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ゲームだと思ったら異世界転生だった! 〜人生をやり直したい男の異世界探索記〜  作者: 和三盆光吉


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 6話 初めての魔物とロールキャベツ㊦



 無事に畑仕事の依頼を終えてスタットの街の南門を潜ったホープ。


(冒険者ギルドに行く前に、ゲレタさんにキャベツを渡そう)


 マーガレットに報告すればそのまま鍛錬が始まる。それだと帰りが夜7時を超えてしまうし、疲れてヨレヨレになっている。先に渡してしまうのが得策だろう。


 夕暮れの街。仕事帰りの人々の間をすり抜け、大通りを中央広場で北西に曲がり、西1区にある古く味のあるゲレタの家へ。控え目にドアをノックして待つ事しばし。


「は〜い。どなたかしら」

「ゲレタさん自分です。ホープです」

「あらあら、まあまあ。今開けますよ」


 女性が怖いホープでも自然体で接する事ができる癒し系老婆。背筋の伸びた品のある白髪のゲレタが扉を開ける。


「まあホープさん。どうしたんです」

「突然お邪魔してすいません。実は斯々然々……」


 玄関先でその日の出来事を語って聞かせる。


「ですからキャベツをお裾分けします。ご迷惑でなければですが」

「迷惑だなんてとんでもない。とても嬉しいわ」

「良かった。内心、押し付けにならないかと不安だったんです」

「あら、ホープさんはお若いのに小心なのね。食べ物を貰って嫌がる人なんていませんよ?」

「そうでしょうか?」

「そうですとも。食費が浮いて助かります」


 ふふふ。と笑うゲレタ。

 平和で飽食で食材への感謝を忘れた日本とは異なる考え方。

 かつて当たり前にあった、分け合い助け合うという文化が廃れ、何かを贈るのも相手の好みを細かく気にかけないと嫌われてしまう日本。善意だけでお裾分けしても良い事とは限らない。


(昔、家庭菜園のトマトを後輩にあげたら上辺だけの感謝でそのまま捨てられた事があった。受け取った善意をどうするかは相手の自由。けれど食べ物を好みじゃないと捨てられるのは、あまりにも悲しい)


「これです。一部、黒スライムに齧られていますけど、剥けば問題ありませんから」

「ええ、ええ。新鮮なキャベツですこと。どうやって食べましょう」

「春キャベツですから、どうやっても美味しそうです」


 老女1人。食べられる量には限度がある。2玉、小ぶりなキャベツを手渡した。その時。一瞬、ゲレタの顔が曇る。


(なんだ? やはり迷惑だったか?)


 虐待を受けたトラウマによって、人の表情や仕草に過度に反応するホープ。女性が相手だと、特に鋭敏になってしまう。今まさに、ゲレタの反応から嫌われたのではと心拍数が速まった。


「失礼とは思うけど。良いかしら、ホープさん」

「は、はい。キャベツ、迷惑でしたか?」

「いいえ。キャベツはとても嬉しいわ。そうではなくて」

「あ、う、自分は、その」


 何を言われるのか。何かを言われる前に逃げようか。そんな考えがグルグルと巡る。


「今日も初めてお会いした時と同じ服ね」

「え?」

「汚れているし、少し臭うわ」

「あ、あ? あう……」


 言われて体を見る。匂いも嗅ぐ。確かにキツイ。

 考えてみれば、初日から同じ服で洗濯もしていない。

 ドブ掃除に鍛錬に農作業。お風呂も入らず井戸で体を拭いただけだ。臭くなって当たり前。スメルハラスメントである。


「ご、ごめんなさい! 出直して来ます!」


 踵を返して逃げようとした。

「待ってホープさん」

 その手首をゲレタの枯れ枝の如き細い手が掴む。


「酷い言い方をしてごめんなさいね。私が無遠慮でした」

「そ、そんな事ありません。自分こそ配慮が足らずごめんなさい!」


 背中を向けたまま逃げようとするホープ。けれど老女の、骨と皮だけの弱々しい力を、繋がった手と手から伝わる温もりを、何故か振り切れない。


「ホープさん、この後のご予定は?」

「それは、冒険者ギルドでマーガレットさんの鍛錬です。遅れると怒られます」

「まあ凄い。強くなる為に頑張っているのね。とても良い事だわ。終わるのは何時?」

「……し、7時です」

「そうなのね。では、7時にまた来て下さいな」

「え? 何故です」

「私、閃いたの。頂いたキャベツでロールキャベツを作ります。丹精込めて、じっくりと味を染み込ませて。美味しくなる様に頑張るわ。でもおばあちゃん1人で食べるのは寂しいから、一緒に食べてくれますか?」

