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昼を告げるチャイムが鳴った。

リリィは立ち上がった。

シリルとロメリアがやって来る食堂へは行きたくない。

てか、二度と姿を見たくないし、話もしたくない。


サンドイッチでも買ってどこか庭園のベンチで食べようと思った。

と、クラスメイトが来客を告げに来た。

「リリィ様。特別クラスのミーナ・シャロン様がお呼びしていますわよ」

「ミーナ・シャロン様?」

リリィはドアの所を見た。

そこには昨日の朝、レナードと一緒にいた、あの女生徒が腕を組んでこちらを見ていた。


◇◇◇


 シリルはリリィの教室へ行こうとしたらロメリアに捕まった。

「ねえ、シリル。何でリリィさんとのランチに私が行ってはいけないの? 私達3人、仲良しでしょう?」

アイスドールは不満げに言った。

「ちょっと、プライベートな話なんです。家族の話で」

シリルは言った。

「ああ、政略婚についての話?」

「……まあ、そんな話です」

「そう。……。じゃあ、仕方ないわね。是非私もお話を伺いたかったけれど。今度内容を教えてね」

「……」

「ねえ、昨日、彼女、さっさと帰ってしまったでしょう? 地震の時。あれ、失礼よね。リリィさんってあんな風でちゃんとした侯爵夫人になれるのかしら? 疑問だわ。……。ねえ、きちんと言って置いてね。彼女に。私に謝る様に。あ、それよりも私が直接彼女に言ってあげましょうか?」

ロメリアは真面目な顔で言う。


「いや、結構です。俺の婚約者の事だから俺がちゃんとやります。じゃあ、失礼します。

帰りの時間には玄関前で待っていますから」

シリルはそう言うと、ロメリアの横を通り過ぎた。


リリィの教室に行ったけれど、リリィはいなかった。大部分の生徒は既に食堂へ行ってしまっていた。シリルは舌打ちをした。


シリルは食堂へ向かった。広い室内を見渡してリリィを探したけれど、どこにもいなかった。ふと見知った女生徒を列の中に見付けた。リリィと同じクラスの生徒だ。

シリルはその近くへ寄った。

「ねえ君。君はリリィと同じクラスだよね?」

「え、は、はい」

女生徒とは真っ赤になって頷いた。

「リリィはどこにいるのか知りませんか? 食堂にはいないみたいだけど……」

「さあ……。申し訳がありません。存じ上げませんわ」

「あら、リリィ様なら特別クラスのどなたかがいらっしゃって、ご一緒にどちらかへ行かれましたわよ」

「特別クラス?」

「はい」

「まさか、ロメリア……」

そんな筈は無い。さっきまで自分と話をしていたのだから。

「ロメリア様ではありませんわ。黒い髪のボブカットで、小柄な方で……」

「ボブカット?」

「はい」

記憶に無い。

「じゃあ、その子と一緒にどこかへ行ったんだね」

「はい」

「有難う」

シリルはそう言うと列を離れた。

さっきの子達が「キャー、シリル様とお話をしちゃった」と騒いでいるのが聞こえた。


シリルは図書館に行ってみた。司書に尋ねたが、リリィは来ていないという事だった。

一体どこへ行ってしまったのだと思った。


ふと中庭に目をやる。庭園のベンチにちらほらと人が座ってランチを食べている。

あの中にいるかも知れない。

シリルは庭園へ向かった。


如何せん、庭園は広かった。

リリィは見付からない。

シリルは時計を見た。


もう一度食堂へ行ってみようと思った。


ロメリアとランチを取っている時、さりげなくリリィを探すがいつもその姿は無かった。

混むのが嫌だからきっと時間をずらして来ているのだと思ったが……いつも一人で食べているなんて知らなかった。



食堂に行ってもリリィはいなかった。

シリルはプレートを持って並んだ。

ささっと食べて2年のクラスの前でリリィを待とうと思った。


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