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ランチの席に着いた。

シリルの隣にロメリア。

そしてシリルの前の席にリリィ。

ぽつぽつとおしゃべりをしながらランチを食べる。

「ねえ。リリィさん。今朝、私とシリルが一緒だったのはね。くすくす。あなた、勘違いをしたでしょう? 顔が引き攣っていたわよ。(笑)。

あのね。昨日、私の馬車が壊れてしまって、それでシリルに送り迎えをして頂いているの。それだけの話なのよ。馬車が直って来るまでって、お願いしてあるの」

ロメリアは言った。


リリィは顔を赤らめた。

何て答えたらいいか分からなかった。


「昨日の帰り、ロメリア様の馬車が道脇の溝にはまってしまってね。飛び出して来た人を避けようとしたらしい。俺が学園に通う途中にロメリア様のコテージがあるから。だから、送り迎えをしているだけなんだ。それも数日で終わりだよ」

リリィは「そうなのね」と言って微笑んだ。


「あなた、私とシリルにやきもちを焼いたでしょう」

ロメリアが面白そうに言った。

「いえ、そんな事は……」

リリィは下を向いた。


「ねえ。リリィさん。これからも私はシリルにお世話になるのよ。でも、その度にリリィさんに不愉快な思いをさせてしまったら、申し訳が無いなって思ったの。だからシリルに言って、私も一緒に説明をする事にしたの。シリルだっていちいちあなたの顔色を窺っていたのでは、私のサポートに支障を来すでしょう? それは困るもの」

ロメリアはそう言ってリリィを見る。

それに対してシリルは返した。


「ロメリア様。私はいちいちリリィの顔色なんか窺っていません。これは生徒会役員としての私の仕事ですから。リリィはちゃんと理解してくれています。そうだよな? リリィ?」

シリルはリリィを見る。

「あ、……ああ。……そうですわね」

リリィは慌てて答えた。


「まあ、リリィさんって心が広いのね。良かった。これで私も心置きなく、シリルに甘えられるわ。リリィさん。一年間宜しくね。シリル。良かったわね。もうリリィさんを気にする事も無いわよ」

ロメリアはそう言ってシリルの腕に自分の手を置いた。

リリィはそれをちらりと見て窓の外に視線を移した。



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