「……ロールキャベツ」


 ホープの心は揺れた。


(ゲレタさんのロールキャベツは食べたい。でも体と服を洗ってからじゃないと、スメル迷惑になる。服は今着ている一着だけ。洗ってすぐ乾くわけもなく、とてもお誘いは無理だ)


「ご、ごめんな……」

「鍛錬は汗をかくでしょう。お風呂の準備をして待っています」

「はへ?」

「息子のお古の服が沢山あるの。良かったら貰ってちょうだいな」

「ほへ?」

「さあ、マーガレットさんを持たせると怖いんでしょ。早く行って、頑張って、また帰って来て」

「あの、その」

「絶対よ。約束よ。ロールキャベツよ?」


 ゲレタは一方的に約束を交わし、ホープの手を離すと背中を押した。


「あー忙しい。育ち盛りの男の子は沢山食べるから大変だわ」


 そう言って返事も聞かず家に入る。


(約束した事になってしまった。お風呂に服にロールキャベツ。貰ってばかりで申し訳ないけど、嫌な気はしない)


 やはりゲレタは他とは一味違う癒し系老婆であった。

 約束したなら守らねばならない。ホープは何やら嬉しくなって、飛ぶように冒険者ギルドに向かった。




「ただいま戻りました。依頼完了です」

「お疲れ。報酬の60ポリだ」

「ありがとうございます」


 朝から夕方まで、汗と土に塗れて手取り60ポリ(6000円)はどうなのか。それは年齢や物価や文化に左右されるので一概には判断つかない。ホープは特に不満もなくアイテムボックスにポリ硬貨をしまう。


「畑仕事はどうだった? 疲れたか」


 腕を組んだハゲマッチョおっさんマーガレット。

 おそらく気を遣っているのだろう、ホープとの会話を望む。


「大変でした。でも嫌いではないです。アンダーソン一家には良くして貰いましたし、お土産にキャベツを頂きました。あっ、黒スライムも倒しました。死体を買い取って下さい」

「おお! おお、そうか! うむ。黒スライムの討伐ご苦労。素材買い取りは一旦外に出て、別の入口だ」


 1日の労働を笑顔で報告するホープに安堵したマーガレットである。受付けカウンターを出ると自ら素材買い取り所に案内する。入口を出て左へ。ギルドの建物に沿って裏手へ。鍛錬場の手前に『買い取り』と書かれた大きめの入口があった。


「生の魔物も持ち込まれて解体もやるから、メインホールと入口を分けてある。入れ」

「はい」


(おお〜! 生臭い。そして定番の解体場だ)


 買い取り所の感想は昔ながらの個人の肉屋。受付を担当するのは痩せ型のおっさん。奥にも人の気配があって、おそらく魔物の解体などをしているのだろう。血なまぐさい異臭が漂っていた。


「おう、ヘンリー。こいつ新人のホープ。黒スライムを取ってきた」

「ギルマス」

「初めましてホープです。よろしくお願いします」


 腰を折って頭を下げる。基本中の基本。


「ヘンリーだ。黒スライムは膠の材料になる。この桶に出せ、キロ3ポリで買い取る」

「はい」


 ヘンリーは無愛想なおっさんだが悪意はなさそうである。

 ホープは言われるまま、カウンターに置かれた桶にアイテムボックスから出した黒スライムを入れていく。ぬちゃぬちゃどちゃどちゃ。


「結構取ったな〜」


 農作業の合間に討伐したにしては、量が多いとマーガレットは感心した。


(休憩なしで手早く片付けたからな。単純作業の繰り返しはお手の物。それにアイテムボックスのお陰で狩った黒スライムが邪魔にならなかったのも大きい)


