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第1話「竜の目覚め」

「緊急事態発生。全世界のISO支部に、非常事態宣言を発令。」


レオン・クローフォードの声が、各国の指導者へと伝えられる。終焉の竜の覚醒は、単なる魔獣の暴走ではない。異世界そのものが、現実を侵食し始める前兆だった。


「まずは被害の封鎖だ。IDO、『ゲートキーパー部隊』をSite-αに投入しろ!」



都市壊滅・10分後。


かつてSite-αがあった場所は、半径5キロに渡って「炎の結界」に覆われていた。通常兵器は一切通用せず、ISOの魔導戦術部隊ですら前線を維持するのが精一杯だ。


「くそっ、奴の鱗は魔術を跳ね返す! 物理攻撃も効かない!」

ガルムが拳を噛みしめる。彼の部隊は半数が戦闘不能に追い込まれていた。


その時、無線から冷静な女声が響く。

「ガルム隊長、撤退してください。こっちで『アレ』を仕掛けます。」


「エリザ……! お前、まさか――」


彼が振り返ると、遥か後方のヘリコプターから、一人の女性が虚空に足を踏み出した。エリザ・ウェインだ。彼女の手には、IRAが極秘に開発していた「次元断絶弾」が握られていた。


「神の使いも、異世界の法則も――全部、この手で切り裂いてみせる。」


彼女は弾頭を竜へ向け、引き金を引く――



爆発。そして、沈黙。


煙が晴れた時、竜の巨体は消えていた。しかし、代わりに空には巨大な「次元の亀裂」が広がっている。


「……しまった。」

エリザが悔しげに呟く。


「奴を異世界に追いやった代わりに、『門』が開いてしまった。」


レオンが宣告する。

「これで終わりじゃない。――むしろ、戦いはこれからだ。」


亀裂の向こう側からは、無数の影が蠢いていた。異世界の魔物たちが、現実へと流れ込もうとしている。



夜明け。


ISOは全世界に非常体制を布告した。終焉の竜は消えたが、「次元の壁」が弱体化したことで、各地で異世界現象が頻発し始める。


「次の標的は、東京に出現した『浮遊城』だ。」

レオンが作戦盤を指す。


「神々の真意を知りたければ、あの城の主と話すしかない――」


一方、エリザは密かに古文書をめくっていた。

(……終焉の竜は、ただの始まりに過ぎない。本当の敵は、まだ目を覚ましていない。)


彼女の目に映るのは、「七つの災いを司る異世界の神々」の記録だった。


(この戦いの行方は――まだ誰にもわからない。)

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