10話
やっと10話です。
時間があればもう少し更新したいのですが…
なかなか難しいもんです。
ONな世界
食事が終わると、アテナの祖母はとある儀式を行うために
コウキを奥の部屋に案内した。
部屋は薄暗く、2脚のの椅子とテーブルが置かれている。
だんだん目が慣れてくると天井には小さな明かりが無数にあることがわかった。
アテナの祖母の話では、この小さな明かりは魔力の結晶らしい。
幻想的な星空の下にいるような錯覚に陥ってしまうほど、綺麗な明かりだった。
アテナの祖母はゆっくりと聞きやすい声で僕に説明し始めた。
この世界に住むものは世界から<称号>というものを生まれたときから
与えられており、その称号を見るための部屋がこの部屋なのだそうだ。
特に儀式自体は危ないものではないので安心して良いと言われた。
アテナの祖母はこれを生業といる。魔術に精通し、極めて限られた一部の者しか<称号>を
読み取る事はできないのだという。
自分のことを知るには、<称号>を知ることが一番の近道と考えられており、<称号>を
知ることで自分と世界の意思を知ることができるのだそうだ。
僕はそんなものが本当に自分に与えられているのかどうか不安に思ったが、アテナの祖母の
「自分のことが知りたいのだろう?」という問いに力強く「はい」と答えた。
確かに、自分に与えられた<称号>とやらを知ることができれば、何故僕がここにいるのか
が判るかもしれないと思ったからだ。
アテナの祖母は一通りこの儀式についての説明を終えると、静かにするようコウキに言った。
アテナの祖母が椅子に座ったまま目を瞑り、両手を僕のほうへゆっくりとかざすと
僕の周りを螺旋状に連なった光の文字が包んだ。
光の文字はゆっくりと動き出し、次第に動きを早めるとだんだんと僕のちょうど
胸の前辺りに収束し始めた。
光の文字は明滅しながら意味ある形へ整列していく。
見たこともない文字だが僕はなぜかその文字を理解することができた。
文字の内容はこうだった。
『世界が愛でし者』
世界はお前を愛する。世界はお前に与する。
世界を理解せよ。世界を感じよ。
お前の望みは世界の望み。
世界はお前にすべてを授ける。
何故だかわからないが僕は涙を流していた。
痛いわけでも、悲しいわけでもない。勝手に涙が流れていたのだ。
光の文字がゆっくりと拡散していくと、先ほどまで小さな光だった無数の天井の光が
力強く光だし、部屋を煌々と照らしだした。
光に包まれ、まるで光に抱かれているようだった。
しばらくすると次第に光はに小さくなっていき、部屋の天井は入った時と同じように
星空のような小さな明かりが灯っていた。
部屋を出ると、笑顔のアテナが待っていた。
アテナにどうでしたか?と聞かれたが僕はうん。としか答えることができなかった。
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更新遅くなりました。
平日はなかなか書く時間が無いですね。
がんばって一日一話を目標にしたいと思います。