「3.9キロある。オマケして12ポリだ」

「ありがとうございます」


 1200円。屋台の肉クレープ、ハーリャなら3つ。1日分の食費にはなった。お金をアイテムボックスにしまい、ヘンリーに礼を言う。


「需要はある。また取って来い」

「はい。そうだ、マーガレットさん」

「あん?」

「アンダーソン家のトーヤさんから、明日と明後日も手伝いに来て欲しいと指名されました。良いですか?」

「指名か。そうか、気に入られたか。うむ。許す」


 あっさりと許可された。


「冒険者酒場に屯している若い冒険者のほとんどが、他所から来た一時的な所属だ。本当の、街付きの冒険者は少ないから、雑用依頼を回すのに苦労してんだよ。ホープが雑用を嫌がらずに消化してくれて助かる」

「そうですか。街の人達のお役に立てるなら何よりです」

「ガハハ! 堅っ苦しい言い方だな。んじゃ、今日も鍛錬と行くか!」

「……はい」


 その日の鍛錬も構えの維持と鍛錬場10周。特筆して語ることもなく、ヘロヘロになったホープは薬草を無理矢理飲み込んで、ゲレタの家へと急いだ。


「こんばんはゲレタさん。来ました」


 扉をノックして名乗る。少しして、トタトタと家の中から足音がして扉が開かれた。エプロン姿のゲレタが笑顔で出迎えてくれるのだ。


「おかえりなさいホープさん。さあ、どうぞ」

「あ、お邪魔します」


 靴を脱いで家に上がる。ファンタジーなのに日本的な文化。


「お疲れ様。まずはお風呂に入ってね」

「図々しくてすいません」

「そんなこと言わないの。むしろ私は嬉しいのよ」

「嬉しい?」

「夫に先立たれて、息子は結婚して他所の街。毎日おばあちゃん1人じゃ寂しいの」

「それは、自分にも良く分かります。1人は辛いですから」


 現実のホープは仕事を引退した70歳の独居老人。ゲレタの現状も気持ちも共感出来る。


「ホープさんも訳ありなのね。いえ、無理に言わなくても良いのよ。話したいと思える時が来たら、聞かせて貰います」

「はい、たいした話もありませんが」

「ここがお風呂。狭いけど我慢してね」


 小さいが清掃の行き届いたお風呂場。全面タイル貼り。こじんまりとした浴槽にたっぷりのお湯と、いつでも使える魔導給湯シャワー。何よりの持て成し。


「本当に、こんなにして頂いてすいません」

「替えの下着とお洋服は息子のお古。サイズは合うと思うけど、多少は我慢して下さいね」

「我慢なんてとんでもない。有り難いです」

「脱いだお洋服は洗濯しておきます。後日取りに来て」

「そんな、そこまでは悪いですよ」

「良いの。また来てもらう口実よ」

「口実がなくても、また必ず来ますよ」

「ふふふ。お世辞ばかりで悪い子」

「悪い子でも嘘はつきません」

「ほほほ、ほほほ」


 本心からの笑い声だろう。ゲレタは嬉しそうにお風呂場を去った。残されたホープは服を脱ぎ、3日ぶりの熱いお湯を堪能する。


「ふぅ〜。生き返る。……ゲレタさん、本当に素敵な女性だ」


 ゲレタはプレイヤーなのか。NPCなのか。

 プレイヤーなら年齢不詳。性別すら偽っている可能性がある。結婚相手としては慎重に成らざるを得ない。

 NPCなら見たままなので、結婚を視野に入れてお付き合いしても良い。むしろ結婚したい。


「それも有り。ぜんぜん有り。やっぱり見た目年齢より、中身の年齢と釣り合う落ち着いた女性が良いよな。子作りは諦めるしかないけど、残りの余生は肩を寄せ合いながら。なんて、ゲヘヘ」


 ちょっと不埒な考えを持って、ふとお風呂場の窓から外の庭に目を向けると、そこには小さいながら見事な植物の楽園が広がっていた。


(綺麗に手入れされた庭木達。ゲレタさんの人柄が伺える。あれ、薬樹も植わってる)


 街の至る所に街路樹として植えられた薬樹。ゲレタの庭では小さく仕立てられながらも、旺盛に葉を茂らせていた。


(外傷なら薬草の需要は高いだろう。一家に1本。薬箱的な存在なんだろう)


 食べさえしなければ最高の常備薬。そう、食べなければ。


(まじで人の食べる味ではない。自分じゃなかったら吐いてるぞ。効果が微妙だったら絶対に食べない!)


