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「やあ。リリィ。また会ったね」

本から目を上げると、そこには丸い顔に丸い眼鏡を掛けた青年が立っていた。

「あら、レナード様」

リリィは慌てて立ち上がった。

レナードはこの学園の生徒では無い。主に書庫で仕事をしていると言っていたが、リリィには何の仕事か分からない。何か調べ物をしているのか、それとも古書の修繕でもしているのか。

年は25歳位である。

出身地がルシェンダ国だという事だ。


「いいよ。そのままで」

青年はにこにこと笑った。

「何を読んでいるの?」


リリィは辺りを見回す。

周囲に人はいなかった。


「これです」

リリィはこそこそと言った。

「『象徴(シンボル)としての植物。そのダイモン』。……また、すごい本を読んでいるな。……えっ、これヴィドルート語じゃ無いか? 君、古語が読めるの?」

「はい。母が教えてくれました。それに古書の方が思いも寄らない秘密が書いてあって面白いの」

「ふうん。……挿絵が凄いね」

「綺麗ですよね」


レナードの眼鏡の奥の目が面白そうにリリィを見詰める。

「君、将来はルシェンダ国に来て研究するべきだよ。絶対に。君ならユニークな研究が出来ると思うよ」

彼がそう言ってリリィは笑う。

「そんなの、私には無理ですわ。3か月前に田舎から出て来たばかりなのです。自国の王都にもなかなか慣れないのに外国なんて。それに、……」

そう言うと窓の外に目をやった。



寂しいですね……。

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