は……とても民に…慕われていたから。白竜も…たいそう…父上に可愛がられていたものね…」

白竜はすでに泣きそうな顔をして、飛那を見つめている。

「はい…。要主は……民すべてに…慕われておいででした…もちろん…私を含め側近にも…」

飛竜は柔らかく、白竜に笑いかけた。


「白竜?」


「はいっ…」


「助けてくれてありがとう。私も…飛竜も。」


「…はい…」


白竜は下を向いたまま泣き出してしまった。

飛那は白竜から視線をずらし、窓を見ながら独り言のようにつぶやいた。


「…でも…なぜ私は生きているの…王に直接手を下したのは私なのに…。」


窓の外では王の死を悲しむかのような雨が激しく降り続いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