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「明日のお茶会はどなたがいらっしゃるのだ?」
チャーリーはリリィに尋ねた。
「友達のミーナ・シャロン様とレナード・シャロン様、それにルーカス・ダカール様、後はエレンおば様よ」
リリィは答えた。
「レナード・シャロン?」
チャーリーは聞き返した。
「ルシェンダ国の?」
「そうよ」
チャーリーは暫く考えた。
「あれ、それよりもシリルは呼ばないのか?」
ふと思い付いた様にチャーリーは言った。
「呼ばないわ。もう、お茶会は無しって言ってあるし。……それにシリルは明日の午後にはロメリア様のお茶会へ行くらしいもの。エレンおば様がそう言っていらしたわ」
リリィはそう言って去って行った。
◇◇◇
「おや、君は……? 母国へ帰っていたのかい?」
リリィの屋敷を訪れたレナードは出迎えたチャーリーを見て言った。
「レナード様こそ。まさかニエナ国へいらっしゃっているとは思いませんでしたよ。いつ、こちらへ?」
「4月に来たばかりだ。妹の留学に付き合ってね。ニエナ国の図書館に潜り込んで秘かに人材探しをしていた所だよ」
「ニエナ国のバーソロミューダ王はご存じなのですか?」
「ご存じだ。妹の留学に付き添って来るのと、研究の為に御国の図書館にお邪魔したいと伝えてあるだけだがね。たいして気にも留めておらんよ」
そう言ってレナード・シャロン公爵は笑った。
「留学生の試験期間には国へ戻るよ。空いた時期はこんな風にしてあちらこちらを旅して歩いているんだ。ニエナ国には初めて訪れたが、のんびりしていていい所だな」
レナードは目を細めて笑った。
レナードはルシェンダ国、アサート王の王妃ユリアンナの甥っ子に当たる。ユリアンナの弟が実家であるシャロン公爵家を継いでいるのだ。レナードはシャロン公爵家の次男であった。
実を言うとミーナはルシェンダ国の学園に在籍していたある子爵家の三女である。
大変賢い娘なのでレナードが側近として抜擢したのだ。今回ニエナ国へやって来るのに、自分の妹と言う立場を与えて留学生として学園に送り込んだ。
ルシェンダ国のユリアンナ王妃は大変聡明な女性であった。
ルシェンダ国の教育長であり、学術長官でもある。国の教育興振に情熱を注いでいた。それを補佐する立場が第二皇子のブライアンと甥のレナードだった。
レナードは自由に各国を歩いて色々な国を観察し、図書館に潜り込んで本を漁り、そのついでに才能のある人材をスカウトするという仕事をと言うか趣味と言うか……、そんな事をしていた。
ルシェンダ国の第6次試験では面接試験がある。その時の面接官の一人がこのレナードだった。レナードはニエナ国出身のチャーリーを覚えていた。
とても聡明だったし、またしっかりしたビジョンを持っていたからだ。
自分のやりたい事を明確に掴んでいた。それを達成するための計画もきちんと立てられていた。
チャーリーもレナードを覚えていた。
受験者に対して温かく微笑みながら質問をしてくれたからだ。こんな人が上司ならきっと仕事もやり易いだろうと感じていた。
チャーリー16歳、レナード20歳の時の事だった。
◇◇◇ ◇◇◇
「何故、リリィのお茶会に?」
チャーリーは尋ねた。
「それはリリィ嬢に興味をもったからだよ。まさか、君の妹さんとは思わなかったがね。彼女は素晴らしい才能をお持ちだ。僕は何度か図書館でお会いして、おしゃべりをさせてもらっているんだ」
レナードははははと笑った。
そしてふと真顔になった。
「それに学園にはジャニス国のグローリー宰相の娘、ロメリア嬢も留学して来ている。
お宅のリリィ嬢の婚約者、シリル殿はロメリアのサポート役らしい。その状況にもちょっと興味を抱いたんだ」
「? レナード様はジャニス国のロメリア様をご存じでしたか?」
チャーリーは尋ねた。
「ああ、よく知っているよ。なんせ3年前は我が国の第四都市学園の特別クラスに在籍していたからな。グローリー宰相の事もよく存じ上げている」
レナードは返した。
「特別クラス?」
「そうだ。能力は大した事は無いが地位だけはあるという諸外国の子女が留学を希望した時に通うクラスだ。……君の学園はどこだった?」
「第一都市です」
「第一都市には無いな。あそこはガチの研究都市だから。第三から第五にはあるんだ。まあ、レベルもそこそこのクラスだがね」
「君がここにいるという事は非常に心強い。これはきっと神様の御計らいだろうな。今からちょっとした作戦会議があるんだ。君にも是非参加して欲しい」
レナードはそう言った。