 心の中で薬草食への悪態をつきながら体を洗う。隅々まで磨いてサッパリすると、息子のお古を着てダイニングへ。


「お風呂ご馳走様でした。頂いたお洋服もサイズピッタリです」


 キッチンにはエプロン姿で笑顔の老女。テーブルの上には熱々と湯気を立てるロールキャベツの盛られたお皿とパン。ダイニングは間違いない幸福に満たされていた。


「良かった。想い出のある物を捨てられない性分で、ホープさんが貰ってくれて助かったわ。さあ、座って」

「はい」


 向かい合ってテーブルに座る。


「どうぞ。召し上がれ」

「頂きます」


 ナイフとフォークを手に、柔らかな春キャベツに包まれた、大振りの肉の塊に入刀。肉汁がジュワリとコンソメスープに流れ出す。


「オークのミンチ肉をハーブで味付けしたの。お口に合うかしら」


 ナイフで一口大に切り分けて、フォークで突き刺し、熱を孕んだそれをパクリ。


「んっ! ん〜〜! 美味い! 最高です!」

「おほほ。ほほほ」


 オーク肉は脂が多く甘い。口の中一杯に広がる甘い肉汁の旨みと、野性味のある噛み応え。後から来るハーブの爽やかさ。手が止まらない。


「コンソメスープも凄いです。語彙が足りなくて、凄く美味しいとしか言えません! ごめんなさい!」

「じっくりコトコト、魔物の骨髄と野菜を煮込んで、何度も濾して作ったのよ。暇な老人だから出来ることね」

「老人だなんてとんでもない! 叶うなら、毎日食べたい味です!」

「まあ、まあ。ほほほ」

「美味! 美味! キャベツも柔らかくて甘い。素材の甘みだけで糖尿病になりそう」

「お代わりは?」

「いただきます!」


 ホープは我を忘れて夢中となり、大振りのロールキャベツを3個平らげた。腹部が膨らみ苦しい。そこへ口直しのお茶が提供される。


「このお茶、試作品なの。試してもらえるかしら?」


 白磁のティーカップに注がれた緑のお茶。


(緑茶に見える。香りは、特にクセはない。どれ)


