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転生したら世界樹だった件【コミカライズ2巻2月7日発売!】  作者: みんと
第二章

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第73話 ドライアド誕生(下)


「うわーん、ココロたんがぶったー!」

「だってセツナが……!」


 ドライアドの双子は、元気なのはいいが、しょっちゅう喧嘩をする。

 俺はそれをなだめるのに、たじたじだ。

 拝啓、お母さん。ママってこんなに大変だったんですか……?


「こら、二人とも。手をだしたらだめだろ」

「はぁい、ママ」


 だけど、俺の言うことは素直にきいてくれる、いい子だ。

 それにしても、俺に子育てなんてできるのか……?

 少々不安だ……。

 まあ、エルフたちも面倒をみてくれてるし、なんとかなるだろう。


 それと、双子には不思議な力があった。


「えい!」


 双子はどこからともなく、飲み物を取り出した。

 そして自分でおいしそうにそれを飲む。


「おい、ちょっとまて……それどこから取り出したんだ?」

「どこって、信仰ポイントをつかっただけだよ?」

「え?」


 もしかしてとは思ったが、やはりそうだ。

 どうやら双子は、俺と同じように、世界樹の力を継承しているようだ。

 双子は、俺と同じく、信仰ポイントを使用することで、信仰メニューにアクセスし、いろんなものを創造したりできるようなのだ。


「どうやらお二人にも、セカイ様と同じ能力があるようですね……。さすがは世界樹のお子様です」


 エルフがほめたたえる。


「そうなのか……じゃあ、俺の代わりにいろいろやってもらうことも、将来はできそうだな……」

「そうですね。そういえば、先代の世界樹様も、ドライアドに一部統治を任せていらっしゃいました」

「そうなのか」

「世界樹の里も、あまりにも大きくなると、さすがにお一人では管理できませんからね」

「たしかに、それもそうだ。分割統治もそのうち考えないとだな」


 たとえばだが、こことは別に、もう一つの拠点を構えたりできるかもしれない。

 ドライアドたちの能力を使えば、俺たちの勢力圏をさらに広げることが可能だろう。

 もう一つのユグドラシル王国をつくって、そこと貿易などもできそうだ。

 そう考えると、いろいろと夢は広がる。


 そういったことも考えると、この二人には、きちんとした教育が必要だな。

 やはり親として、もしも俺がいなくなったあとも、ちゃんと暮らせるように、それなりの知識と教養は身につけさせたい。

 俺はエルフたちに、双子の教育係を任せることにした。

 俺はエルとエラに頼み込む。

 もちろん、俺が教えられることは俺が教えるつもりだが、やはり俺は男だし、男一人で教えられることにも限界がある。双子は俺のことをママと呼ぶが、俺の役割はやはり父親としてのものだろう。エルフたちには母親代わりになってもらえればと思う。


「というわけで、双子のことをよろしくな」

「わ、わたしたちでよければ、いくらでも力になります!光栄です!」


 ドライアドは成長したら、どんなふうになるんだろうか。

 やはり世界樹の子供だから、ドライアドが成長すれば、世界樹になるんだろうか。

 そうなったら、いずれ俺よりこいつらのほうが大きくなるんだろうか。

 そうなったら、こいつらのどっちかが、次の世界樹になるんだろうか。

 そうなったとき、俺は世界から用済みとみなされ、枯れてしまうんだろうか。

 未来のことはわからない。この世界の仕組み、世界樹についてもよくわからない。

 

 だけど、俺はいままで、自分のことだけを考えていた。もちろん、ユグドラシル王国のみんなのことも考えてはいたけど。だけど子供ができると、やっぱりどうしても未来のことを考える。

 できれば、このままこの国がずっと平和であればと思う。

 もし俺がこの世界からいなくなったら、どうなるんだろうか。

 世界樹にも、寿命というものがあるのだろうか。

 世界樹ってそもそも、死んだりすることがあるのだろうか。

 俺がなにものかに、殺されたりすることって、あるんだろうか。


 まあでも、先代の世界樹が死んで、今は俺がこの世界の世界樹なわけで……そうなると、やはり俺もいずれは死んで、次世代の世界樹に代わる日がくるのだろうか。

 そうなったとき、この双子が幸せに暮らせるといいんだけど……。

 俺はいったいいつまで生きられるのだろう。

 ふと、そんなことを考えた。


 人間の身体に戻った俺は、剣の修行を再開した。

 アラクネーのアリアのもとで、俺は修行をする。

 ついでに、双子にも剣を教えてもらうことになった。

 双子はまだ小さいが、剣のすじは悪くないそうだ。

 アリアはその多数の手足で、俺たち三人を同時に相手する。

 三人同時相手でもまだ余裕があるくらい、アリアと俺たちの実力には差があった。

 少しでもはやく追いつきたいものだ。

 俺も、まさか子供たちに負けるわけにはいかないから、さらに精が出る。


 それから、魔法の勉強も再開した。

 魔法はエルフたちから教わるわけだが、これもドライアドたちも一緒に教わることになった。

 魔法を覚えるなら、幼いうちのほうが吸収もはやい。


 俺は子供たちと学びながら、彼女たちの成長を祈った。

 子供たちと一緒に学び、遊んで、寝る。

 そんな幸せな日々が続いた――。


 だが、そんな幸せはいつまでも続かなかった。

 まさか、俺たちの平和な日常の裏で、あんなことになっていたなんて――。

 

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