6話
ONな世界 6話
「もしかしてこのウィンドウ見えてないですか?」
ウィンドウを指さしながら僕が尋ねると、女性は更に不思議そうに
何もないことを確認している。
「・・・見えてないみたいだね。」
女性には、ウィンドウが本当に見えていないらしい。
もしこれが女性の演技だったらアカデミー賞ものだ。
とりあえずウィンドウを閉じた。
ここで僕はもう一度一息ついて、現状について仮説を立ててみる事にする。
(ウィンドウが見えないってことは、この女性はノンプレイヤーキャラクターなのかな?
そもそもあまりこのゲームの説明って受けてないからあんまりよくわからないんだよなぁ・・・
他人のウィンドウは見れない可能性はあるけどウィンドウそのものも知らないようだし・・・
そうだ!一回ログアウトしてみればはっきりするかな。
確か・・・右肩を三回叩くんだったかな。)
自分の右肩を三回叩いてみる。
トントントン・・・・・
・・・・・
もう一度三回叩いてみた。
パンパンパン・・・・・何も起こらない。
バシバシバシ・・・・・肩が痛い・・・。
複雑な顔をしながら何度も肩を叩いている僕をみて女性は心底心配そうな顔をして
尋ねてきた。
「先ほどからしきりに肩を叩いてますが痛むのですか?
怪我でもされているなら私の魔術で直しますよ??」
女性がすっと目を閉じると、女性の掌が淡い緑色の光に包まれた。
そのままその手を僕の肩にあてがう。
先ほど強く叩きすぎてじんじんしていた肩の痛みがすっと消え、ほのかに温かく、
なんとも安らぐような感覚になった。
「どうですか?痛みはとれました?」
女性はにっこりと微笑みながら僕の目を見ている。
「・・・ありがとうございます。
・・・これって魔法ですか?初めて体験しました。」
僕はわけもわからずとりあえずお礼を言った。
「私達エルフ族は魔術と呼んでいます。
風の精霊の加護により扱えるようになります。
あなたはエルフ族ではなさそうですが、私達の種族と似ていますね。
失礼ですがあなたの種族は?」
やっぱりこの女性はエルフなんだと思いながら僕は答えた。
「僕は【人間】という種族みたいです。
というか普通の人間だと思います。」
「【人間】ですか?聞いたことがないですね。
エルフは長命なので、私も長い間生きていますが、はじめて聞きました。
村の長老は知っているかもしれないですが・・・。」
本当に知らないような困った顔つきでエルフの女性は言った。
僕はさらに混乱した。
人間を知らない?
というよりもあなたも人間でしょ?
そこまでキャラクターになりきらなくても・・・
「え?あなたも日本人ですよね?
こうして日本語を喋ってるわけだし。
たしかに見た目はエルフですが、これはゲームであなたの種族がエルフだから
エルフなんですよね?」
支離滅裂だ。自分でも何を言っているかわからない。
エルフの女性は何も言わず、じっと僕をみていたが、なにやら思いついたように
僕にこう言った。
「ここで話していても話が進みませんね。
あなたの言っていることもよくわかりませんし・・・。
私の村でゆっくり話しませんか?
きっと長老も力になってくれると思います。」
僕は、わかりました。と答え、よくわからないまま、先に歩いていくエルフの女性の
後について行った。
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チートっぷり発揮できず。。
次回こそは!!
ノリで書いているので予定は未定です。