 ふぅ〜と冷まして一口含む。


「どうかしら?」


 心配そうにホープを覗うゲレタ。


「ちょっと苦いです。でも美味しいです」

「正直に言って。本当に美味しい?」


 ぐいっと来るゲレタ。真剣な眼差しにそっと目を逸らす。


「本当は美味しくありません。でも、普通に飲める味です」


 その答えに「ふぅ〜」と溜め息を吐くゲレタ。何やら落ち込んだ様子。


「憶えのある味です。何のお茶ですか?」

「憶えがあるの? これに?」

「はい、確か昨日も今日も。そう、あれは……ぐっ!」


 味の記憶を探る。そして思い至る。


「まさか! 薬草!」

「そうよ。ホープさん、あれを食べたの?」

「ぐぐぐ、食べました。マーガレットさんに強要されて食べています」

「まぁ、殺人的に不味いでしょう?」

「不味いです。ですけどお陰で疲れはとれます」

「そうなのよ。薬草は殺人的に不味いけど、経口摂取すると体に良いのよ」

「確かに。それでお茶ですか?」

「なんとか美味しく薬草を摂取出来ないかと研究中なのよ。人体実験したみたいでごめんなさい」

「いえ、このお茶は普通なので構いません。しかし研究ですか?」

「時間はあるから、世の中の役に立ちたくて」

「凄い。立派です。素敵です。結婚したいです。このお茶、もはや完成では?」

「大人なら普通に飲めるけれど、子供にも飲んでもらいたいの」

「砂糖や蜂蜜を入れては?」

「それが不思議と、甘味と混ぜると薬効が消えてしまって」

「そうですか。難しいですね」

「えぇ、あと一歩なのだけど」


 頬に手を当てて想い悩むゲレタ。その尊い心意気に、ホープは薬草茶の完成に協力しようと心に決めた。


「自分にお任せください。完成するまで薬草茶を飲み続けてみせます」

「ホープさん。良いの?」

「正直、薬草をそのまま食べるのは限界だったので、お茶で飲めるならその方が一万倍良いです」

「そうよね。殺人的に不味いものね。なら、お願いしようかしら」

「お願いして下さい」


 ゲレタの皺だらけの手を取って握る。目を見つめて真剣に迫る。


「また来ます。明日も明後日も来ます。ご迷惑でなければ」

「め、迷惑ではないわ」

「夕飯代は出します。それくらい、稼いでみせます」

「そ、そうなの? それくらい構わないけど、出してくれるなら助かります」

「ロールキャベツ、ご馳走様でした。今夜はこれで」

「えぇ、気を付け、て?」


 ホープは目標を見つけた気分になった。『ゲームオブフロンティア』で目指すべき着地点を定めたと。

 ルンルンと夜の街を歩く。すれ違う人々に不審の目を向けられる。だけどホープは構わない。恋をしたなら笑っちゃおう。進め〜!


「ははははは! あはははは!」


 不気味。通行人が警備隊に通報しようかと悩んでいた。


「あ、ベラさんにもキャベツをあげるんだった。夜遅いけど、大丈夫かな?」


 安宿に到着して思い出す。明日にするか、今、渡すか。


「行くだけ行ってみよう」


 安宿の隣にあるベラの自宅のドアをノックした。


「こんばんはベラさん。ホープです。起きてますか?」


 家の中からドン! ガラガラ! バンバン! と音がして、バン! とドアが開く。


「おかえり野良犬。夜分遅く迷惑だぞ」

「す、すいません」


 ボサボサの髪。乱れた服。上気した頬。タンクトップの隙間からチラリと見えるペタンコ胸とピンク色の乳首。いったい何をしていたのか。想像すると、心臓発作を起こしそうになった。


「あの、斯々然々で、キャベツをお裾分けに」

「キャベツ……」


 アイテムボックスから取り出して、渡そうと近付くと、ベラが「クンクン」とホープの匂いを嗅ぐ。


「なっ! なんですベラさん!」

「臭くない。美味しそうな匂いがする。何を食った」

「あの、ロールキャベツです」

「ロールキャベツ! 何処で食った!」


 興奮したロリに胸倉を掴まれる。逆にラッキー!


「西1区のゲレタさんです。御存知ですか?」

「ゲレタ! あの小娘! ずるい!ずるい! 俺もロールキャベツが食べたい!」


 暴れてホープの脛を蹴りまくるベラ。


「痛い!痛い! 死ぬ!死にますベラさん!」

「食わせろ! 食わせろ! 食わせろ!」

「分かった! 分かりましたから! 蹴らないで!」

「はぁ、はぁ、はぁ」

「ふぅ、ふぅ、ふぅ」

「明日、ゲレタさんに話してみます」

「うむ。左様せい」

「所でベラさんの成長値とレベルは? めっちゃ痛かったんで、死ぬ所だったんで」

「俺か。成長値Sでレベル100。カンストだ」

「ぶっ! まじで殺す気か!」

「安心しろ。手加減はしてる」

「ふざけんな! 脛が痣だらけだぞ! ちょっと血も出てる!」

「うるさい野良犬。キャベツは受け取った。俺はやる事がある。もう行け、邪魔をするな」

「あっ!」


 バタンと乱暴に閉められるドア。素っ気ないし、怪しい。


「なんなんだ。ベラさんのあの姿はなんなんだ?」


 想いが、妄想が広がり輪を作り、更に世界が広がる。

 ロリ天使貧乳美少女ベラ。彼女に何があったのか。謎は深まるばかり。だが真実は1つだけ。それを是非知りたい。


「濃い1日だった。もう寝よう」


 明日に備え、ベラのお古の毛布に包まって眠りに付いた。




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